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【コードネーム U.N.C.L.E.】レトロな雰囲気の良作スパイ映画レビュー

米ソの凄腕スパイがタッグを組んだ痛快スパイアクションコメディ『コードネーム U.N.C.L.E.』!! 昨年の11月に映画館に観に行ったのですが、レビューのために再びDVDを借りて観ました。

相変わらず面白かったですね~

魅力の全ては主人公の二人のちぐはぐなコンビぶりにあり!

とはいえ、途中から息は合ってくるんですが、二人の微妙なスパイタッチの違いは相変わらず埋まらないままです(笑)

まあそこが面白さのポイントだったりするのですがね。

では簡単なあらすじ紹介がてら、感想を交えたレビューを書いていこうと思います。(注!軽くネタバレあり)

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レビューと感想

時代設定は1960年代の米ソ冷戦真っ只中。

核爆弾を製造して再び世界を支配しようというナチス残党の企み(またか!)を、イタリアの大富豪が組織を使って支援するというのが敵の企み。

このためイタリアの大富豪は科学者をリクルートして、イタリアの離れ小島に連れていき、そこで核爆弾の研究を進めさせます。

この動きを察知した米ソの諜報組織が、それぞれの凄腕スパイを組ませて科学者と製造データの奪取を試みるのです。

この凄腕スパイ二人が元米国陸軍軍曹で泥棒出身のナポレオン・ソロと、KGB一の腕利きエージェント、イリヤ・クリヤキン。

このお話はもちろん、かつての大人気ドラマ「ナポレオン・ソロ」がオリジナルで、今回の映画のタイトルは当時の原題が由来です。(The Man from U.N.C.L.E.)

最初は嫌々ながら、共通の敵を追うことになる二人。

目的とする科学者の娘が東ドイツにいるということで、ソロが東ベルリンに潜入し、娘を西側に連れてくるというところから映画は始まります。

ナポレオン・ソロは常にオシャレを心がけていて、しかも稀代のプレイボーイ。

たとえ作戦の途中でも優雅さを失わず、なおかつ美しい女性がいれば、たとえ敵だろうとベッドに誘い込む女癖の悪さが魅力です。

一方のクリヤキンは、無口で無骨な愛国主義者、女性はどちらかというと苦手。

チェスの天才かつ格闘技の名手で、作戦中はとにかく猪突猛進に目的の遂行を達成しようとするタイプです。

この相対するタイプの二人が組むのだから、まあぶつかることは目に見えています。

二人をつなげる接着剤的存在は、ターゲットとする科学者の娘ギャビー。

女慣れたソロは、どちらかというと大人の色香のあるセクシーな女性が好みのようで、コケティシュなこの娘にはあまり魅力を感じている風ではありませんでしたが、純粋なクリヤキンは婚約者同士という設定で行動を共にするうちに、少しずつギャビーに惹かれていくようになります。

それにしても、無骨な割には、ギャビーの服を選ぶときに、ファッションのうんちくや組み合わせについてソロと激しく言い争っていたという、クリヤキンの影おしゃれぶりに笑えました^^

エージェントというのは、どんなに無骨者でも、幅広い知識を持っていなければならないのでしょうか。特に女性相手の作戦がある場合には、自分の好き嫌いを別にして勉強しなければならない苦痛というか、喜びというか。(ソロには快楽ですな)

影の組織をまとめるイタリア人夫婦、ソロとクリヤキンを使ってそれぞれの利益を得ようとする米ソ諜報組織、さらに彼らの上でひそかに作戦を進めるイギリス諜報部・・・

最初から最後までナチスは出てきませんが、戦後70年経ってもネタにされるナチスは世界最高のヒール(悪役)なのでしょう。

デカすぎる!出演俳優の身長の比較

ちなみに凸凹コンビというのが売りになっていますが、体の小さい東洋人の自分からすれば、どちらもデカいタイプ。ソロ役のヘンリー・カービルは身長185センチ。これだけでもデカいのに、さらにクリヤキン役のハマーは195センチという大男ですよ!!

