久しぶりに映画の感想を書いてみようと思った作品『ミス・ポター』です。
2008年公開の映画で、主演はレニー・ゼルヴィガー。
サスペンスやアクションの作品が多い中、こういう優しくて素直な映画はいいですね。
昨日放送分のNHKテレビ「鶴瓶の家族に乾杯」に出てきた、島根県出雲市の小学校の子供たちの歌のシーンくらい感動してしまいましたから(笑)
今回はそんな美しいイギリスの湖畔を描いた作品について、少しばかり語っていこうと思います。
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映画のストーリー
絵本作家を志すポター。
いくつもの出版社を回りますが、どこも認めてくれません。
さらに家族の無理解・・・
特に母親の無理解に苦しみました。
ビクトリア朝時代の当時、女性はこうあるべき、という価値観が支配してた時代です。
30才を超えても親の勧めた縁談をすべて断り、ひたすら絵を書き続けているポターに母親は嘆くのです。
やがて絵が売れて本になり、父親や知人・友人が絶賛しても、母親だけは無理解のままでした。
絵を世に送り出した出版社のノーマン(ユアン・マクレガー)がポターと恋に陥り、結婚するといったときも母親は反対します。
身分が違う」と。
ポターは「うちも3代前は商売人の出じゃないの。えらそうに他人を見下す立場にはないわ!」と言って結婚を強行しようとしますが、父親の理性ある判断で事なきを得ます。
しばらく別々に過ごし、お互いの気持ちを確かめることになった二人ですが、やがて悲報が・・
まさかこんな形でノーマンとの結婚が!という結果になりましたが、ポターは立ち直りました。
田園で心静かに過ごすことに決めたのです。
絵本で得た印税で田園を購入し、美しい自然の中で執筆活動を続けていきます。
そこで出会ったかつての幼馴染。
ポターと同様、自然を愛し、動物を愛するヒーリス。
やがて二人は一緒になるのです。
美しい田舎の自然風景
ポター一家が休暇の間に過ごす田舎の別荘地で、付近の田園が開発業者によって買い取られていく過程は、現代でもよくみられる郊外の土地の買収の走りなのかもしれません。
村人の間でも「美しい村は保存していかなければならない」という主張と、そうでない主張がぶつかり合います。
主人公のポター自身は村の自然や動物たちを心から愛しており、その保存のために、「ピーター・ラビット」のシリーズで得た印税で屋敷を買い取り、付近の田園を購入して村人に提供するのです。
私財を投じて美しい自然を保護する、今で言う環境保護運動家の走りでしょうか。社会で成功した者は富を社会に還元すべし、ではないでしょうが、日本のお金持ちにも見習ってほしいものかと・・・
映画の中で特に気に入ったのは、ポターが描く動物たちが動くところです。
ウサギのピーターが画用紙の中で目をぱちくりさせたり、あひるのジマイマが額縁の中でお尻をふりふりするシーンには、あまりにも愛らしくて顔がほころんでしまいました^^
とにかく随所に出てくる美しい自然や可愛らしい小動物たちに、心を癒されました。
現代と比べ、人々や社会が素朴で単純だった時代の風景や人間の描写が心に強く響きます。
多くの日本人がそうだとは思いますが、英国の田園風景には何か心ひきつけられるものがあります。
古き日の日本の自然に合い通じるものがあるからでしょうか。
ガーデニングの本場は英国だそうですが、明治時代に来日した英国人が山形の田園風景を見て感激し、帰国してから故郷で作ったのが始まりであるということを何かで聞いたことがあります。
当時のイギリスは工業化社会で環境汚染が激しかったみたいですから、古きよき田園の風景はわずかにしか残されていなかったのでしょうね。
まとめ
とにかく心安らぐ映画でした。
イギリスには一度行ったことがあり、列車から見た田園風景もよく覚えています。
とにかく美しかった。
日本のように立て看板がしてあったり、民家が点在しているということもなく、ただゆるやかな丘や野山があるだけ。
自然以外、何もない風景がとても印象的でした。
そんなゆるやかに流れる時間の中、ミス・ポターはあのウサギたちを描いていたのですね。
登場人物も皆、憎めない人たちばかり。
アクションやホラー、サスペンスといった、どちらかといえば人間の裏の部分に焦点を当てたものや無意味に交感神経を刺激する作品が氾濫する昨今、この『ミス・ポター』は実にのどやかな、古き良き時代の優しい人や動物、自然を描いた作品でした。
久しぶりに「この思いを書き綴りたい、できれば何人かと同じ思いを共有したい!」と思わせてくれた逸品でした。
ぜひ一度ご覧くださればと思います。
Miss Potter trailer