2014年8月にエミネムとシーアの二度目のコラボレートが発表された。
その名も「Guts over fear」(”苦難を乗り越えて”)。
映画「イコライザー」のテーマソングだ。
エミネムとシーアはかつて”Beautiful Pain”(2013年リリースの「The Marshall Mathers LP (U.K. Only) 」からのシングル)でコラボレートした経験がある。
この「Guts over fear」は曲名のとおり、エミネムがラップアーティストとして経験してきた様々なことを捉えた歌であり、映画「イコライザー」の主人公であるマコールや、テリー(娼婦の少女)の人生と重ね合わせるように作られたものでもあった。
【イコライザー】デンゼル版の必殺仕事人ぶりにシビれる!
続きを見る
途中からコーラスとして入るシーアは、オーストラリアを代表するシンガーソングライターで、ロックやポップ、ジャズに至るまで幅の広い楽曲を得意とする異才の人。
両性愛者であることを早くから公表しているほか、うつ病、アルコールや薬物依存症であることも知られている、いわば典型的な「芸術家気質」の女性アーティストだ。
クリスティーナ・アギレラやブリトニー・スピアーズ、マルーン5など有名ミュージシャンとコラボレートしてきたシアが、エミネムと二度目の共演を果たしたのは、おそらく二人が尋常でない苦難の道を歩んできたという共通項がそうさせたのだろう。
極貧の生活の中からラップという生きる道を見出してきたエミネムと、両性愛者という倒錯した性愛嗜好を持ちながら、薬物やアルコール依存と苦闘しているシーア。
この二人のコラボレートする「Guts over fear」からは、内面をえぐるような激しさと力強さがボーカルの合間から交互に伝わってくるようで、一度聴いたら耳を離れない吸引力を持っているように思えた。
そしてそれは映画の主人公マコール(デンゼル・ワシントン)の闇に満ちた過去をも網羅するものであるといえよう。
その後、エミネムはこの曲を自身の7枚目のアルバム「Shady XV」に収録した。
エミネムは2002年に見た「8マイル」で好きになったのだが、若い頃のラップバトルで鍛え上げられたボーカル力が彼を無敵のラップアーティストにのし上げたのだなと思う。
マイクパフォーマンスも素晴らしいものがあるので、いつか彼のライブを生で見に行ってみたいと思っています。
ボーカリストの魅力を引き出すマイク7選
続きを見る