以前にCMでこの映画の予告動画を見て「なにこの設定! 面白そう!」とバカ受けして以来、ずっと見てみたいと思ってた映画。(トム・クルーズが出てると言うだけで充分話題になります)
俳優陣が豪華で、ロバート・ダウニーJr、ベン・スティラー、マシュー・マコノヒー、トム・クルーズ、ジャック・ブラック、ニック・ノルティなどなど、知っているだけでも、かなりの大物ぞろいです。
これが全員でコメディやるのだから、これはもう見るしかない!
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全編が激しいコメディです
序盤のパロディCMでいきなり映画はスタート。
多分誰か有名人のパロディなんでしょうが、あまり詳しくない者にはよく分からない4連発。
それぞれ真剣なんだけど、基本は笑えます。
それもシュールな笑い。
ここで登場する俳優が後に東南アジアの某地で撮影するでまかせ映画の主役たちなので、まあそれぞれのキャラクター紹介という感じです。
では撮影に参加する俳優たちの紹介を。
タグ・スピードマン(ベン・スティラー)は元売れっ子アクション俳優。
今は落ち目で今回の「トロピック・サンダー」に役者人生をかけています。
ジェフ・ポートノイ(ジャック・ブラック)はお下劣なネタ専門のコメディ俳優。
「トロピック・サンダー」ではコメディ以外も演じれることを証明するために、真面目に挑もうとしてるが・・・おクスリ常習者。
カーク・ラザラス(ロバート・ダウニーjr)はオスカー複数受賞者の役者バカ一代。
演じることに命をかけており、特に与えられた配役に心身ともに入り込む演技法を得意とする。「トロピック・サンダー」では黒人役を演じるために皮膚整形までして臨んでいます。
アルパ・チーノ(ブランドン・T・ジャクソン)はエナジードリンクのCMで一躍有名になった人気黒人ラッパー。
実は同性愛者であることを隠しているよう。
ケヴィン・サンダスキー(ジェイ・バルチェル)は生真面目な無名俳優。
主要参加俳優の中で一番まともで、新兵訓練キャンプに参加して今回の撮影に臨んでいます。
このほかにも、主演のダグのエージェントで友人のリック(マシュー・マコノヒー)、撮影を担当する英国人の映画監督(スティーブ・クーガン)、「トロピック・サンダー」の原作者であるベトナム帰還兵のフォーリーフ(ニック・ノルティ)、悪徳金満プロデューサーのレス・グロスマン(トム・クルーズ)など、なかなか豪華な俳優陣。
笑いをとるためにここまで金のかかる俳優たちをチョイスしたのかと思うと、 監督・脚本、原案、制作のベン・スティラーには、本当に尊敬の念しかないですねえ。
そして撮影現場へ
こうして一行は撮影現場の東南アジアに向かうわけですが、これがまた「プラトーン」と「地獄の黙示録」を足して2で割ったような戦争映画のノリで(というか思い切りパロディ)、結構金かけて作っている感が伝わってきます。
あらかじめセッティングしておいたジャングルの撮影現場でのハプニングが悪ノリとバカさ加減が発展して、そのうち本当にリアルにヤバイ場所に迷い込んでしまった、というプロット。
先ほども言いましたが、バカ映画といっても結構金はかけているようで、密林のジャングルをヘリが飛ぶシーンとか大規模な爆破シーン、出演している俳優の豪華さを見ていれば、相当に力を入れて作りこんで入る感が画面からヒシヒシと伝わってきまくりです。
映画の設定は、戦争映画を撮影するつもりで俳優を集めたのはいいいけど、現地に行ったら、土地のギャングにFBI捜査官と勘違いされて騒動に巻き込まれる、という話。
この映画の面白いところは、襲ってくるギャングのメンバーを俳優たちが悪役の俳優だと思って対処したり、火の手があがっている現場を力の入った撮影現場だと感心してるところ。
また実際に爆発して人が死んでるのに「なかなかいい特殊メイクだな」と言って、タグがぶっ飛んだ生首を舌でレロレロして、気づいたほかの俳優にドン引きされるところとか、その一部始終を見てたギャングの敵に「なんて度胸の据わったやつらだ!」(笑)と一目置かれる流れとか。
お互いがお互いを誤解しあいながら進んでいく展開が最高に笑えました。
それ以上に!
この映画を凡百のコメディ映画から一段高みに上げているトム・クルーズの扮する悪徳プロデューサーぶりは、とにかく終始圧巻!
