英国スパイのクラシカルなファッションを映画から学ぼうという特集です。
私自身がスパイ映画や小説が大好きで、とくに英国紳士の落ち着いた品のあるスーツやシューズが出てくる作品にはたまらなく引き付けられるところがあります。
今回取り上げる「ジェームス・ボンド」「裏切りのサーカス」「キングスマン」は、そんな私のお気に入りの3作品。
古典から現在まで進化を遂げ続けるボンドシリーズ、クラシックな英国ファッションを基本にした裏切りのサーカス、英国の本格派テーラーショップを舞台にしたキングスマン・・・
そんな3作品の魅力とファッションを紹介していきたいと思いますよ。
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英国スパイ映画の魅力とファッション紹介
007シリーズ:クラシック&エレガントなブリティッシュスタイル
いわずとしれたイアン・フレミング原作のスパイムービーです。
1960年代に初めて映像化されてから現在までシリーズ化している「超人気スパイ映画」でもあります。
その主演であるジェームス・ボンドが身につけるファッションは、まさに時代を代表するブランドの羅列。
年代ごとのファッションが楽しめるだけでなく、演じる俳優の雰囲気に合わせて採用されるファッションブランドが変わってくるのも見ていて面白いですよね。
私個人は現代的なボンドが好きなので、ダニエル・ボンドが演じるボンドで採用されるブランドが気になりますね。
鍛えられた肉体を強調するためのタイトなスタイルが魅力のトム・フォード、アクティブなスパイ作戦に役立つ腕時計オメガが特徴的。
靴に関してはそれほど作品ごとに異なる雰囲気を感じませんが、ジョン・ロブとクロケット・ジョーンズが多めになっている感じがします。
ではボンドファッションの特徴と魅力をまとめてみましょう。
1960年代:ショーン・コネリー時代(クラシック&エレガント)
【特徴】
- 英国紳士の王道スタイル
- スリムなシルエットのスーツ
- シンプルなモノトーンコーデ
- クラシックな小物(ポケットチーフ、カフリンクス)
【代表ブランド】
- スーツ:Anthony Sinclair(アンソニー・シンクレア)
- 「Dr. No(007は殺しの番号)」(1962)で着用したグレーのスーツが有名
- シャツ:Turnbull & Asser(ターンブル&アッサー)
- 襟の高いカスタムシャツで知られるロンドンの老舗ブランド
- ネクタイ:Grenadine Tie(グレナディンタイ)
- 無地ながらも織り柄が特徴的なネクタイ
- 時計:Rolex Submariner(ロレックス・サブマリーナ)
- 「Goldfinger(ゴールドフィンガー)」(1964)などで使用
1970年代:ロジャー・ムーア時代(華やか&遊び心)
【特徴】
- やや派手なスタイル(ワイドラペル、ダブルブレストスーツ)
- カジュアルな装いも増加(タートルネック、Safari Jacket)
- 70年代の流行を反映した配色とデザイン
【代表ブランド】
- スーツ:Cyril Castle(シリル・キャッスル)
- ワイドラペルとウエストのくびれが特徴
- カジュアル:Frank Foster(フランク・フォスター)
- 映画『死ぬのは奴らだ』(1973)のタートルネックシャツ
- 時計:Seiko(セイコー)
- 『私を愛したスパイ』(1977)以降、ボンドは日本の時計を愛用
- セイコー 7549-7009 ダイバーズウォッチ
1980年代:ティモシー・ダルトン時代(リアル&タフ)
【特徴】
- ミニマルで機能的なスタイル
- スーツはシンプルなシングルブレストが主流
- 軍事的な要素を取り入れたカジュアルウェア
【代表ブランド】
- スーツ:Benjamin Simon(ベンジャミン・サイモン)
- 『リビング・デイライツ』(1987)で使用
- 時計:TAG Heuer Professional Night-Dive
- より実用性を重視
1990年代:ピアース・ブロスナン時代(洗練されたビジネススタイル)
【特徴】
- エレガントでモダンなスーツスタイル
- 90年代らしいすっきりしたシルエット
