待望のキングスマン見にいってきました。 予告編で見た時に、ミッション・インポッシブルや007など従来のスパイアクションものにはない斬新さを感じて期待を大にして着席しましたよ。
しかも準主演がコリン・ファースという、スパイアクションとは程遠い配役が意外性があっていい感じ。
主演のターロン・エガートンは自分的には初見でしたが、見た目にはまあまあはまり役っぽいです。
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あらすじと感想
キングスマンというのは、特定の国家や組織に属さない、古来からの権力者が正義を実現するために作ったスパイチーム。
英国に本拠を置くという設定であることから、ジェントルマンたることを誇りとするスパイたちの集まりなのです。
話の骨子は、人類の滅亡を画策する億万長者の計画を止めるためにキングスマンが立ち上がるというもの。
狂気のIT長者バレンタインを演じるのは、パルプ・フィクションやスターウォーズでもおなじみのサミュエル・L・ジャクソン。
今回はかなりヒップホップな装いでマッドでリッチな理想主義者を演じていて、
「地球を救うためには人類の数を減らさなきゃならないんだよ!」
と、これまたマッドでキュートな女部下を率いて、狂気の計画に邁進していきます。
彼の一見理想じみた計画「人類という有害ウィルスから地球を救う」に意外な数の賛同者が集い、なかには一国の首相がいたりして、なんだか妙なリアルさが。
一方のキングスマン側は、バレンタインの計画の全容を暴くためにハリーが自らがバレンタインの懐に近づいていきますが、逆にこれを探知されて、ハリーの身に危険が及ぶことに。
かつて中東の作戦で自分が死なせてしまった仲間に報いるため、その仲間の一人息子であるエグジーをキングスマンの選考プログラムに参加させたハリーは、結局エグジーが正式なメンバーの一員となる前に、バレンタインに殺されてしまうのです。
このエグジーを演じるのが、新人俳優のターロン・エガートン。
英国ウェールズ出身の若手俳優で、一見やんちゃそうな風貌ですが、ふとしたときに見せる表情が、いかにも英国人という雰囲気を醸し出していて、映画の終盤にそれが一気に花開きます。
ハリーによって見出されてスパイの道を歩むことになったエグジーの運命は、いわばスパイ版「マイフェア・レディ」というところですが、実際に映画の中でも二人の会話で、その名前が出てきてて面白かったですね。
生まれた環境で人生は決まるのではない
ハリーはそう固く信じているのですが、そのことを直接的にはエグジーに訊ねずに、あえて映画に喩えて聞いてみるのです。
「ニキータを知ってるか?プリティ・ウーマンは?」
「知らない。 でもマイフェア・レディなら知ってる」
と言ったときのハリーの驚く顔。(劇場に笑いが)
「えっ?ニキータとか知らんのに、マイフェアレディは知ってるの?」
みたいな感じのノリがよかったですね。(マイフェアレディは60年代じゃないか?)
たとえエグジーが下層階級の出身で世に出るチャンスがごくわずかでも、決してあきらめずに努力して夢をかなえる姿勢の大切さをハリーは説きたかったのでしょう。
そんな本来なら泣かせるシーンで軽く笑いを入れるところが、いかにも乾いたウィットに富んだ英国らしいといいますか。
このセリフ以外にも、シリアスだけど笑えるセリフが随所にありました。
たとえば映画終盤で上官であるマーリンが、敵地に停めた飛行機内で「バレンタインを倒して来い」とエグジーに命令しますが、武器を持っていなかったエグジーが「じゃあその銃をください」と言うと、
「いや、これは私の護身用だ」
と言って、答えて離さなかったこと(ええ~っという顔をするエグジー)
ほかにも、血を見ると吐き気を催すと常々言っていたバレンタインが、ラストでエグジーに背中から止めをさされた時に、傷口から出た自分の血を見てゲロをはきながら倒れていったシーンとか(笑)
セリフ以外に笑ったのは、頭にチップを埋め込まれたバレンタインの賛同者たちや部下たちが、エグジーらの働きによってチップが起動し、爆発するシーン。
小さなキノコ雲が炸裂していって、まるで花火のようでした。実際に花火の映像を使っていたから、完全におふざけです。