映画の序盤に登場するのだけど、映画レビューを見ても「最後までトムだと分からなかった」という人が結構多いことから分かるように、その完璧なまでのハゲ親父ぶりと金満太りぶりに、私も完全に度肝を抜かれました。
ハリウッドを代表する名優がこんな演技するか!というぐらいの、悪趣味なまでのプロデューサー役(映画の出資者役か)。
やたらと「ファッ〇!」を連発したり、なかなか思うように撮影が進まないことに業を煮やして、ハリウッドの超高級オフィスから東南アジアの撮影現場に中継スクリーンで、
「おい、そこのお前、監督を殴れ!」
と近くにいた大道具の係に指示し、監督に遠慮なくワンパンチを食らわすところなんか、腹抱えて爆笑してしまいましたw
アップの表情と拳の握り具合が秀逸で、ハゲ頭とインチキ口ひげも下品な悪徳ぶりに華を添えていて、見ているこっちが思わず殴りたくなるくらいの怪演ぶりといったら。
ラストに延々と続くヒップホップダンスは、正直意味がよく分からなかったけど、トムなしにはこの映画の面白さは成り立たないこと、これはもう明白でありますね。
ロバート・ダウニーJr
そしてもう一人の立役者、ロバート・ダウニーjrには散々ぱら笑わせられました。
他の主役級の2人、ジャック・ブラックとベン・スティラーは元々コメディ系の俳優なので、多少ハチャメチャな演技をしても、それなりに落ち着いて見えてしまうのですが、ロバートは本来コメディ畑でないにもかかわらず、先の二人を完全に食ってましたね。
映画撮影のために髪の毛と肌を黒人風に変えた真剣ぶりとか、やたらとインチキくさい黒人風の喋りと立ち居振る舞いが面白すぎ(笑)
たとえば敵に囲まれたタグ(ベン・スティラー)を助けにいくシーンで、ヘリコプターの中にいる背後の仲間に「お前らハンバーガーは好きか!」と聞いて「なぜだ?」と言われると、
「ハンバーガーみたいに ”ひき肉” になったヤツを救いにいくぞ!」
っていう時のウソ臭さとか、あまりにも黒人の真似をしすぎて、共演している黒人ラッパーに「舐めてんのか!」とキレられて、逆に自分の出身国のオーストラリアの映画「クロコダイルダンディ」をからかわれると、
「ダンディはオーストラリアの魂だ。お前、一線を越える気か?」
と逆切れしたこと(笑)
黒人のマネしまくって、一線越えてるのは完全にお前のほうだろうと(笑)
この後ラザラスはキレたラッパーから頬にビンタを食らうのですが、意に介せずにそのまま相手の肩にガシッと抱きついて、
「忘れたのか?俺たちのあの故郷の歌を・・」
と言って鼻歌を歌いだしました。
「思い出す♬、あの懐かしき川の・・♪」(歌詞は完全に忘れたのでテキトーです笑)
「それ、黒人が主役の南北戦争ドラマの主題歌だろ?おまえいっぺん医者に頭を診てもらえ」
と、すかさずラッパーからツッコミを受けてましたが(笑)
このあたりの流れは最高でしたね。
とにかく表情がいいです、ダウニーは。
特にあの目力は最高。
稲中卓球部の田辺ミッチェルと田中のふてぶてしさを足して3で掛けたようなキャラ設定がセンスを感じます。
ベン・スティラー
さてここでようやくこの映画の主役ベン・スティラーの登場です。
なにせロバート・ダウニーjrのインチキ黒人ぶりが爆笑キャラすぎて、完全に影に霞んでしまいました。 しかし腐っても鯛。
やはりコメディの帝王といえばこの人ですから、それなりに笑わせてくれるシーンも1、2はあります。
映画の中では、ヒーロー系の映画で主役を張るスターだったけど、『シンプル・ジャック』という作品が大ゴケして人気は下降中、失地回復のために戦争映画で出演を決めた、という役どころのスティラー。
このスティラーの役柄も、ダウニーjrが演ずるインチキ黒人ラザラスと同様に、的外れな真剣振りがかなりイッチャってます。
撮影の中盤まで、本当に映画の撮影だと思っていたのが、ギャングの村に迷い込んで捕まってしまい、FBIと勘違いされて拷問を受けながらも、
「脚本が変わったのか?」
と素で惚けているところなんか、この人の真骨頂ぶりが発揮されたシーンですね。
トボけた発言をする割にはシリアスな表情のせいか、これまでこの人のコメディ映画で笑えたことは一度もないのですが、久しぶりに笑わせてもらいました。
ほかにもスティラー演じるタグの失敗した代表作「シンプル・ジャック」の大ファンだったボスが、無理やりタグに『シンプル・ジャック』を演じさせられたシーン。
