NHKの番組ででこのことを知ったのだが、アメリカとカナダのヒットチャートだったか、ジャズとワールドミュージック部門で一位をとったとか。
ことの始まりは一軒の中古レコード屋さんだという。
アメリカの音楽関係者がたまたま中古レコード屋で由紀さおりの「夜明けのスキャット」のアルバムを見つけて、それを聞いて感激したのが、彼女が世界デビューするにいたるきっかけだ。
「ル~ル~ルルル~」で始まる「夜明けのスキャット」は前から巷で結構流れたし、由紀さおりのことをよくしらない僕も何度か聞いたことはあった。
Saori Yuki - Yoake no Scat (Marsheaux Remix)
たま~に見る音楽番組でお姉さんと姉妹で日本の童謡を歌ってたりして、「ああー、声の綺麗な人だなぁ~」くらいの認識しかなかったのだ。
歌手としては。 どちらかといえば小さい頃に見たドリフのコントでの印象が深い。
「ドリフの大爆笑」では歌手やタレントが毎回ゲストで出演していたのだが、数ある有名セレブの中でも、由紀さおりはかなりよくコント出演してたのでよく覚えている。
若い頃の由紀さおりは、小学生だった僕の目から見てもかなり美人に見えたし(実際にそうだと思うが)、頭の中で勝手に「絶対ドリフの誰かと恋人なんだ」と思い込んでいた。(理由は今でも不明だが)
それにしても、NHKで見たイギリスのコンサート会場で歌う由紀さおりは、年を経た今でも充分美しかったし、歌いおわった後に開かれたサイン会では輝いた笑顔を見せていた。
かつて松田聖子や宇多田ヒカル、ドリカムなどがアメリカのショウビジネス界での成功を目指し、デビューを果たした時期があった。
残念ながらそれほどの結果を残せなかったと思うのだが(少なくとも、あるジャンルの上位を取るとかの)、まあそのときは、英語という言葉の壁が邪魔しているのだから仕方ねえやなー、くらいにしか考えなかった。
でもよく考えてみたら、他のアーティストはともかく、宇多田ヒカルなんかは英語べらべらのはずなのだから、言葉の壁は関係なかったように思う。
欧米人、とくにアメリカ人には、たとえそれが稚拙なもので、レベルが高いものではないものでも、それらが人と違うこと、今までにない斬新なもの、誰も思いつかないことであれば、素直に高い評価を与えるという気風があると聞く。
たしかに世界の様々な発明品、新製品はアメリカ発のものが多いような気がするし、コンピュータやテレビ、ipodなどはそれらの代表格だと思う。
またたとえそれが生粋のアメリカ発のアイデアではなかっとしても、それらを採用して製品化して、それを世間が認めて高い評価を与える傾向というのは、世界中でもアメリカがとくに強いんじゃなかろうか。
そういう視点から見れば、たとえ宇多田ヒカルの楽曲センスが優れていて、ドリカムの歌唱力がハンパじゃないにしても、その作品が質が高く、充分聞くに堪えるものだったとしても、既存の音楽市場にすでに溢れている類のものである限りは、新しいもの好きのアメリカ人気質からすれば、高い評価を与えるにふさわしいものではなかったのかもしれない。
英語で歌うことにしても、その英語が母国語であるアメリカ人からすれば「話せて当たり前」なのだから、特別注目されることもないのだろう。
そんな中で由紀さおりが受け入れられたのも、童謡をベースとした叙情的な音楽が欧米人には斬新だったためだろうし、あとは由紀さおり自身の長い音楽キャリアの中で培われてきた、優れた表現力や歌唱力という音楽的基礎体力がものをいったのだろうと思う。
やはり何事も基礎体力が重要なのだ。