カービルは「マン・オブ・スティール」でスーパーマンも演じているので、体はムキムキでしかもデカいのですが、映画の中でも「大男」と表現されるクリヤキンことハマーのデカさの前に霞んでしまって、それほど目立たなくなるという相対性理論的ギャップ。いやいや、お前らどんだけデカいと満足するねんと突っ込みたくなるほど身長ジェラシーです(笑)

欧米でも体が大きいというのは、だいたい190センチを超えたあたりが境のような気がするなというのが、私の実感ですね。

昔イギリスとドイツに滞在したときに体感したのが、イギリス人男性の平均はだいたい170センチ後半~180センチあたりで、ドイツはさらにデカくて180センチ~190センチといったあたりでした。

日本人の平均身長の170~175センチに匹敵するのが、あちらの180センチというのが、日米欧の平均身長差という気がします。

そう考えると、映画俳優という他業種に比べて体の大きさが求められやすい世界では、180センチ代はごくごく普通のレベルで、190センチを超えると「おお、デカいな」と目を見張られるレベル、そこからさらに190センチ後半のハマーのデカさはあちらでも異常のレベルになるということになりますかね。実際にハマーは体がデカすぎるということで、彼に適した役柄を得られなかったとインタビューで答えています。

アーミー・ハマー、身長が高すぎて役がもらえなかった

ちなみに悪の富豪の夫人を演じるエリザベス・デビッキも190センチあります。デカすぎやろ!!

 

英語の発音が国によって違う!?

俳優陣の体の大きさ以外にも、言葉の違いで面白いなと思ったことがありました。

途中から英国諜報部将校の役柄で出てくるヒュー・グラントが、イタリアの組織の小島に向かう輸送ヘリの中でソロとクリヤキンに話しかけます。

もちろん英語なんですが、グラントの使う英語が完全にイギリス英語そのもので、ソロやイリヤキンの使うそれとはまったく異なっているのが面白かった。

イギリス英語というのは発音が聞き取りやすいという定評がありますが、個人的には英国に滞在したときに「聞き取りずらい」と強く感じました。

とくに団塊ジュニア世代の私なんかは、子供のころから洋画やら洋楽やらでさんざんアメリカものを見させられましたから、好むと好まざると関わらず、アメリカ式の英語に耳慣れてしまっているんです。しかも義務教育の英語がアメリカ式の発音ですし。

そう考えると、聞き取るということに関しては、ほかの多くの日本人もおそらくイギリス英語よりはアメリカ英語に親しみを感じるんじゃないかと思いますね。

イギリス英語の特徴は「シュバシュバ」という感じで、なんだか口先で軽く音を飛ばすというイメージ。

一方のアメリカ英語は「ロウ~ラウ」という感じで、とにかく舌を巻くというイメージ。

ヒュー・グラントの話す英語はもちろんイギリス英語で、ソロはアメリカ式、そしてイリヤキンはネイティブでないロシア式の英語と、まさに3者3様の国際英語スピーチ大会がヘリの中で展開されたというわけです。

面白いのが、主演のソロ役カービルはイギリス人俳優ということころ。

だけど発音はそれほど「シュバシュバ」していなかったし、どちらかというと巻き舌型の印象があります。

逆にクリヤキン役のハマーは普通にアメリカ人の俳優さんで、この人がロシア風の英語を話しているという、なんだか言葉のシャッフルが行われてる感じで面白かったですね~。

加えてハマーは、おじいさんがロシア系ユダヤ人なので、ロシアとは無関係ではないのですが、本人は生まれつきのアメリカ人という面白さ。

俳優さんというのは、言葉一つとっても、いろいろな国籍のものを使い分けないといけないので、大変な努力を要する職業だと思わされた裏話でした。

ほかにもイギリス人が全体の上に立って、アメリカ・ソ連(ロシア)がそのもとで作戦を行う、そしてナチスの残党に協力するイタリアの富豪という構成は、まさに第二次世界大戦の連合国vs枢軸国の構図そのもの。映画の設定的には、戦後しばらく経っているとはいえ、まだまだ当時の空気感が濃厚な時代風景がプロットに盛り込まれていることが面白かったです。

そう考えれば、ソロの得意とする言葉の一つに日本語が入っていたのも、アメリカの戦中戦後の国際関係を考えると、なんだか納得ですね。

キャラ立ち感がハンパない俳優たち

映画以外の話をいろいろしてきましたが、内容ももちろんとても良かった。

とにかくスタイリッシュでおしゃれで、アクションもCGを使ったような雰囲気はなく、あくまで肉弾戦に特化のイメージ。カット割りや描写方法も「RED」「特攻野郎Aチーム」を彷彿とさせる直感重視の映像展開で、見ていてスカッとさせてくれます。

そしてなんといっても、ソロとクリヤキンのキャラ立ちの半端なさ!

