夏だ!暑さだ!涼しさだ!
ということで、怪談好き、心霊好き、ホラーもの好きの私が今まで鑑賞してきて「気分も体もゾワッと冷やしてくれる」ホラー映画のマイベストランキングを紹介します!
TOP1~5
1位「シャイニング」
1980年公開のアメリカ作品です。
ジャック・ニコルソン演じる売れない小説家とその家族、そして「ゴースト」たちが繰り広げる「恐怖」と「狂気」がこの映画のコアになります。
なにより怖いのがニコルソンの顔。
序盤のなんでもないシーンから表情だけで「狂気」を感じさせてくれる顔面演技力は、イージーライダー以来の伝統のお家芸ですね。
小説を書くために気分転換で別荘に訪れるのですが、そこでは古くから住み着く「家霊」がいて、ニコルソンらの訪問を彼らなりに歓迎するのです。
次々と現れる幽霊たちの姿や出現の仕方が、他のアメリカの「グワーッ!」な勢いホラーではなくて、日本風の「ジワリ」「リアル」な心霊感だということ。
中でも風呂場のばあさんとか、エレベーターの双子姉妹は本当に見てしまったら失禁もの間違いなし!
霊能力のあるニコルソンの子供が屋敷の霊の存在に気づき、同じく能力をもつ管理人と交流をもつシーンは、全てが狂っていくこの映画の中で唯一のまともな人と人との交流という感じでした。
後半はラッシュの如くにニコルソンのクレイジー化が進んでいくのですが、それよりも追い詰められた奥さんの顔が実は一番ホラーだったというのは、多くの鑑賞者の同意するところだと思います。
ニコルソンの最後の顔に匹敵するくらいです(笑)
映画のラストではニコルソンが歴代の幽霊に加わっている写真が写されますが、こういう演出は本当に何気に怖くて不気味ですね。
バックに流れる品のいい音楽と合わせて「上質な恐怖」を味わせてくれますよ。
ちなみにこのときに生き残った息子は後に成人して、30数年後の現代に再びスクリーンに姿を現します。
しかも亡くなってしまった管理人とともに・・その息子を演じるのがユアン・マクレガー。
2019年の「ドクタースリープ」が後編になります。
レビューを書いているのでぜひご覧くださいね(下段に貼ってます)
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【ドクタースリープ感想】シャイニングの続編と愉快な仲間たち
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2位「八つ墓村」
1977年公開の日本映画です。
横溝正史原作の金田一耕助シリーズの一つで、昭和初期の岡山の村で実際に起きた事件をホラー風に描写しています。
何が怖いと言えば、映画版の山崎努の序盤のシーン。
犯人が気が狂って村人を襲うシーンですが、頭に懐中電灯を2つ突き立てて猟銃をもって村中を駆け巡るときの「青白く鬼のような表情」になった顔が「怖すぎる」レベルをはるかに振り切ってました(もはや人間でない)
史実ではこの男の狂気はちゃんと理由があってのものらしいですが、映画ではこれを戦国時代の尼子一族の呪いに合わせて脚色していて、それがまたオカルト少年だった私の心をグワシッ!と掴んでくれたものですよ。
基本的には事件ものとして依頼された金田一が現地を訪れて真相を暴いていく流れなのですが、その過程で出てくる村人の描写や、無残な死を遂げた落ち武者たちの恨みを晴らしたときの不気味な笑い(エンディング)が、単なる探偵ものを越えた「ホラー感」を凄まじく表現してくれて最高でした。
映画の最後は犯人の女性が悪霊に憑りつかれて主人公の男性を襲うのですが、この女優さん(小川真由美さん)がすごく美しくて見とれてしまった覚えがありますね。
まさに美しき鬼女という妖艶な美貌で「ああこんな美女なら襲われてみたい」と子供ながらに思ったものです(ませガキでした)
横溝正史の金田一シリーズは、日本の地方の因習をもとに起こる一族絡みの事件として描かれることが多いのですが、その中でもこの作品は飛びぬけて「オカルト色」が強く、自分の中では邦画作品では「魔界転生」に並ぶ最強レベルの和製ホラーといえますね。
3位「女優霊」
1996年公開の日本のホラー作品です。
監督が後にリングで有名になる中田秀夫氏ですが、この映画が本格ホラーとしてデビュー作品になっています。
たけし軍団の柳ユーレイが演じる映画監督が新作の撮影をしているときに、スタジオ内やロケ先で次々と怪異を起こしていき、最後は監督もろとも異世界に連れていかれるという衝撃のエンディング。
この作品の怖いところは、とにかく「心霊写真」の雰囲気を全般に漂わせているところです。
幽霊はスタジオに巣食う想像が生み出した恐怖の塊なんですが、この幽霊の描写が不気味で恐ろしくて、夜中に初めて見ていたときに「おしっこ」をちびりそうになったくらいです。
お歯黒で髪が長くて、狂ったように笑う女の幽霊が背後に常に立っていたら怖すぎるでしょう?
