公開初日の本日(2021年10月1日)、劇場鑑賞しました。
前作スペクター以来、6年経過して、もうすっかり前の話のあらすじを忘れかけていた今回。
ボンドものは前作の筋がそのまま続くことが多いため、スペクターのキャラクターを覚えてなくて大丈夫かなと不安になりつつ鑑賞しましたが、そんな心配は無用でした。
とにかく引き込まれる。
とにかく切なくなる。
ダニエル・クレイグに代わってから、それまでのボンドシリーズにはない「愛」を描くことが多くなっていたのですが、今回はその集大成といった感じでした。
そして衝撃のラスト。
ジェームス・ボンド、そしてダニエル・クレイグとの永遠の別れ・・
この形でのエンディングもボンド史上おそらく初めてで、そして最も心に残った最後になるのでしょう。
今回はそんなダニエル・ザ・ボンドの魅力の全てが詰まった最新作「ノータイム・トゥ・ダイ」の大まかなあらすじと感想を語らせてもらおうと思います。
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愛を疑い、愛を失ったジェームス・ボンド
序盤は一軒の家を俯瞰から移しだすカメラワークで始まります。
謎の男がゆっくりと目的の家に向って歩いていく、思わせぶりな姿・・・
家では一人の娘と母親が暮らしており、母親はやさぐれた雰囲気を持ちつつも、それなりに仲が良いように見えました。
母親の話しぶりからは、どうやら今は家にいない主人であり娘の父親は「通常でない職業の人物」であるようでした。
そして謎の仮面の男が家に現れます。
この男の被る面がなぜか「能面」。
いきなり日本の文化が出現します。
監督が日系の方なので、その影響なのでしょうか?
男は家の主人を探していました。
「お宅のご主人に自分の家族を殺された。その復讐にきた」と。
しかし不在と知ると、いきなり母親を銃で撃ちます。
娘は隠れていて無事でしたが、やがて見つかりそうになると、いきなり立ち上がって男に向って銃で反撃しました。
「そうか、この子は小さいけど、やっぱり父親の血を受けついでいるんだ」
そう思っているうちに私は「ハッ」としました。
この少女のまなざし、そしてその過去・・・
これは前作スペクターでボンドが愛したマドレーヌの子供時代の回想なのではないかと・・
【007スペクター】原点回帰したジェームス・ボンドとその仲間たち
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その後、謎の男に命を救われた少女のシーンから場面が一気に現代に移ります。
過去を思い出したマドレーヌが海を泳いでいる姿と、彼女を呼び止めるボンドの姿がありました。
「どうした?」
そう訊ねるマドレーヌは先ほどの回想を口にしないまま「なんでもないわ」と陸に上がります。
そして始まる、いつものレトロな味わいのあるボンドカーで山道を疾走するお馴染みのシーン。
スピーディーなハンドリングながらも、少しも車体がぶれずに滑らかな走りで見る物を魅了するザ・ボンドのカースタント。
ボンドはマドレーヌとしばしの休暇を楽しんでいました。
場所はイタリアの山間部の街。
ボンド映画では「お似合いの風景」というのがあるのですが、そのいくつかに「南欧」「山間部の街」というのがあります。
伝統的な雰囲気を残しつつ、山間の壮大な風景・・・クラシカルなスパイと壮大なアクションに合うんですよね。
二人が過ごす山間部の街では人々が「忘れたいこと」を紙に書いて、それを燃やす習慣がありました。
街の端々でボウっと燃えた小さな紙の炎が飛んでいく様子は、日本のお盆のような幻想的な雰囲気を醸し出していましたね。
マドレーヌは「能面の男」と書き、ボンドは「ヴェスパー」と書いて、それぞれをそれぞれの場所で燃やします。
このとき「ヴェスパー」の名前を完全に忘れていました(汗)
墓標には死去が2006年と書かれていて「そうか、最初のカジノ・ロワイヤルのボンドガールか!」と。
過去に愛した女、ヴェスパー。
それを忘れるために墓にきたボンドは、過去と決別してマドレーヌと愛を共にすることを決めたのでしょう。
そう思った時に墓が爆発し、突如として敵が出現してボンドを襲います。
戦い、逃げて、ようやくホテルに戻ってきた傷だらけのボンドを見て、マドレーヌは驚きます。
「どうしたの?」
しかしボンドはマドレーヌが自分を裏切り、敵に売ったのだと感じていました。
そのことを責め、否定するマドレーヌを連れて二人で逃げ、敵を巻いた後に駅のホームでボンドは彼女に別れを告げるのです。
裏切っていない、あなたを愛していると懇願するマドレーヌを信じ切れぬまま、ボンドは背を向けて立ち去るのでした・・・
ボンド、現役に復帰する!