映画の序盤から強調されてきた、米ソそれぞれのお国柄を体現した両者の性格の違いに加えて、ソロの咄嗟の機知と人間への優しさ、クリヤキンの心の闇とそれを懸命に抑えようとする実直さ。

すでにかつてのテレビドラマシリーズで完成されているとはいえ、カービルとハマーはそこにさらに新たな魅力を付け加えたと思います。

最後はいい感じで二人は残された問題を解決。(ネタバレなので触れませんが、映画を見ていれば途中ですぐ読めますw)これがまたありそうで、現実にはありえないだろうという甘い展開で(笑)

このへんが映画という感じなのですが、設定自体がフィクションそのものなので、それはそれで首尾一貫してると思いました(笑)

映画の最後の最後でウェブリーが「次の作戦もこのチームで行く。きみたちの上司の許可も得ているよ」と声をかけてきたときに、それまで友情と今生の別れを静かに祝い合っていたソロとクリヤキンが「オーマイガッド・・」と頭を抱えるシーンは笑いました。「お前ら、今までの友情はどこにいったんや!」って(笑)

なんだかんだいって癖のあるメンバーだけに、感傷に浸るのと、実際に行動するのは別ということなんでしょうね。

エンドロールは、メンバーそれぞれのプロファイルデータがローリング。

ソロの「軍属のときに奪取したナチスの宝物を横流しして逮捕」というふざけた経歴と逮捕時のにやけた写真にも笑いましたが、クリヤキンの「情緒不安定、エディプスコンプレックス(父親コンプレックス)」という性格判定には、大男で破壊力も抜群なだけに、こういう心の闇を抱えられたら周りが大変だな、と妙にしみじみしました。

というのも、周りに一人彼とそっくりのタイプの知り合いがいまして、ときどきこういう感じでクリヤキン風に怒りをためてる場面にも出くわしたことがあるので、なんだか他人事でないような気がしたのです。頼むから怒りを爆発させないでくれ~という感じで(笑)

そしてエンディング&謎のベッカム出演シーン

プロファイルのローリングに続き、4人(ソロ、クリヤキン、ギャビー、ウェーブリー)が再びチームを組んでトルコで作戦を行うカットが流れます。映像ではなく、写真カットで4人の活躍している様子が映し出されていました。

ソロは相変わらずスマートにスーツを着こなして写真に収まってましたが、クリヤキンがギャビーと仲良く並んで映っているのを見て「そのまま結婚しなよ」と微笑ましく見守ってしまいましたね。

あとこれは映画の序盤に時系列が戻るんですが、クリヤキンがナポレオンソロとタッグを組む前に、ソ連のKGB本部でソロの経歴を上司から説明を受けているシーンで、あの世界的なサッカー選手デビッド・ベッカムがカメオ出演していたこと。

ベッカムはソロの映像を映し出す映写機の技師のような役で、途中で間違えて別の写真を映し出して「すまない、同志」と謝る一言だけの出演でした。

まさかこの人物がベッカムとは想像ができず、あとでネットのレビューでそのことを知って「ええ!そうだったのか!」と。このレビュー記事のためにDVDで再鑑賞したときに、じっくり見てみると「おお!」と(笑)。

すごい短い出演で、言われてみればベッカムに見えなくもないな、というくらいの見事な溶け込みぶりでした。

ある意味名優ですな~

このように登場キャラに感情移入できるというのは、よい映画の条件だと思います。

その意味では、ソロやクリヤキンの凸凹コンビぶりをまた見てみたいと思ったし、ほかのキャラクターもそれぞれ魅力的で、憎み切れないキャラ感が見ていて安心できたから、やはり「いい映画」ということになるのではないでしょうか?

ぜひまた彼らの新しいスパイ大作戦を見てみたいっす!

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