日本有数の大富豪である孫正義氏率いるソフトバンクの中核事業「ビジョン・ファンド」が、四半期で55億ドルの損失を出したニュースについてです。
少し前のニュースでもあり、日本でも経済関連のメディアで取り上げられていましたが、海外でも同様に注目されていた模様です。
今回はそこからの「英語の学び」になります。
まずは「ビジョン・ファンド」に関する前知識を紹介していきましょう。
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ビジョンファンドとは何か?
ビジョンファンドとは、孫正義氏が率いるソフトバンクグループの中核事業です。
未来を見据え、人工知能(AI)の技術を有する企業に集中投資してきた経緯があります。
ファンドは2つに分かれ、一つがサウジアラビア系の政府ファンドと金融機関から出資を募り、2017年に設立した10兆円規模の「ビジョン・ファンド1」。
もう一つがソフトバンク自身が出資している「ビジョン・ファンド2」です。
ファンドは様々な新興企業に巨額の出資をしてきましたが、2022年4~6月期に3兆円を上回る最終(当期)赤字を出す結果となっています。
そんな「ビジョンファンドの損失」に関する海外メディアの記述を取り上げ、そこから金融関連の英語表現を学んでいくことにします。
ビジョンファンドの赤字決算に関する英語表現
SoftBank Vision Fund Posts $5.5 Billion Quarterly Loss, which pulls back on startup investments
ソフトバンク・ビジョン・ファンド、四半期で55億ドルの損失を計上し、新興企業への投資も引き下げることになった
英語表現を抽出していきます。
「計上する」はpostです。
利益を計上するという表現に使われます。
「四半期」はQuarterly。
「損失」はlossです。
続く「,which」の部分は原文ではなく、直接「pulls back」でしたが、より分かりやすくするためにあえて付け加えました。
意味的には同じで、前の文章を補足する流れになっています。
「and」とほぼ同じですね。
「引き下げる」はpull back。
「~への」はon。
「新興企業」はstartup。
「投資」はinvestmentsです。
次はその具体的な内訳になります。
The Vision Fund division's huge losses dragged down SoftBank Group's earnings to a net loss of $5.9 billion in the October-December quarter, compared with a $220 million profit a year earlier.
ビジョンファンド部門の巨額損失は、ソフトバンクグループの10-12月期の収益を59億ドルの純損失に引き下げ、前年同期の2億2000万ドルの利益と比べ、大きな負担となった。
「部門」はdivisionです。
「巨額損失」はhuge loss。
hugeが巨大なという意味です。
「引き下げた」がdragged down。
「収益」がearning。
earnが「稼ぐ」という動詞なので、その名詞形になります。
「純損失」がnet loss。
「億」はbillion.
「~期」はin~quarter。
「~と比べて」がcompared with~です。
「百万」はmillionですね。
「利益」はprofit。
「前年同期」は a year earlierと表現されています。
次はビジョンファンドの過去の投資額に関する英語表現です。
The tech investment company has invested in more than 450 companies since the launch of the first Vision Fund in 2017, spending more than $140 billion over the five years.
このハイテク投資会社は、2017年に最初のビジョンファンドを立ち上げて以来、450社以上に投資し、5年間で1400億ドル以上を費やしてきた。
「ハイテク」はthe techと表現されています。
「投資会社」はinvestment company。
「(今まで)投資してきた」はhas investedとしています。
過去から今までの流れを表現する時の英文法「現在完了(have+動詞の過去分詞形)」が使われています。
「~以上に」がin more than。
「~して以来」がsince。
「~の立ち上げ」がthe launch of~。
「費やす」がspendingです。
ここでは前の文を受けて「~, spending~」の形にし、意味的には「~であり、~を費やしてきた」という流れにしています。
「5年間で」がover the five years。
overには「~に渡って」という意味があるので、正確には「5年間に渡って」になります。
5年間で450社以上、総額で1400億ドル(約18兆円)以上という巨大な金額ですから、かなり思い切った投資を行ってきたことが分かりますね。
最後は本体のソフトバンクの影響についての英語表現です。
Once the world's biggest investor in startups, SoftBank also reported that it had invested just $300 million into startups, down more than 90% from last year.
かつて新興企業への世界最大の投資家だったソフトバンクは、新興企業への投資額がわずか3億ドルで、昨年から90%以上減少したことも報告した。
「かつて~だった」はOnce~。
文の始めに置かれる定型の言い回しです。
「世界最大の~」がthe world's biggest~。
「新興企業への投資家」はinvestor in startups。
「~はまた」はalso。
「~を報告した」は、reported that~。
that以下で報告した内容を述べています。
「わずか~の投資」は、it has invested just~。
直訳すると「ソフトバンク(it)は、たった~しか投資してこなかった」となります。
「減少した」はdown。
「~以上」はmore than~。
「~から」はfromとなります。
孫正義氏が投資に失敗した理由とは?
英文解説の最後のまとめとして「なぜ孫正義氏が巨額の投資(ビジョンファンドによる)に失敗したのか?」という理由について、海外メディアからの考察の要約を以下に記したいと思います。
・孫正義氏の戦略は、新興企業に多額の小切手を切ることで(大幅な投資)、黒字になるまで何年も赤字で運営できるようにした
・市場の支配力を持つこと、ハイテク企業の成長を助けること、長期的な利益を確立するための時間を確保する意味があった
・「タクシー、フードデリバリー、犬の散歩、ピザ」などテクノロジー企業のふりをした利益率の低い企業ではなく、経済的に安定したテクノロジー企業でなければうまくいかないという欠点が明らかになった
などになります。
最後の文にあるように、本当の意味のテクノロジー企業ではなく、テクノロジーを使った一般サービスの延長のような企業に投資をしたことが失敗の原因になったとも述べています(社会に与えるサービス価値の高低ではないと思いますが)
これらの情報は昨年(2022年)の8月に上がっており「孫氏は決算発表の席上、より厳選した投資を行うことを誓った」とのこと。
野放図な投資、とまではいかないのでしょうが、意図していた投資が上手くいかなかったのは確かなようですね。
とはいえ、投資の失敗は様々な要因が重なってのことなので、上記の理由はあくまでそのうちのいくつかだろうということ。
孫氏はこれまでも多くの失敗を乗り越えてきているタフな投資家でもありますので、次もよりエキサイティングな動きを見せてくれると思います。
英語表現としては、投資や決算報告に関するものがメインになっています。
こうした金融関連の英文は文の構造自体は平易なものが多いので、専門用語にフォーカスすれば学びは早いと思います。
今回の内容が英語学習者のお役に立てれば幸いです。
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