それから5年後。
ボンドは現役を引退し、ジャマイカで悠々自適の日々を過ごしていました。
ボンド映画で似合う風景の一つに「カリブ海の島」があります。
今回の作品でもキューバやジャマイカといった、カリブ諸島独特のカオスでありつつも楽天的な雰囲気で映画を盛り上げていました。
そんなカリブでかつての仲間が尋ねてきます。
理由は「バイオ兵器を奪った敵を探す」ということ。
中盤の冒頭ではバイオ産業の研究施設が武装グループに襲われるシーンが流れていました。
そこで一人生き残った研究者が兵器のキーマンとなるのです。
この研究者を確保する中で、二人の美しい女性がボンドの前に現れます。
一人はアフリカ系イギリス人エージェントであり、ボンドが引退した後の007の称号を持つ女性ノーミ。
ボンドに秘かなライバル心を抱きながらも、映画の最後までボンドをサポートします。
もう一人がボンドの盟友フェリックスの部下で新米の女性エージェント。
この女性がものすごくキレイで見た瞬間に「ハッ!」と目を奪われました。
背中がくっきり空いたドレスに目鼻立ちのはっきりしたキュート系美人。
緊張しながら初任務をこなす必死の表情が、これまためちゃくちゃ魅力的です。
てっきりこの女性エージェントが新たなボンドガールになるのかと思いましたが、実はこのキューバでの任務だけだったという・・・
超魅力的な女性エージェントが一部のシーンだけで退場するというのは「慰めの報酬」(2008)のストロベリーを彷彿とさせてくれますね。
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そうした経緯を経ながら、ボンドは古巣のMI6に戻ることになるのです。
ややこし過ぎる!敵の正体とか目的とか
バイオ兵器、それを奪う謎の組織、MI6も関係した事件・・・
となると、いつものスパイアクションお馴染みの筋立てになってくるというものです。
だいたいこういう流れですよね、同じく有名なスパイシリーズ「ミッション・インポッシブル」でも。
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正直にいいます。
ここから「敵の正体」「目的」はどうでも良くなってきます。
今回の騒動の黒幕がかつて捉えたスペクターのボス、ブロフェルドではなかっということも「どうでもいい」ですし、実は黒幕はサフィンという家族をマドレーヌの父親に殺されたテロリスト集団のボスだということも、映画の後半では忘れかけてしまいます。
「どうでもいい」「忘れかけてしまう」のは、たぶん背景の関係性が複雑になってきていて、たとえ理解できても「いかにもありがち」な展開なので新鮮味がないということもあるのだと思います。
さらにはたとえ敵の狙いがはっきりしたとしても、「人類の浄化」や「選ばれしものだけが生きる価値がある」こんな筋立ては過去の007でもミッション・インポッシブルでも散々見てきたわ!というマイ心の叫び。
とにかくですね、もう中盤以降は敵の狙いとか死の兵器とか、ボスのキャラとかどうでもよくなってくるんですわ、正直なところ。
それよりも、もっと大事で注目すべきことがあるんです。
ボンド、愛を取り戻す!
実はこの映画「愛の物語」でもあるんです。
ボンドを演じたダニエル・クレイグのインタビューで「今回のテーマは愛だ」と答えていましたし、実際に映画を観ると、その意味がスッと入ってきましたから。
それくらいにボンドとマドレーヌとの切ない愛が胸に染みました。
5年前に自分を捨てたボンドのことを、まだ愛していたマドレーヌ。
ボンドが「裏切られた」と感じた事件は、背後でスペクターの元ボス、ブロフェルドが仕組んだことで、マドレーヌは無実だったということ。
疑い深くなくては生き抜いていけないタフなエージェント稼業で「相手を信用しきれない」哀しみと苦しみは想像を絶するものがあるでしょう。
孤独との戦い。
だから安らぎを得るために行きずりの女性とも寝るのでしょうし、常に酒を飲んでいるのでしょう。
マドレーヌが無実であることを悟ったとき、ボンドは自分がまだ彼女を愛していたことに気づくのです。
ボンドには〇〇がいた!