このチップというのが、バレンタインの計画と密接に関係していて、無料で通話やインターネットを利用できるSIMカードを全世界にバラ撒き、人工衛星を通じてカードに特殊な電波を流して、人類を互いに争わせて滅ぼすというもの。
そのときにバレンタインによって選ばれた協力者や計画の賛同者および部下たちを、暴力電波から守るために、耳の後ろに保護チップを埋め込んでいったのです。
同時にこのチップには裏切りを防ぐための爆弾機能もついていて、それをエグジーら生き残りのキングスマンチームが遠隔操作で起動させたというわけで。
またその計画が作動するときにかかる音楽が、やたらとハッピーなダンスチューンだったのも、なんだか笑えましたね。
70~80年代に活躍したファンク&ディスコグループ「KC&ザ・サンシャインバンド」が1982年にリリースした9枚目のアルバム『All in a Night's Work』の収録曲で『Give it up』。
【映画音楽】「キングスマン」で初めて知った!KC&ザ・サンシャイン・バンド「
今聞いても全然お洒落です。ちょっとおバカでポップなダンスチューンという感じで、映画のシーンにすごく馴染んで雰囲気を盛り上げてくれます。
こうしてエグジーらは、自分たちのボスまでもがバレンタインの計画に賛同してしまったことから、残された数少ない仲間とともに、バレンタインの野望を阻止しようと、策を練って本拠地に乗り込んでいきます。(先ほどの上官マーリンとの笑えるやりとりも、ここで行われます)
バレンタインの右腕である女殺し屋ガゼルが見せる義足の殺し技も、タランティーノのキルビルやアベンジャーズのスカーレット・ヨハンソンを彷彿とさせていて、やたらと現実離れしておりました。
そしてエンディングへ・・・
最後は予想通りの展開で、エグジーが見事バレンタインを倒して野望を止めるという感じだったのですが、コリン・ファース演じるハリーが途中で死んでしまったのはちょっと残念でしたね。
この自分の感覚を例えていうなら、スターウォーズのオビワンケノービが、まだ修行半ばのときに師匠のクワイガンジンが敵に殺されて、幼い未来のダースベイダーを育てながら、独り立ちしなければならなくなったバージョンというか。
【スターウォーズ】ダースベイダー誕生!エピソード3「シスの復讐」鑑賞記
この段階でのエグジーの修行レベルは訓練コースを出たばかりの初の一回戦ボーイということで、オビワンよりもっと修行が全然足りてない段階の不安や悲哀、といえば、わかるでしょうかね(笑)
とはいえ、最初の設定が海兵隊を途中で抜けたという経歴(母の反対で)もあるので、初めてのドンパチ実戦ということにはならないのかもしれません。 それにしては序盤のエグジーの見た目とかふるまいがどう見ても、ゆとり世代そのものという感じはしますが(笑)
ハリーが死ぬのは、アメリカの原理主義的なキリスト教会の集会で、人類の堕落を激しく説く司祭と信徒たちを狙って、初めての電波作戦の実験をしようとするバレンタインの狙いを偵察に行ったとき。
少し離れたビルでバレンタインらが電波を流したとたん、信徒や司祭は一気に凶暴化。ハリーもその影響を受けて次々と襲い掛かる信徒らを倒していきます。
全員を倒したところで、教会を出たハリーを迎えたバレンタインが、自分の嫌いな血を見る行動に出てハリーを殺害します。
このときかけていたハリーの眼鏡はビデオ撮影機能がついていて、教会での一部始終やハリー自身がバレンタインによって殺される瞬間が、イギリスの本部やハリーの自宅で待機していたエグジーのPC画面によって映し出されていたのでした。
エグジーはこのとき、キングスマンとなる最終試験に落ち、失意のうちに家に戻って腐っていたところを、ハリーに呼び出されて彼の家で待つように言われていたのです。
衝撃を受けたエグジーが本部に駆けつけてキングスマンの首領であるアーサー(マイケル・ケイン)と話していたところ、アーサーの裏切り(バレンタイン側についた)を察知し、機転を利かせて彼を倒します。
こうして現存のメンバー、マーリーン(訓練コースの教官)、ロキシー(正式に採用された女性の新人キングスマン)とともに、バレンタインの計画を阻止するために動き出すストーリーに展開していくということでございます。
