2016年公開のアメリカ映画です。
劇場で一回、DVDでもう一回の計2回視聴しました。
なぜなら・・・
めちゃくちゃ見応えがあったから!
今回の記事タイトルに書いてある通り、最後に大どんでん返しが待っていたからです。
まったく予想もしなかったあのラスト。
私は小学生の頃から色んな洋画を見てきて、それなりにサスペンス系映画の伏線やら仕掛けに慣れているつもりでしたが、この映画はまったく最後のあの瞬間まで仕掛けが分からず、そしてその仕掛けを施していた人物が分からずに・・
ということで、映画の感想を述べていきたいと思います。
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女神スローンは凄腕のロビイストだった!
主人公のスローンは超凄腕のロビイスト。
ロビイストとは、
・特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動
・議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象
です。
アメリカの政治やメディアから、よく耳にする言葉ですよね。
政治献金など厳しく取り締まられている日本では、同様の民間企業があるかどうかは分からないですが・・
そのロビーストの中でも飛びぬけて高い業績を誇る女性が主人公のスローン。
そんな彼女がある日、銃規制法案の世論のうねりが高まる中で、大手銃メーカーからの政界へのロビー活動を依頼されます。
銃規制に賛成だったスローンはその依頼を断りますが、会社からは受けるように要請。
良心に逆らうことはしたくないという思いを抱きつつ、銃規制法案に賛成するロビー活動を行う小さな会社からスカウトされたこともあり「これで勝てば、自分の能力の高さをより証明できる」という才能の迸りもあって、転職するのです。
この小さな会社の社長があのマーク・ストロング。
裏切りのサーカスや、キングスマンで一気に自分の中で評価が急上昇してる名優です。
落ち着きのある経営者ぶりでスローンに匹敵するロビー能力を発揮するのかと思いましたが、今回は逆にスローンの能力の凄さを引きたてるサポート役に徹していた配役でした。
新しい会社に行くときに、それまで在籍していた会社から多くの部下を引き抜いていきます。
唯一、最も信頼していた一人を除いて・・
新しい会社で銃規制法案の成立のため、世論の喚起と、銃メーカーと政治家の癒着を徹底的に調べ上げていきます。
その過程でスローンはあらゆる裏技を使って、敵となる銃メーカーと政治家の不正に近づいていくのです。
そして最後の聴聞会。
それまで使っていた裏技が裏目に出て逆に法律違反の罪に問われる羽目になり、これは負けか・・・と思いきや!
ある「決定的な証拠」を手に入れていたスローンが、それを出席者全員に見せることで、政治家と銃メーカーの癒着を白日のもとにさらすのでした。
勝利を掴む執念がすごい
戦略の天才と呼ばれるスローンはどんな情勢でも必ず自分が勝つように「先を読み、敵の先手を打って勝利する」ことに非常に長けています。
最後の最後まで「神の俯瞰の目」を持つ観客の視点をもってさえも、彼女の繰り出す「決めの一手」が全く読めずに愕然とさせられました。
とはいえ、後で考えると「なるほど・・あのシーンはそういう伏線だったのか」と思わせるカットがいくつも出てきます。
回想シーンでもそれは分かりますし、途中で挟まれる「このシーン、いるの?」と首を傾げた意味のない場面ですらも、実は彼女の作戦の合図だったことが後に判明するのです。
詳しい内容は映画を未見の人がいると面白さが半減するので、ここでは触れませんが、これらの作戦の最大のキーパーソンとなる人物が映画の端々に表れます。
この人物がスローンの戦略行動の柱であり、敵を追い詰める「決めの一手」を握ることになった功労者ともいえるのです。
いわば埋伏の毒というやつですね。
*甘い餅に毒を入れて、敵に毒と気付かせないよう食わせてしまう策のこと(現代風にいうと二重スパイ)
とはいえ、作戦の中でスローンは大きな失敗を犯します。
それは彼女のチームのメンバーを利用したこと。
メンバーの一人に銃で襲撃された経験を持つ女性がいました。
その女性をメディアに押し立てて、銃規制への世論の喚起を促そうとしたのです。
ただそのことは直前まで知らされていなかったメンバーの女性は、突然のテレビ出演(銃撃事件で心の傷を負ったヒロインとうイメージング)を伝えられ、心の準備が出来ていないまま、メディアの前にさらされたのでした。
結果、銃規制を良く思わない銃賛成派からの脅しに合い、さらに偶然その場にいて彼女を助けた男性が銃で彼女を守ったことから、二重の意味でスローンは内外の信用を失っていくのです(メンバーの不信感と、銃賛成への追い風)
