必殺仕事人なデンゼル・ワシントン・バージョンのアクション作品。これも公開当時に映画館に観に行って、レビューのために再度DVD鑑賞した映画の一つだ。
デンゼル・ワシントンという俳優は、どちらかというと真面目で誠実で正義の味方というイメージが強いが、実際には薬の売人でのし上がったりする役も演じたりして、幅の広い演技ができる名優の一人だ。
ただ今回のように一匹オオカミで悪人を倒すという、スパイアクション的な作品はこれが初めてじゃないだろうか?だからこそ興味を持って見たわけだが・・・
映画全体を流れるハードボイルドなテイストは、トム・クルーズやジェームスボンドのような派手なスパイアクションものよりも、元CIAとか元国家の暗殺請負人みたいな役柄がほとんどのスティーブン・セガール的アクションバイオレンス要素が強い。
知的なイメージが強いワシントンにすれば、これもなかなか異色の作品となるのだ。
ではそろそろ映画の話に移ろう。
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ストーリー展開
ホームセンターの社員として穏やかな日々を過ごすマコール。
夜眠れない彼の趣味は、深夜のダイナーで読書をすることだった。
そんなダイナーでの読書の日々で、よく見かける娼婦とひょんなきっかけから話をするようになる。
見た目は派手だが、なにか心に傷を負ったように見える、彼女の名前はテリー。
ある日、テリーが雇用主であるマフィアの男にひどく殴られる事件があった。
入院先の病院まで足を運んだマコールは、そこで出会った仲間の娼婦にテリーの過去と置かれている状況を聞き、その過酷さに心を揺さぶられた。
ロシアから歌手を夢見てアメリカに渡ってきたテリーは、生活のためか渡米のための条件かわからないが、いつのまにか娼婦稼業から抜け出せなくなっていたのだ。
マコールは彼女を救う決心をする。
娼婦の元締めがいるロシアンバーに出向き、ありったけの金を差し出して、彼女の解放を願い出た。
しかし返ってきたのは嘲笑だった。
いったんは素直に帰ろうとするマコール。
しかし”何か”が、彼の心を変えた。
ドアを閉め、ギャングどもに相対するマコール。
あらかじめ時間を決めて、一瞬で周囲の状況を判断し、近くにある道具を利用して相手を抹殺していく様は、まさにプロの殺し屋そのものだった。
それも何ら不思議ではない。
そう、マコールは元CIAの凄腕工作員だったのだ。
こうしてマコールはロシアンマフィアとの果てしなき闘争に身を投じていくことになる・・・
映画の感想と出演俳優のあれこれ
いきなり映画の最初のほうから予告編でみたアクションシーンが訪れる。このアクションのリアルなことと言ったら!
やたらにリアルでやたらに実戦向きというか、一昔前なのハリウッド映画だったら、わかりやすい殴り合いや銃撃戦で(よくて空手的な動き)終始していたのが、最近のこの手のアクション作品は、近接戦闘の粋を尽くしたような描写がてんこ盛りだ。
マットデイモンのボーンアイデンティティーもそうだし、トムクルーズのアウトローなんかもそういう感じだった。思えばこういうリアル近接武術の走りは、セガールの合気道アクションが全てだったんじゃないかと改めて思う。
一方の敵役が、これまた悪辣な感じがしてかなりいい。
マートン・チョーカシュという、ニュージーランド出身の俳優さん。
お父さんがハンガリー人でお母さんがイギリス人という東欧系の血が、この映画では存分に生かされていたように思う。
さらにロードオブザリングでケレボルン役を演じたというから、これには驚いた。(ケイト・ブランシェット演じるエルフの女王の夫)というか、ケレボルン自体をど忘れしてしまっていたのだけど・・・
とにかく冷酷で悪辣な雰囲気を出しまくりのロシアンマフィアの殺し屋は、元スぺツナズ(ロシアの最強特殊部隊)出身で、退役後はマフィア系新興財閥の手先として、世界中の出先機関を管理しているという役柄がリアルだった。
一件紳士的で穏やかな感じなのだが、ひとたび暴力をふるうと、容赦なく遣り込める徹底的なところが、ほんもののマフィアを描いているようでリアルに怖い。
またホテルの部屋でリラックスしている時に、背中一面に彫りものがしてあったのを見せていたが、あれは日本のヤクザのロシアバージョンともいうべき迫力があったなあと。 脅しや見かけではなく、何かを決めたときの覚悟のようなものを込めた彫物として・・・
だが
そんな最強な殺し屋も、最後は哀れホームセンターでマコールに無残な殺され方をしてしまうのだから、映画の悪役の栄華とはなかなか儚いものだ。(軽いシャレです)
それもこれも、マコールと出会ってしまっことが、すべての悪夢の始まりだったのだ。このロシアンマフィアの中間管理職にとって・・・
そしてもう一人の気になる配役は、もちろん”哀れな娼婦テリー”を演じたクロエ・モレッツだ。
この女優さんは、前評判でやたらと騒がれていたので「なんだ?」と思っていたが、調べてみても全く初見だったし、実は未だにその良さが分からない(笑)。
ただ17歳と言う若さと、それに似合わない卓越した(といわれている)演技が、かつて『タクシードライバー』(ロバート・デ・ニーロ主演)でやはり娼婦を演じたジョディ・フォスターと同一視されているからかとは思う。
このときのフォスターも10代だったと思うので、そのあたりがまさに彼女の再来と謳われるゆえんだろう。
若かりし日のフォスター
モレッツに関しては、とりあえず口元がキュートだなと。そして意外なほどに広い演技の幅。
映画の中で最後はすっぴんになってマコールの前に現れたシーンがあるが、そのときの表情と、序盤の娼婦のときの表情がまったく違うのに驚いたのだ。
この化けぶりは、画面を通じてもなかなかのものだったので、これから大化けする可能性のある女優さんに違いない。(もう化けてるか)
まとめ
全体的には予想していたよりアクションシーンは少なかったし、銃撃戦こそあったものの、私の中ではもっとセガールばりの痛快無比な格闘アクションを想像していたので、そんへんは意外だった。
設定自体も少々無理があるように思えたし(あれだけ暴れた街で普通に生活するところ)、無敵すぎる設定も完全に中期以降のセガールのB級アクションのそれを踏襲しているように思えたので、A級クラスの作品とは正直言い難いかもしれない。
ただ全体的に流れるハードボイルドな雰囲気というか、静かだが迫力のある描写はなかなか良かった。
このあたりは監督の力量というよりも、主演俳優の卓説した演技が多きいとは思うが。
続編が作られればちょっと面白い作品になりそうな予感。
願わくばデンゼル主演で3部作辺りを狙って欲しいと思う。
マコールの過去や人物設定がまだまだ謎な部分が多かったし。
最後に気になったところを一つ。
マコールが自宅で包んだティーバッグをダイナーでそのまま使うシーンがあったが、あれってアメリカでは可能なんだろうか?
普通は持ち込みはダメなような気がするのだが。
それとも常連で、それも客の少ない深夜だから許されるちょっとしたサービスみたいなものだろうか?
なんでもないシーンだったが、ちょいと気になったところ。
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