- 高級ブランドのアイテムが増加
【代表ブランド】
- スーツ:Brioni(ブリオーニ)
- イタリアの高級ブランドで、ボンドスーツの定番となる
- シャツ:Turnbull & Asser
- 時計:Omega Seamaster 300M(オメガ シーマスター)
- 『ゴールデンアイ』(1995)からオメガが公式時計に
2000年代~2021年:ダニエル・クレイグ時代(モダン&アクション向き)
【特徴】
- よりタイトでフィット感のあるスーツ
- カジュアルウェアも多用(レザージャケット、ポロシャツ、カーゴパンツ)
- 機能性を重視した実用的なアイテムが増加
【代表ブランド】
- スーツ:Tom Ford(トム・フォード)
- 『カジノ・ロワイヤル』(2006)以降、ボンドスーツのメインブランド
- カジュアルウェア
- Levi’s 306 ST(デニム)
- Barbour Beacon Heritage Jacket(『スカイフォール』(2012)で着用)
- **John Smedley(ジョン・スメドレー)**のポロシャツ
- 時計:Omega Seamaster Planet Ocean 600M
- よりアクション向けのデザイン
007のファッションは、時代ごとに変化しながらも常に洗練されたスパイらしさを保っています。
特にスーツはボンドの象徴であり、現在でもBrioniやTom Fordがそのスタイルを引き継いでいます。
時計はロレックスからオメガへと移行し、カジュアルウェアも増えてきました。
ハイファッションになるので全ては難しいですが、ポイントとして普段のお洒落に取り入れるのは可能ではと思いますね。
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おすすめしたいジェームス・ボンドの定番ファッションブランド【8選】
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キングスマン:伝統とモダンが融合した英国紳士スタイル
民間の有志によってつくられた諜報機関「キングスマン」を描いた、2014年初公開のイギリス・アメリカ共同制作ムービーです。
主演は若手のタロン・エガートンで、それを支えるコリン・ファース、マーク・ストロング、マイケル・ケインなどの名優が脇を固めています。
公開当時は予告編でスパイのアクションをスローモーションで魅せる映像が衝撃的で、強化傘などのスパイツールの存在も面白さに拍車をかけていましたね。
映画の魅力はもちろん実力派の俳優が見せるコメディチックなアクションですが、それ以上に惹きこまれるのはその「出で立ち」です。
諜報機関のアジトの一つである紳士服テーラー「キングスマン」では、実際にお客に英国伝統の紳士服を仕立てていて、主人公やメンバーも皆パリッとしたスーツで身を固めています。
とくにスタイルの良いコリン・ファースやマーク・ストロングの出で立ちはまさに「紳士」というにふさわしく、体にしっかり合わせたスーツから生み出されるアクションは見事というほかしかありませんでした。
彼ら2人は身長が180後半もあるのでスーツが似合うことおびたたしく、170㎝少々の自分的には「う、うらやましい・・・」の声しか出ませんでしたっけ。
そんな羨望と妬みを半々くらいに抱きながら、キングスマンのファッションについての私が知りえた情報を以下にまとめてみますね。
【ファッションの特徴】
- ダブルブレストスーツ(威厳と格式を感じさせるデザイン)
- タイトフィットなシルエット(モダンな英国紳士らしさを強調)
- 高級生地を使用(ドーメルなどの伝統的なファブリック)
- 足元はオックスフォードシューズ(穴飾りなし)
- アクセサリーとしてポケットチーフやカフリンクスを活用
【ファッションブランド】
- スーツ:ハンツマン(サヴィル・ロウの名門)
- ネクタイ:ターンブル&アッサー
- 靴:ジョージ・クレバリー
- メガネ:カトラー・アンド・グロス
【総評】