苦心の末にバレンタインを倒した後、計画に賛同するように脅迫されて監禁されていたスカンジナビアの某国王女の部屋にエグジーは誘われて入っていき、ジェームス・ボンドばりにベッドシーンを展開するさまが、眼鏡を通して教官マーリーンのPC画面に映し出されて「こっ、これは・・見てられないぜ」と言って映画はエンドロールに。。。
ちなみにこの王女役を演じた女優さんは、実際に北欧のスウェーデンの方で、ハンナ・アルストロム(Hanna Alström )さんといいます。スウェーデンの首都ストックホルム出身で、1984年生まれの34歳。5歳のころから子役でテレビに出ていたようです。
公式情報では「キングスマン」以外のキャリアはスウェーデンでのテレビシリーズや映画のみのようですが、今回の出演でこれからメジャーでの露出が増えていくかもしれませんね。
話を元に戻します。
先ほどのエグジーが王女とベッドインするだろう場面を想像しながらエンドロールに向かう最中で、けっこう何人ものお客さんが立ち上がって出ていこうとしたのですが、いきなり場面は切り替わります。
そこはパブでした。(英国式居酒屋のことです)
映画の冒頭、エグジーがハリーによって警察から助け出されてから、一緒に飲みにいった場所。
エグジーに因縁をつけてきたチンピラをハリーが見事な格闘術で倒していき、それを見て驚愕したエグジーがキングスマンに入るきっかけを作った場所でもありました。
エグジーの母と義理の父であるチンピラの親分と彼の部下たちが飲んでいるところに、パリッとしたスーツを着て(ハリーが生前に作らせた特殊スーツ)新生キングスマンのメンバーとして、母を迎えにいったエグジーが、「新しい家も仕事も手に入れた。一緒に帰ろう」と言って、手を差し出します。
義理の父は「ふざけんな!」と言って、配下のチンピラと一緒にエグジーをしばこうと立ち上がりますが・・・
ここからは映画を見てのお楽しみということで。 まあ本編には関係のない余興のシーンなのですが、けっこう面白かったですね。 続編が作られそうな予感を感じさせるシークエンスでもありました。
総じての感想は、軽い感覚のスパイアクションムービーという感じで、それほど心に残る印象はないです。
もしコリン・ファース演じるハリーが生き残っていれば、彼の圧倒的な存在感が映画をもっと重みのあるものにしたのでしょうが、若いエグジー一人ではちょっと画面に迫力がないかもしれません。
でもこういうノリの映画は全然嫌いじゃないので、ぜひとも続編を作ってほしいですね。
まだもう少し続く・・
まだ終わりません(笑)
長いレビューですいません(汗)
実は配役でけっこう気になる点がありまして。ハリー演じるコリン・ファースと教官役のマーリーン演じるマーク・ストロングは、「裏切りのサーカス」でスパイを演じた者同士というところに気がつきました。
裏切りのサーカスでは、現場諜報員であるマーク・ストロングが、幹部であり、上司にもあたるコリン・ファースが組織を裏切っていた黒幕であることを知り、最後に自らの銃で葬るというシーンを演じていました。(原作はジョン・ル・カレのスパイ小説)
【ジョン・ル・カレ】「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」と「裏切りのサーカス」 レビュー
実はコリン・ファースを愛していて(映画の設定です)、裏切りが発覚したものの、政治取引で東側に亡命させられることが決まっていた上司役のコリン・ファースを「愛する者の裏切りは許せない」ということで、自らの意志で射殺したという愛憎半ばの濃密な役柄。
そんな濃くも寡黙なスパイを演じたマーク・ストロングが、再びコリンと同じスパイものを演じるという面白さ。
「裏切りのサーカス」では幹部であったコリン・ファースのアクションは見られませんでしたが、今回の作品はその真逆です。
上等なスーツを身にまといつつも、髪を振り乱して敵をバッタバッタとなぎ倒していくアクションは、見ていてほれぼれしました。
しかしなんといっても、配役でもっとも驚いたのは、実は冒頭ですぐに死んでしまったアーノルド教授です。
地球環境に憂いを感じていたバレンタインが、教授の学説を計画に取り入れようと誘拐したところで、映画の本編は始まりますが、この教授を演じているのが、あのマーク・ハミルであることを知ったのは、このレビューを書いているたった今なのです!