これは意外に衝撃の事実です。
○○の部分はネタバレになるので、あえて公開しませんが、愛するもの同士が体を重ねた結果だといえば、ほぼ想像できるでしょう。
5年の時を経て再びマドレーヌと時間をともにすることになったボンド。
彼女の家でボンドは目にするのです。
可愛らしい女の子の姿を。
最初は「これって・・俺の・・」とマドレーヌに訊ねますが、マドレーヌは「私の子よ」と即座に否定します。
「でも目が俺と同じブルーだよな・・」と可能性を滲ませつつ、彼女に朝ご飯を作ったり、話しかけたりします。
短いシーンでしたが、今までのボンド映画では見ることが無かった「家庭的なボンドの姿」が強調されたひどく印象的な場面でした。
そしてこれらの一見、無駄に感じる場面こそが、ラストで一気に涙を誘うポイントになるのです。
ラミ・マレックの敵役はいまいち?
かたや敵ボス役のサフィンは、最後まで不気味で病的な雰囲気のラミ・マレックが演じています。
過去にマドレーヌの父親に家族を殺された恨みからなのか、家族に執着する様子を随所ににじませます。
何よりも不思議だったのは、日本の文化を強調したキャラ設定。
冒頭の登場場面で能面を被っていたり、本拠地で神棚を背景に正座をしてお茶をボンドに勧めたり、そしてボンドが土下座をして謝ろうとする姿など(これも攻撃のタイミングを計る罠でしたが)、やたらと「ザ・日本」を象徴するイメージを押し出していたのが「?」でした。
最後の本拠地も日本とロシアに近い離島でしたからね(おそらくアッツ島をイメージしてると思います)
たぶん監督が日系の方だというのが関係しているとは思います。
お父さんが日本人、お母さんがスウェーデン系のキャリー・ジョージ・フクナガさんという、40代前後の高身長・イケメンの監督で、この人がボンド役か敵ボス役で出たほうがハマるんじゃないの?というくらいのクールな雰囲気を醸し出しています。
そういった監督の文化的背景が関係しているのかどうかは分かりませんが、やたらと花やお茶を持ち出してくるサフィンというキャラには、実はそこまで「怖さ」を感じなかったのです。
ラミ・マレック独特の鼻に抜けるような「舌っ足らず」の話し方、表情の読みにくい顔立ちなどが「底知れぬ不気味さ」はありましたが、
「なぜ組織のボスになったのか?」
「どうやって組織を作り上げたのか?」
などの疑問が最後まで一切説明されることがなかったのです。
単に「恐ろしい敵」としか表現されていなかったのです。
サフィンの父親が経営していた毒の植物を再生させるという目的があったからなのか、家族を殺された恨みが人類全体に対しての「屈折した怒り」になったのかもイマイチ不明。
とにかくバイオ兵器を使って人類を滅ぼす、俺が神になって人類に鉄槌をくらわす!的なよく分からん憤怒で行動しているように見えたんですよね。
実際に最後は兵器をビジネスとして売ろうとしていましたから、おいおい、そこはきっちり金儲けかよ、人類に鉄槌をくらわす崇高な目的じゃなかったのかよ、と。
しかもラミの不気味ぶりがそこまで迫力がなくて、どう見てもボヘミアン・ラプソディーのときのフレディーにしか見えなかったという・・
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キャラクターの掘り下げ方が浅く、とにかく話題の人(ラミ自身が旬の人なので)をボス役に配しておけば問題ない的なビジネス上の背景が見え隠れしてるような気がして、最後まで私の中で「いまいち」だったのが、悪役サフィンへの印象ですね。
今回のボンドは「愛」が全てだった!