この映画の怖さはとにかく「心霊写真」的なところにあります。中岡俊哉さんの「恐怖の心霊写真集」にハマった方なら間違いなくハマりますよ。
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【女優霊】邦画ホラーの元祖!心霊写真のような幽霊が怖すぎる!
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4位「REC」
2007年公開のスペインホラーです。
伝染病でゾンビ化した住人のアパートに取材で来た女性レポーターとカメラマンが遭遇する「ゾンビホラー」なんですが、描写が絶妙に恐ろしかったです。
アパートという狭い空間と手持ちのカメラで襲ってくるゾンビを撮影し続ける「臨場感」がものすごくリアリティをもっていて、ゾンビ映画慣れした私もかなりビビらされました。
階段を登るにつれて迫るゾンビの怖さレベルも上がっていきましたし、何よりも最後の部屋に住む「得体のしれない何か」の正体が最も不気味で意味不明だったのが良かったです。
さらにそれを撮影しているカメラの映像で表現するので「はっきり」と分からない、でも一瞬だけ見えた怪物の姿が「うわぁ!」な感じという。
続編以降は平凡な作品になりましたが、1のこの作品はかなりホラーレベルは高いですよ。
5位「隠された記憶」
2005年のフランス映画です。
ホラー映画ではなくサスペンス作品なのですが、実態はかなりホラーよりだと思います。
ある家に毎日送られてくるビデオテープには、自分たちの住む家の正面が延々と撮影されているだけのもの。
ずっと見ても変わらない風景なのですが、画面に映し出される「なぜか」緊迫感のある映像は怖いと感じさせられます(犯人の意図が分からないこと、次の画面で怖いことが起きるのではないかという恐怖感)
謎の犯人の追い込みに家族は参っていき、何でもない街の風景もすべて「恐怖」に思えてくる日常。
過去にあったある出来事が原因で犯人は家族に嫌がらせと静かな脅迫を行うのですが、その過去の出来事や途中で犯人らしき人物に迫った時に起きる「凶行」がさらに恐怖を煽ります。
ラストの「犯人が隠れている学校のシーン」は最後まで意味が分かりませんでしたし、全てにおいて一切説明せずに淡々とシーンを進めていく描写が凡百のホラー物の何倍も恐怖を感じさせてくれます。
サスペンス的なホラーとしておすすめですね。
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「隠された記憶」の結末は微妙に隠されていた!!
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TOP6~10
6位「エクソシスト」
1973年に公開されたアメリカホラーです。
名作中の名作なので、ホラー好きなら知らない人はいないと思います。
エクソシストとは「悪魔祓い」のことで、実際にカトリック教会に存在するといわれています。
この映画も実際にあった事件をモデルにしたといわれており、その描写は今見ても凄まじく「禍々しい」ものになっています。
悪魔に憑りつかれた女の子の首が360度回ったり、口から吐しゃ物を吐き出したり、空中に浮いたり、階段から逆さブリッジで降りてきたりと・・・
恐怖の描写は数多くありますが、個人的に怖かったのは劇中に時々「瞬間的」に挟まれる「悪魔」の顔です。
観客に恐怖を植え付けるための演出だと思いますが、この顔が実は一番怖いと感じました。
その後のホラー映画に多大な影響を与えた名作として、ホラーファンなら外せない一品ですね。
7位「ヘレディタリー」
2018年のアメリカホラーです。
悪霊に憑りつかれた一家を襲う数々の怪異現象と、その後の恐ろしい結末に「ウギャ―!」と鑑賞時にのけぞってしまった数少ないホラー作品として、未だに自分の中で嫌な印象を残してくれています。
映画の序盤から嫌な雰囲気は続いていて、それが冒頭の30分ほどで炸裂します。
妹を襲った超悲劇なんですが、この描写が凄まじく恐ろしくて生理的に嫌な感じで、その後に起こる家族の「狂気」を容易に想像できてしまったシーンでした。
究極的には「悪魔憑き」の一家の物語ともいえますが、その遠因を作ったのが悪魔教団の教祖だった祖母という、嫌すぎる展開がさまざまな悪夢となって家族を襲います。
驚愕するのはラスト。
