9月8日に96歳で死去された英国エリザベス女王の後を継ぎ、皇太子だったチャールズ氏が新しい国王に即位しました。
国王の即位は10日に決定し、11日にはセント・ジェイムズ宮殿のバルコニーから正式に布告されました。
それに先立ち、チャールズ国王はテレビで国民に向けてエリザベス女王を追悼する演説を行い、さらに新国王としての想いや抱負を述べられています。
演説は女王の公務での献身を褒めたたえるものでしたが、最後に「母への愛」を語った部分でかなり感動してしまいました。
今回は新国王が語った演説の中から、特に印象深く、心揺さぶられた英文を取り上げて学んでいきたいと思います。
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チャールズ国王のテレビ演説で英語を学ぶ
約9分間に渡る演説になっています。
横にエリザベス女王の写真が置かれています。
御年73歳に成られたということで、私の中の印象からは随分と老けられたなという印象を受けました。
話し方も少し弱弱しげに感じますが、女王の逝去の悲しみと今後の責務の重大さに少し緊張なさっているのかもしれません。
ではこれから演説の中で気になった英文を取り上げていきましょう。
英文その1
I speak to you today with feelings of profound sorrow.
Throughout her life, Her Majesty The Queen — my beloved Mother — was an inspiration and example to me and to all my family.
Queen Elizabeth’s was a life well lived; a promise with destiny kept and she is mourned most deeply in her passing.
That promise of lifelong service I renew to you all today.
訳文
私は今日、深い悲しみの念に駆られながら、皆様にお話ししています。
生涯を通じて、女王陛下(私の最愛の母)は、私と私の家族全員にとって、インスピレーションと模範となる存在でした。
エリザベス女王は、よく生きた人生であり、運命の約束は守られ、その死は最も深い悲しみに包まれています。
その生涯の奉仕の約束を、今日、私は皆さんに新たにいたします。
【語句とフレーズ】
I speak to you today(私は今日、あなた方に話しかけている) with feelings of profound sorrow(深い悲しみの感情を伴って)
Throughout her life(彼女の人生を通じて), Her Majesty The Queen(女王陛下であり) — my beloved Mother (私が最も愛する母は)— was an inspiration and example to me and to all my family(私や私の家族にとってのインスピレーションであり、模範でもあった)
Queen Elizabeth’s was a life well lived(女王は人生を良く生きた); a promise with destiny(運命を伴った約束は) kept (守られた)and she is mourned(彼女は哀悼されている) most deeply(最も深く) in her passing(彼女の死において)
That promise(~という約束) of lifelong service(生涯における奉仕) I renew to you all today(私は今日、新たにする)
英文その2
訳文
彼女が抱いた愛情、賞賛、尊敬の念は、彼女の治世の特徴となっています。そして、私の家族の誰もが証言できるように、母はこれらの資質を、温かさ、ユーモア、そして常に人の長所を見抜く確かな能力と結びつけていたのです。
【語句とフレーズ】
The affection(その愛情), admiration and respect(賞賛や尊敬の念) she inspired(彼女が抱いた) became the hallmark of her reign(彼女の治世の特徴になった)
And(そして), as(~のように) every member of my family can testify(私の家族の誰もが証言できる), she combined(彼女は結び付けた) these qualities(これらの資質を) with warmth, humor(温かさとユーモア) and(と) an unerring ability(正確な能力を) always to see the best in people(常に人々の良い面を見る).
英文その3
訳文
女王がそのような揺るぎない献身を惜しまなかったように、私もまた神が私に与える残りの時間を通して、我が国の中心にある憲法の原則を守ることを厳粛に誓います。
【語句とフレーズ】
As the queen herself did(女王自身が行ったように) with such unswerving devotion(ゆるぎない献身を持って), I too now(私もまた今ここで) solemnly(厳粛に) pledge myself(私自身に誓います), throughout(~を通じて) the remaining time(残された時間を) God grants me(神が私に与えた), to uphold(支持する) the Constitutional principles(憲法の原則を) at the heart of our nation(我が国の根幹である)
英文その4
I count on the loving help of my darling wife, Camilla. In recognition of her own loyal public service since our marriage seventeen years ago, she becomes my queen consort.
I know she will bring to the demands of her new role the steadfast devotion to duty on which I have come to rely so much.
訳文
私は最愛の妻、カミラの愛に満ちた助けを頼りにしています。
17年前の結婚以来、彼女自身の忠実な公務への貢献が認められ、彼女は私の王妃となりました。
私が信頼を寄せてきた任務への揺るぎない献身を、彼女は新たな役割として担ってくれるでしょう。
【語句とフレーズ】
I count on(私は頼りにしている) the loving help of(愛に満ちた助けを) my darling wife, Camilla(最愛の妻カミラの)
In recognition of(~が認められて) her own loyal public service(彼女自身の公務への忠実な奉仕が) since our marriage seventeen years ago(17年前の私たちの結婚以来の), she becomes my queen consort(彼女は私の王妃となった)
I know(私は知っている) she will bring to(彼女は果たすだろう) the demands of(~という要求を) her new role(新しい役割) the steadfast devotion(~へのゆるぎない献身) to duty(~という任務) on which I have come to rely so much(私が信頼を寄せてきた)
英文その5
As my Heir, William now assumes the Scottish titles which have meant so much to me. He succeeds me as Duke of Cornwall and takes on the responsibilities for the Duchy of Cornwall which I have undertaken for more than five decades.