それもそのはず、今回のボンドは「愛」をメインテーマにしていたからです。
ボンドとマドレーヌ、その娘を含めた「愛」が最初から最後まで映画のベースを貫いており、衝撃のラストもそこに持っていくための伏線でもあったからです。
だからこそ敵ボスの設定は甘くなったのでしょうし、正直そこは誰でも良かったのでしょう。
ボンドが唯一、心から愛した女性「ヴェスパー」「マドレーヌ」。
ヴェスパーへの思いは冒頭のシーンで拭い去り、ボンドの心の中にはマドレーヌの存在だけが大きくなっていました。
だからこそ裏切られたと(自分で勝手にそう思った)感じた時の落胆は激しかったでしょうし、後に新たな女性との深い関係を持っていたようには見えませんでした。
5年後に再会し、再び過去の思いが蘇った2人は一晩を共にしますが、そこに現れた彼女の娘の存在・・
この瞬間にボンドは「家族」を持ったのです。
そして家族という「愛」を手にした瞬間、非情のエージェントであるべき「殺しのライセンス」を持ったジェームズ・ボンドという存在は、消えゆく運命にあったのでしょう。
そしてそれはダニエル・クレイグという、稀代のボンド俳優への最後の敬意を示した、感動であり衝撃のラストにつながるのです。
ボンドの上司Mの苦悩はよく分かる!
レイフ・ファンズ演じる、ボンドの上司Mは悩んでいました。
もともとブロフェルドやサフィー一味が奪ったバイオ兵器開発の指揮をとっていたのは、実は彼だったからです。
母国の国益を追求して国家に人生を捧げたMは、イギリスを守るための「バイオ暗殺用兵器」が有効だと考えていました。
しかしそれを逆に利用されてしまったこと、もともとの狙いだった「限定した対人バイオ攻撃」を「拡散するバイオ攻撃」に変えられてしまったこと、それが人類そのものを危機に追い詰めてしまう結果になってしまったこと・・・
その結果、いくつもの流れを経て復帰したボンドと部下のノーミに全てを託し、彼らを支援するためにサフィー一味の島に指揮下の軍隊を送って、Mは作戦室で結果を待つことになったのです。
そこで直面した「非情の決断」。
・日本とロシアが領有権を争う島に英国海軍と空軍が侵入したことへの抗議
・島のバイオ兵器を破壊するためにはミサイルで破壊しないといけない
・自国領土ではない島に勝手にミサイルを打つと、重大な外交・国際問題を引き起こす
こういった条件の中、Mは悩みます。
恐らくこの作戦が終わった後、英国外務省に日本とロシアから正式な抗議文が届くことになるでしょう。
場合によっては国家間の紛争に発展する可能性すらあります。
そうなると英国はMらをかばいきれず、彼は辞職を余儀なくされるかもしれません。
ひょっとしたら彼自身の逮捕、MI6の解体すらもあり得るかもしれないのです。
自分の決断一つで国家の未来、国民の生命と財産、組織の命運を分けることになるかもしれない。
そんな重圧の中、Mはついに決断します。
「・・・・・ミサイルを発射しろ」
このシーンは、政治家や軍の現場の指揮官が迫られる状況をよく表しているなと思いました。
ギリギリの状況下での決断は、多くの人命や財産を失うリスクがかかってきます。
映画の設定は日本とロシア近海の島になっていましたが、サフィーの一味が島を改造して兵器を持ち込んでいく様子を映した衛星写真を見て「あっ、これって、今の竹島や南シナ海、尖閣諸島が置かれた状況とよく似てるな」と思いました。
映画のこの流れの設定は、日本人にとっても決して絵空事ではありません。
実際に数か月前に、イギリスの空母護衛艦隊が日本に寄港し、アメリカやオーストラリア、日本と共同訓練を行っています。
イギリスは歴史的にスパイ小説や映画が盛んな国なのですが、そういった活動を軍部や諜報組織が宣伝活動を兼ねて支援しているという話を聞いたことがありますし(ボンド小説やスマイリーシリーズの原作者は元英国諜報部員)、ボンド映画もその影響はあると私は思います。
イギリス海軍が日本の沖合の島にくるという映画の設定も、以下の記事のような将来的な”何か”を意味しているのかもしれません。
「英空母の極東常駐は戦略上、大歓迎だが、大きな宿題」香田元自衛艦隊司令官に直撃インタビュー