さらに作戦行動の序盤でスローンはメンバーに必ず裏切り者が出ることを予想して、メンバー全員に監視をつけていたことも判明します。
実際に裏切り者が発覚したので読みは成功でしたが、この瞬間にスローンが「誰も信用していない」ということがメンバーにも、彼女をスカウトした社長にも発覚したのでした。
ここまでして彼女を追いやる原動力は「勝利への執念」。
勝つためには手段を問わないやり方は苛烈ながら、味方にすればここまで頼りがいのある人物はいないですね。
スローンの弱さと美しさ
仕事では鬼のような苛烈さと氷のような冷たさで目的を成し遂げていくスローンでしたが、当然、その過程で人間的な「温かみ」や「喜び」は犠牲になっていきます。
独身の彼女には恋人もおらず、唯一、欲望のはけ口としていたのが、エスコートサービスの男性とのワンナイトラブでした。
金で雇った「男性版コールボーイ」で、寂しくなった日にだけ電話で読んでベッドを共にするという日々を送っていたのです。
そんなある日、常連の客であるスローンに、そのコールボーイは「あなたも寂しいんだね」と声をかけます。
銃規制法案を通すための作戦だったとはいえ、メンバーである部下の過去を暴露し、メディアにさらしてしまった挙句に銃で襲われて「あなたは人の心をもっていない」とまで痛罵されたスローンは、コールボーイのこの言葉に感情の動きを見せます。
ただそれ以上のことはせず、コールボーイとの関係を終わらせるのでした。
このシーンのスローンは、それまでの氷の女の姿を一瞬だけ緩め、弱さを滲ませた普通の女性になっていて「戦略の天才といえど、人間の心を持っていたんだな」と感じさせられた場面でした。
そんなスローンが垣間見せる弱さの一方で、その衣装がすごくスタイリッシュであることも目を引きます。
機能的なスーツに色気のあるハイヒール。
スローン演じるジェシカ・チャスティンのクールビューティーさが強調されるようなメイクもきれいだなと思いましたし、彼女のキレのある動きにフィットした服装もすごく魅力的に見えました。
強さと弱さ、美しさを兼ね備えたスローンは、まさに「女神」というべき存在ですね。
最後の勝利に向けて
こうしてあらるゆ手段を用いて作戦を積み上げていったスローンですが、最後に大詰めとなる聴聞会に出席します。
ここでは彼女のこれまでの法律すれすれもしくは違反した事柄について討論がされていました。
そしてその裁断をするのがスパークリング上院議員。
スローンの行ってきた行為を一つ一つ審議していく前に、スローンは立ち上がり「どうか皆さんの良心に従って銃規制法案に投票してください」と出席者全員に訴えます。
このときに”なぜか”スローンが会社を辞めるときに残って、唯一反旗を翻した女性が、隣にいる上司に辞表を渡して会場を後にしました。
これで皆が心を入れ直して賛成に回ったらクソ映画決定だな、と内心思いましたが、しかしその次のシーンでそれが完全に裏切られることになったのです。
「私は以前の会社を辞める時に、デュポン(銃メーカーのトップ)を監視するために、密偵を一人残しておきました。デュポンは政治家と結託して銃規制法案を廃案にするよう密約を交わしていたのです。これがその証拠です」
といって、ある「もの」を皆に見せるのでした。
そしてそれがスローンの勝利を決定づけるものとなったのです。
この一連の流れはまさに「神」でした。
はっきりいって、このシーンで私はグワシッ!と心を掴まれまくったのです。
そうだったのかと。
あのシーンはああいう意味があったのかと。
スローンの言葉の意味、行動の裏、意味ありげな電話は、全てこのときのための伏線だったのかと。
はっきりいってカタルシスです。
映画を見てここまで「分からなかった」感はなかったですし、爽快さを感じた瞬間もすごく稀でした。
それまでの流れはすべて、この聴聞会の一コマのために存在していたのです。
まとめ
聴聞会の後、スローンはそれまで行ってきた違法行為の罪を償うために連邦矯正施設に収監されます。
弁護士が彼女を訪ねて、デュポンと件の政治家の聴聞会が近く開かれることになったと伝えていました。
そこで弁護士が「なぜキャリアを捨ててまで銃規制法案の仕事を受けたのか?」と聞くと、スローンはこう答えています。
「キャリアを捨てるほうが、命を捨てるよりもマシだからよ」
スローンの良心を感じたセリフでした。
勝利のためとはいえ、チームメンバーの「銃で襲撃された」過去をメディアに暴露させてしまい、心を深く傷つけてしまったこと。
その一連のやり取りが、スローンがいつの間にか失っていた「何か」を取り戻させたのかもしれません。
それからスローンは弁護士の力で予定よりも早く出所します。
そのさきにかつて密偵だった部下がいたかどうかは・・・
映画をご覧になってご確認あれ。
見て損は絶対にしない作品ですよ。