キングスマンのスーツには、伝統的なブリティッシュスタイルの要素が多く含まれていますが、カットは現代的で洗練されており、スパイ映画らしいシャープな印象を与えます。さらに劇中のキャラクターたちは、スーツの着こなしだけでなく、仕草や振る舞いに至るまで「紳士」であることを徹底しています。
裏切りのサーカス:リアルな英国スパイの落ち着いた装い
2011年に公開されたイギリス・フランス・ドイル共同制作のスパイ映画です。
原作を映像化した作品であり、その意味ではボンドシリーズと同じですね。
原作はイギリス諜報部員の活躍を描いた「スマイリーシリーズ」で、作者は自身も同国の諜報部員だった作家のジョン・ル・カレ。
ボンドシリーズの原作者(イアン・フレミング)も同じ経歴をたどっていますが、作品内容はジョン・ル・カレのほうがより「リアル」で、アクションの派手さはないけれども、諜報部内の政治抗争や主人公が従事する作戦の非情さなどを丁寧に描いています。
そんなシリーズ作品の一つ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を映像化したのが「裏切りのサーカス」。
過去や現在を行ったり来たりする時系列表現の難解さや、言葉で語らずに映像から読み取るあたりが「玄人向けな作品」という印象を受けました。
舞台となるのは、冷戦期真っ只中(1960~70年代)のイギリス、ヨーロッパ。
英国諜報部「サーカス」に潜入したソ連のスパイをあぶりだすために、引退した主人公スマイリー(ゲイリー・オールドマン)が隠密裏に証拠集めを始めるというのが、主なプロット。
英国諜報員といっても、現場で動くレベルと、本部のデスクから部下を指揮して活動する幹部レベルがありますが、スマイリーらはこちら側です。
だからなのか、身につけているスーツに派手さはなく、カバンなどを含めて「渋さ」すら感じさせられました。
逆に言えば「落ち着きと質の良さ」がうかがい知れるクオリティともいえますし、本物の英国人にしか似合わない「歴史」「奥深さ」をファッションや小物から感じ取ることはではできましたね。
そんなこんなを含めた「裏切りのサーカス」で見られたファッションの特徴や魅力を以下にまとめてみましょう。
【ファッションの特徴】
- スリーピーススーツ(チェック柄や落ち着いたカラーが多い)
- 厚みのあるツイード素材(寒い英国の気候に適応)
- シンプルなタイと控えめなシャツの組み合わせ
- 知的で無駄のないアイウェア(特にラウンド型メガネ)
- 上質なレザーシューズ(派手さを抑えたデザイン)
【ファッションブランド】
- スーツ:ポール・スミス、アンダーソン&シェパード
- シャツ:バド・シャツメーカーズ
- 靴:トリッカーズ
- アイウェア:オリバー・ピープルズ
【総評】
派手なアクションは少ないものの、1970年代の英国諜報機関のリアルな雰囲気がファッションにも表れています。本作の衣装は、派手なスーツではなく、あくまでリアリティを追求したもの。キャラクターごとの個性も服装に反映されており、主人公スマイリーは、控えめながらも確かな品格を感じさせるスーツを着こなしています。
まとめ
3作品の特徴をまとめてみますね。
作品名 | 特徴 | スーツのスタイル | 靴の種類 | 似合うシーン |
007 | クラシック&エレガント | シングルブレスト | ストレートチップ | ビジネス、パーティ |
キングスマン | 伝統とモダンの融合 | ダブルブレスト | オックスフォード | フォーマルな場、社交パーティ |
裏切りのサーカス | 渋く落ち着いたリアルスパイの装い | スリーピース | シンプルなレザー | カジュアルなビジネス、クラシックな装い |
それぞれの作品には、正統派の紳士服スーツや小物がメインに登場しますので、ビジネス・フォーマルな場だったり、パーティーでのシチュエーションの参考になるかと思います。
関連ブログでもビジネスファッション、ボンドファッションを取り上げていますので、以下の「英国スパイファッションを日所生活で取り入れるポイント」に合わせて、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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