With Catherine beside him, our new Prince and Princess of Wales will, I know, continue to inspire and lead our national conversations, helping to bring the marginal to the center ground where vital help can be given.
I want also to express my love for Harry and Meghan as they continue to build their lives overseas.
訳文
私の相続人であるウィリアムは、私にとって非常に重要であったスコットランドの称号を引き継ぐことになりました。
彼は私の後を継いでコーンウォール公爵となり、私が50年以上にわたって担ってきたコーンウォール公国の責任も引き継ぎます。
キャサリン妃とともに、新しい皇太子と皇太子妃は、これからも私たちの国民的な話し合いを促し、それによって、隅に追いやられていることを中央に引き寄せて、重要な援助が与えられる手助けをしてくれることでしょう。
また、海外で人生を歩み続けるハリーとメーガンに、私の愛を伝えたいと思います。
【語句とフレーズ】
As my Heir(私の相続人として), William now assumes(ウィリアムは今、就任します) the Scottish titles(スコットランドの称号を) which have meant so much to me(私にとって、とても意味のある)
He succeeds me(彼は相続します) as Duke of Cornwall(コーンウォール公爵として) and takes on(そして引き継ぎます) the responsibilities for the Duchy of Cornwall(コーンウォール公領の責任を) which I have undertaken(私が引き継いできた) for more than five decades(50年以上も)
With Catherine beside him(彼のそばにいるキャサリンと共に), our new Prince and Princess of Wales will(我々の新しい皇太子夫妻は~するだろう), I know(私は知っている), continue to(継続することを) inspire and lead(~を促し、リードする) our national conversations(我が国の国民的対話を), helping to(それによって~することを助けるだろう) bring(~にもってくる) the marginal(端に追いやられているもの) to the center ground(中央に) where vital help can be given(不可欠な支援を可能にする)
I want also to express(私はまた表明したい) my love(私の愛を) for Harry and Meghan(ハリーとメ―ガンに) as they continue to build their lives overseas(海外で人生を歩み続ける)
英文その6
And to my darling Mama, as you begin your last great journey to join my dear late Papa, I want simply to say this: Thank you.
Thank you for your love and devotion to our family and to the family of nations you have served so diligently all these years.
May “flights of Angels sing thee to thy rest.”
訳文
そして、愛するママへ、亡きパパのもとへ最後の旅立ちをするとき、私はただこれだけを伝えたいと思います。
ありがとうございました。
私たち家族のために、そしてこの国のために、長い間熱心に尽くしてくれて、ありがとうございました。
「天を舞う天使たちの歌声で安らかに休まれますように」
【語句とフレーズ】
And to my darling Mama(そして最愛のママへ), as you begin(あなたが~を始めるとき) your last great journey(最後の偉大な旅立ち) to join my dear late Papa(私の大好きな亡きパパと一緒になる), I want simply(私は~だけを~したい) to say this(これを言う)
Thank you(ありがとうございました)
Thank you for(~にありがとうございました) your love and devotion(あなたの愛や献身を) to our family(私たちの家族や) and to the family of nations(国中の家族に) you have served(あなたが尽くしてきた) so diligently all these years(長年の間、勤勉に)
May(~を願います) “flights of Angels(天を舞う天使たち) sing(歌う) thee(あなたに) to thy rest.(あなたを安らかにする)”
まとめ
エリザベス女王への想いと言葉に心を動かされた演説でした。
最後を締めくくった言葉「天を舞う天使たちの歌声で安らかに休まれますように」も素晴らしく、女王への旅立ちの言葉としてはこれ以上ないくらいの優しさに満ちあふれていると感じています(シェイクスピアの「ハムレット」の終盤のセリフだそうです)
個人的に気になったのは、アメリカに移り住んだハリー王子とメ―ガン妃についてですが、短いながらも父親としての愛情を込めたものになっていると感じました。
ハリー王子については様々な批判があるなか、チャールズ国王なりの精一杯の表現だったんでしょうね。
ウィリアム王子とキャサリン妃については、これからの次世代を担っていく王族としての期待が「責任と対話」への言葉に込められているように思います。
英語としては「shall」などの、いかにも貴族的な上品な表現が散りばめられていて、聞いているだけで高貴な気分になれる気がしましたね。
チャールズ国王の即位とともに、先日就任したばかりのトラス新首相もいて、イギリスは新たな時代に入ったという感じを受けています。
イギリスと同じ島国で君主制の日本も令和という世代交代を経験しています。
世界が新たなステージを迎えつつあるこの時代、両国が新たな君主のもとに国民が統合し、さまざまな困難に立ち向かうことができたらなと思います。
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