それまで感じていた「心霊的」な恐怖から完全に一線を踏み外して「カルト」な方向に舵を切ってしまい、この時点で私の関心も「あの中年デブは、なんであんなにだらしない体をしてるんだ」という「美的な怒りモード」にマインドチェンジしてしまいました笑
エンディングの箱絵的な可愛らしい描写も「趣味わる~」な印象しか持てませんでしたし、とにかく終始「嫌な気分」で終わらせてくれたある意味「名作」だといえます。
見る人を選ぶ作品ですね。
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8位「エミリーローズ」
2006年のアメリカホラーです。
ドイツに実際に起きた「悪魔憑き」「悪魔祓い」を映画化したもので、前半が悪魔憑きを、中盤からは法廷のシーンに終始します。
法定では「悪魔祓いで死亡したことは殺人になるのか」という論点で進んでいきます。
私は正直、前半のエミリーローズと呼ばれる女性が悪魔憑きしていく描写がひたすらに恐ろしかったので、それ以外の記憶がありません(笑)
とはいえ、裁判で悪魔の存在について取り上げられたということ自体が前代未聞だと思いますし(中世を除く)、それを法的に証明しようという流れは「心霊好き」としてはかなり興味をそそる内容ではありました。
ホラー的にはとにかくエミリーの悪魔化が恐ろしくて哀れでした。
全身の筋肉を引きつらせて悪魔に体を乗っ取られていくシーンは「怖い」以上に「悪魔もうええ加減にしたれや!」と怒りを覚えてしまうほどの激しさと凄まじさがありました。
悪魔とは、それに関わった人間に恐ろしい最後を遂げさせる忌むべき存在。
それを確信させてくれる真面目ホラーな映画だと思います。
9位「死霊のはらわた」
1981年のアメリカホラーです。
白目だけの悪霊が地面から顔だけを覗かせているという映像が最も有名ですが、あれは悪霊そのものではなく、乗り移られた主人公たちの一人です。
ピクニックで訪れた山奥の小屋で発見した謎のテープを流したことから、地下室に封印されていた古代の悪霊が目を覚まし、次々に仲間の体を乗っ取って主人公のアッシュに襲い掛かるという流れ。
当時の映像技術のレベルなのか、それとも低予算のせいなのか分かりませんが(たぶん低予算)、悪魔に憑かれた人間の動きが妙にカクカクしていて、まるで出来の悪い人形劇のようなコマ送りの映像になっていて、それがまた妙な怖さを演出してるんですよね。
さらに悪霊共の甲高い声や笑い声も不気味でしたし、何よりも怖さの中にジョークじみた描写(手に悪霊が乗り移って、主人公を殴ったり飛ばしたりするので、自分で切り取るシーンとか)がやたらと盛り込まれているので、怖いのか笑っていいのか分からない「引き笑い」的な表情になってしまいました。
恐怖と笑いは紙一重といいますが、この作品はそれを上手く表現していると思いますよ。
ある意味「名作」ですね。
10位「悪魔のいけにえ」
1974年のアメリカホラー作品です。
実際にあった事件を映画化したといわれていますが、どこまでが本当か分かりません。
レザーフェイスと呼ばれる人の皮を(文字通り)被った狂人とその異常な一家に襲われる若者を追った流れになりますが、これを始めてみたときは、とにかく「後味が悪かった」ということ。
全体的に乾いているというか、描写音もキンキン!的な甲高い金属サウンドが多めで、やたらと心理的不安を煽ってきます。
何よりも狂人一家のクレイジーぶりが突き抜けていて、襲われる若者の無残さが当時は高校生(ビデオで見た)だった自分の純情な心をいたく傷つけてくれました笑
最後は超クレイジーなレザーフェイスがなんとか逃げ出せた唯一の生存者の女性を追いながら、チェーンソーをぶんぶん振り回すアップのソーンで終わるのですが(だったと思う)、この無情ともいえる異常者の自身を誇るような演出には正直「胸糞の悪さ」しか感じませんでした。
そんな無垢だった私にとんでもない「嫌な感覚」と「乾いた恐怖」与えてくれてたホラーの金字塔に対して、今回は10位入賞という形でその労に報いたいと思います。
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【悪魔のいけにえ】レザーフェイスの狂気と人面マスクにビビった高校生の夏!
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まとめ
背筋が凍る怖さからジワリジワリと迫ってくる地味な怖さのある映画をまとめてみました。
作り物とはいえ、映像で見るとやっぱり怖いですよね~
これからも骨に染みる恐ろしい作品を発掘していきたいと思いますよ。