タグが「ジャックは出っ歯だから」という理由で拒否しようとしたら、近くにいた爺の入歯を無理やりはめさせられたところで爆笑。
『シンプル・ジャック』というのはおそらくショーン・ペン主演の映画『アイアム・サム』のパロディだと思うのですが、その倫理規定スレスレの際どい演技をタグが必死で演じているシーンにも爆笑。
そしてダメ押しが、インチキ黒人ラザラスがスティラーに、なぜ「シンプル・ジャック」がこけたか、という理由を教えるシーンでさらに大爆笑!(以下セリフ)
「お前の役どころを真剣に演じる姿勢は高く評価しよう。だがあの映画はこけたんだ。なぜか分かるか?」
「いいや」
「では教えてやろう。「レインマン」のダスティ・ホフマンは、普通の会話こそできない障害者だが、数学的才能がずば抜けていたな?」
「そうだ」
「じゃあ「フォレスト・ガンプ」はどうだ?トム・ハンクスも知恵遅れだったが、足が速く、そして何よりもベトナム戦争の英雄だったよな?」
「ああ」
「それに比べ、お前の演じたシンプル・ジャックはただのバカだ。それ以上、それ以下でもない。本当にただのバカだった。お前はそれを真剣に演じすぎた。だから客が引いたんだ。そしてコケた。『アイアム・サム』のショーン・ペンと同様にな」
「・・・・」
この台詞を言われた後のスティラーの顔のシリアスさ、そしてそれをさらに輪を掛けてシリアスに言う、ダウニーのカッと見開いた目が最高にキレてました(笑)
本当に『アイアム・サム』がコケたかどうかは疑問なんですが、日本ならこういう微妙なネタはまずアウトでしょうね。
ショーン・ペンからクレームが来てなければよいのですが^^
ジャック・ブラック
そしてもう一人のお笑い要員、ジャック・ブラックの登場です。
この人は2005年公開の映画「スクール・オブ・ロック」で好きになったこの俳優でありまして、ノリの良さと体型の割にキレキレな演技がとにかく笑いを誘う人。
【スクール・オブ・ロック】ジャック・ブラックは真のロック信者である!
本作品「トロピックサンダー」ではそれほど目立ってなかったように思うブラックですが、もちろん役柄はいつものようにぶっ飛んだバカキャラをリズミカルに演じております。
デブのジャンキー俳優。
屁をこいて笑わせる映画スター。
見た目そのまんまの配役も如何なものかと(笑)。
ヤクが切れて暴発しそうな一歩手前!的なハイテンション演技はさすがでしたね。
あと、クスリを抜くために木の上で縛られるシーンは面白かったかな。
話は違いますけど、次の日に、この人の主演映画「テネイシャスD 運命のピックを捜せ!」を借りて見ました。
ロック原理主義者ジャック・ブラックとカイル・ガスのテネイシャスDは最高だ!
ロック原理主義者な設定がよかった。
あと細かいところのギャグも笑えましたね。
開き直っている感が見ていてとても気持ちよいんですよ、この俳優さんは。
まとめ
こんな感じで、それぞれの俳優がそれぞれのノリで笑いを見せてくれて、それもみんなシリアスに演じてるものだから、余計に面白さが増して仕方がない最高のコメディームービー。久しぶりに大ツボな映画という感じでしたね。
たぶん現場でも、みな楽しみながら撮影してたんじゃないでしょうか。
あとがサントラが結構良かったかなと。
戦場のシーンではバリバリの70年代ロックだし、エンディングでトム扮するグロスマンが腰を振って踊り続けるEDのヒップホップなんかもgood。
あと、あれですね、トムクルーズという俳優は、脇役でこそ本当に演じたい役を演じれるという内容を何かで読んだことがあります。
なぜなら「トム・クルーズ」ブランドがすでに確立してしまっているので、主役を演じる時は、どうしてもファンが求めるトム像を演じざるを得ないということ。
代わりにこうした脇役で出演する作品では、結構バカな役を演じてたりして、評価が高いようですね。
今まで見た中では、この「トロピック・サンダー」と「ロック・オブ・エイジズ」しか脇役作品は知らないのですが、確かにどちらも突き抜けてる感は相当あります。
【ロック・オブ・エイジズ】トム・クルーズが熱唱するミュージカル映画!80’s洋楽ファンなら必見!
自身もかなり楽しんで演じてるんでしょう。
ぜひまたこんなファンキーなトムの役を見てみたいと思いますよ。
色々な意味で超おすすめのパロディ戦争映画です!
youtu.be「トロピック・サンダー」のセリフで生きた英語を学ぼう!
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