その意味で映画の一連のシーンには、今後のアジアの未来を重ね合わされている一面が”あるかも”しれないのです。
さらばボンドよ!また会う日まで【ネタバレあり】
サフィンの本拠地で奪われたバイオ兵器の破壊と、マドレーヌとその娘を救うため、ボンドは新たな相棒の女性エージェエントともに島にグライダー型船底で侵入します。
この女性エージェントもなかなか印象的なキャラでした。
最初は新たな007となって引退した先輩ボンドにライバル心を匂わせていましたが(自分の功績を上司に認めさせる意味もあった)、後半になるとボンド自身が彼女を認めるにつれて、その意地を捨てていき、最後はMに「ボンド氏に007の称号を回復させてあげて欲しい」と願うほどになっていました。
そんな新旧のスパイが島に侵入して任務が成功しないわけがありません。
色々な障害を乗り越えつつ、まるでシューティングゲームの主人公になったような臨場感溢れるアクションや銃撃戦を堪能しつつ、最後は兵器を破壊し、マドレーヌと娘を救うことに成功するのです。
しかしボンドはそこで自らがバイオ兵器の犠牲になってしまい、助かる見込みはなくなっていました。
島に向けて英国海軍の放ったミサイルが飛来してくる中、ボンドは決断します。「これが最後だ」と。
そして衝撃のラスト。
おそらくボンド史上、これほどに泣ける最後はないに違いありません。
マドレーヌとの携帯電話との会話も涙しました。
「ボンド、もう時間がないのよ」
「いや・・時間はたっぷりあるさ・・」
姿が見えない遠くの島にいるマドレーヌを眺めるように、ボンドは空を見上げて清々しい笑顔でそう答えていました。
この言葉が何を意味するのか分かりません。
ただ何か全てを悟ったようなボンドの表情からは、一切の後悔はなかったように感じるのです。
そして運命の時はやってくるのでした・・・
ジェームス・ボンドは必ず戻ってくる!
時がたち、MI6の面々はボンドを偲んで杯を捧げ合っていました。
前回から比べると随分と老けたQ、相変わらずキュートな秘書マネーペニー、M字の禿げあがりがさらに角度を増した上司M、そして新人スパイのノーミを含めたメンバー。
新たな時代のMI6がどうなるのかは分かりませんが、これでボンド映画は新たな局面を迎えることは間違いありません。
それは映画のエンドロールの最後に出てきた言葉で推しはかることができます。
James Bond will return
「ボンドは必ず戻ってくる」ということ。
そう観客に宣言し、映画は本当の終わりを迎えるのでした。
まとめ
これでついに最後になったダニエル・クレイグのボンドシリーズ。
最後にふさわしいエンディングでかなり感動の嵐の感がありました。
せっかくボンドが愛を得て、しかも家族まで出来て幸せになろうとしたのに、あの最後はないだろう、でもボンドが家庭をもって幸せに暮らすなんて、それはボンド映画ではなくなる・・・
そんなボンドへの愛と映画への愛を同時にもつファンの気持ちを見透かしたような「ラスト」は、まさにこれ以上ないくらいの清々しさを感じましたね。
でももしボンドが生きていて、あのままマドレーヌや娘と共に過ごすことになったら「スパイ・ファミリー*」のような家族になっていたかも。(*世界的に大ヒット中のアニメ。父親が凄腕スパイで娘が超能力者、母親が暗殺者の疑似家族が織り成すコメディアクション)
クレイグ氏は2006年の登場以来、15年間もの長い間ボンドを演じていました。
歴代ボンドの中でも最も長いボンド役になると思いますし、自分の中で一番ボンドにはまり役だった俳優さんなので、今回が最後なのは心残りです。
長い間、本当にお疲れさまでした。
そしてコロナという非常事態をはさんでの公開延期を含め、色々な意味で心に残る作品となった今作。
タイトルの意味通り「死んでいる時間はない」は、まさにボンドの存在そのものを表していると思います。
ボンドは新しい時代に向けて動き始めています。
エンドロールの最後に現れた言葉がそれを示しています。
新たなる時代のシリーズに向けてしばし待つことにしましょう!
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