オーマイガー
影も形もあーりませんじゃないですか。
スターウォーズでフレッシュな主人公を演じていたあの1977年から38年たちましたが、今やジェダイの騎士というよりも、ジャバ・ザ・ハットといったほうが正しいともいえる崩れっぷりに驚愕。
ファンのみなさん、すいません。
年末にスターウォーズの新シリーズが始動しますが、その幕開けとなるかつてのヒーローの復活した姿に時代の流れの速さを実感いたしました。
本当にエンディング
主人公の育った環境やキングスマン候補生同士のやりとり、ハリーと彼の上司であるアーサーの会話、バレンタインによって集められた選ばれしセレブたちの最後、王女は見捨てて自分は助かろうとする首相が「私は共和主義者だから」と言うセリフ、捕らえられた王女が救出しようとするエグジー(平民出身)に「もし助けてくれたなら、お尻から・・・・」と言って誘うシーンなどなど、平民やら貴族やらの階級社会を皮肉るシーンが随所に散りばめられていたので、改めてあちらの文化の特色を見出したというか。
007にもちょっこっとこういう文化的味付けはありましたが、同じくアメリカのスパイものであるMIシリーズには、まずそんな場面はなかったことを考えると、そりゃあ平民やら抑圧された民族は自由の国アメリカに逃げるわなーという感じで。
アメリカにアイルランド移民が多いのもそのせいなんでしょう。
そんなこんなで、よくも悪くも英国風味のスパイアクション&ブラックジョークを存分に味わせてくれた作品。ぜひぜひこのセリフを次回作でも聞きたいところです!
「マナーが人を作るのだよ」
映画『キングスマン』本編映像
追記(コメントについて)
以前のブログでコメントを頂いてたのですが、その方から「裏切りのサーカス」でのマーク・ストロングとコリン・ファースの関係のまた違う見方を教えて頂きました。
というか・・・こちらのほうが正しいかもしれません(汗)
なにせかなり感覚で観ていたので、本当のところがどうなのか、ちょっと自分でも怪しくなってきました。
そちらのコメント欄でのやり取りも載せておきますので、よければ参考にしてください。
コメントありがとうございます。裏切りのサーカスですが、たしか愛情関係のもつれが原因だったと記憶しますが、なんだかだんだんとれんかさんの見方のほうが正しいような気もしてきましたよ!内容をほとんど忘れてしまっているので・・・そうなるとレビューで書いた見方は僕の完全なる勘違いだったかもしれません(汗)またチェックしとかないといけませんなあ。ご指摘ありがとうございました。(ブログ主)
さらに追記(続編の予告について)
第一作が公開されてから続編を求める声が高かった「キングスマン」ですが、その期待通りに第2作が制作されていたようです。
しかもすでに公開日まで発表されているとのこと!
『キングスマン2』のあらすじ・キャストまとめ!公開日などを紹介!
2017年10月に全米公開だとか。
日本公開は同時期かまたはその後になるのでしょうかね?(先行なら嬉しいですが)
いや~楽しみですね。
主演のタロン・エガートン、教官マーリン役のマーク・ストロングが引き続き出るようで、新たにハル・ベリーやジュリアン・ムーアもキャスティングされてるとか。
これからは女性の時代といいますけども、どうやら今回の敵役のボスはジュリアン・ムーアが演じているという噂で、本当ならかなり美人で魅力的なヴィランになるようですね。
しかも新たな敵はアメリカのスパイ組織「ステイツマン」。
キングスマンと語呂を似せていて、なかなかいい響きですよ。
日本も映画の主要なロケ地として出ているということで、かなり楽しみです。
しかも前作で死んだはずのコリン・ファースが復活して出演するということ!
キングスマンはコリン・ファースによって別格の映画に仕上がっていたと思うので、次作での出演は本当にいろいろ期待できます。
これはまた第一作を見直して、映画の内容を復習しておくかな!
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