1983年に発表されて世界中の度肝を抜いたキングオブポップ「マイケル・ジャクソン」の名曲です。
1982年にリリースされたアルバム「スリラー」からのシングルカットで、全米4位まで上り詰めています。
このビデオのすごいところは、映像が一つの「短編映画」になっているところ。
序盤の意味ありげなマイケル自身の注釈で「えっ?」と思わされ、続く音楽のないドラマ仕立ての進行にさらに「えええ?」と首をかしげます。「これって、確かミュージックビデオだったよね?」
でもヒロインの女性が狼男に変身したボーイフレンドのマイケルに襲われて「キャーーーッ!」となったところで、実は劇中映画だったというオチ。
これが5分続いて「音楽ないじゃん」となるわけです。
普通ならミュージックビデオ一本近くの長さですよ、5分といえば。
そこからようやくミュージックスタートとなるわけですが、この展開は当時初めてこのビデオを見た自分にはすんごく衝撃的でした。
それまでのミュージックビデオといえば、ミュージシャンが音楽に合わせて歌うだけで、物語も演技も何もないのが普通だったのですから。
そんな前代未聞の超大作ビデオについてレビューしてみましょう!
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踊るゾンビとマイケルの光る眼に度肝を抜かれた!
物語の設定は、ヒロインが恋人(マイケル)とホラー映画を見た帰りに、死人たちが街のあちこちで蘇って自分たちに襲ってくるという感じ。
実は恋人自身がゾンビで、両方から追い詰められたヒロインが廃屋に逃げ込んで最後はゾンビに囲まれて「キャーッ!」という流れです(アバウトですが笑)
ここでゾンビに変身したマイケルが「お前の肉が食べたい~」とヒロインを襲っていれば単なるゾンビ映画で終わってしまうのですが、ここがすごいのが、街のゾンビたちを率いたマイケルゾンビが超絶にカッコいいダンスを披露するところ。
今までのミュージックビデオでは見たことがないキレのある動きと、ゾンビのユーモラスな動きがめちゃくちゃに魅力的で、当時小学生だった私はこの動きを何度も真似して遊んでいたものですよ。
大人になって行ったユニバーサルスタジオでこのモブダンスを見た時は、子供の頃の興奮が蘇って鳥肌が立ったくらいに好きなダンスシーンでしたからね。
そんなマイケルwithゾンビダンサーズの踊りがひと段落ついた後は、再び元のゾンビに戻ってヒロインを追い詰めて、最後は皆で手を伸ばして「キャーーーーッ」と。
ところが実はそれは夢だったというオチで、ヒロインも視聴者もホッとします。
そのまま映像は終わると思いきや!
最後の最後にマイケルが画面に向かって光る眼でニヤーッと笑うところで静止。
そして「ハーッハッハッハッ!」という悪魔のような笑い声がエフェクトでかかって、今度は本当に映画のエンドロールが流れてジ・エンドというオチがくるわけです。
このブログでも何度かレビューを書いているのですが、私は大のゾンビ映画ファンで、このミュージックビデオのテイストが「バタリアン」とか「死霊のえじき」とすごく被るところがあって、それも映像に引き込まれる原因なのですね。
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とくに街の外れの墓地からゾンビが蘇ってくるところなんか、バタリアンそっくり!
というか、バタリアンの公開が1985年なので、おそらくこのビデオの影響を映画のほうが受けているのでしょうね。
歌の要約と序盤のセリフの意味
歌の要約はこちらです。
魔物が蘇り、恐怖を拡散する
もう君はどこへも逃げられない
やつらがすぐそばまで来てるのさ
今夜はスリラーナイト
僕は君を魔物よりもぞくぞくさせてあげられる
君を強く抱きしめて今夜一緒に恐怖と戦おうじゃないか
だいたいはビデオの流れ通りですね。
むしろマイケル自身が一番怖かったという^^;
冒頭にテロップで流れたマイケル自身の言葉ですが、
Due to my strong personal convictions, I wish to stress that this film in no way endorses belief in the occult.
となっていて、これは一体どういう意味なのかというと、
私の強い個人的信念によって、この映像がオカルト信仰を支持するものではあり得ないということを強調しておきます。
ということ。
実はこれはマイケルが在籍していた某宗教団体との絡みが関係あるとされ、その団体に向けての宣言のようなものだったといわれています。
あくまでネット上の情報なので真偽のほどは定かではないですが、有名人とそれにまつわるその手の関係者とのややこしいあれこれというのは、洋の東西を問わずつきまとうものなんだなと感じました。
いってみれば、この序盤の言葉そのものが「スリラー」だったということですね!
制作スタッフの豪華さにも度肝を抜かれた!
映像や音楽の中身はもちろんのこと、このビデオのプロデューサーがあのクインシー・ジョーンズというのもすごいことです。
若き頃にレイ・チャールズとバンドを組み、名門バークリー音楽大学を卒業してトランペット、ジャズ、サウンドトラックなどのミュージシャン活動を筆頭に、大物ミュージシャンのプロデュースや音楽レーベルの重役など、裏方としての活躍ぶりも業界随一なのビッグな人物。
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そんな超大物がこのアルバム「スリラー」の共同プロデューサー(相方はマイケル)として指揮をとり、全米チャートで37週連続で一位、1億4000万枚の売り上げを叩きだして「世界一売れたアルバム」でギネスレコードを獲得したという、未だ破られることのない偉業を達成したわけです。
さらに監督のジョン・ランディスとメイク担当のリック・ベイカーは「狼男アメリカン」の制作コンビで、それがスリラーの中でも存分に生かされているという流れ。
加えて劇中の不穏なナレーションを担当したヴィンセント・プライスも往年のホラー映画俳優だったということで、何から何まで一流づくしの制作陣の豪華さ!
その頂点に立つのが不世出のポップシンガーでありエンターテイナー、マイケル・ジャクソンなのですから、それは成功しないほうがおかしいというものですよ。
まとめ
このMVの製作秘話を見たことがありますが、マイケルの映像や音楽、ダンスにかける情熱と信念は本当にすごいと思いました。
晩年に計画していたツアーのための映像集でもプロ意識に溢れていて、一つ一つの動きや演出にすごく魂を込めているんだなとすごく感心しましたね。
残念ながら偉大なるポップスターは2009年9月に帰らぬ人となってしまいましたが(死因は未だに諸説ある)、彼の残した映像や音楽は今でも世界中の多くの人に観て聴かれ、愛され続けています。
いつかAIの技術がさらに発達してマイケルの生前の姿が完全に再現できたとしたら、ぜひまたあのキレのあるダンスと歌を見て聞いて体の奥から喜びを感じてみたいと思いますよ。
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