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MIシリーズ

ついに大団円?!MI:ファイナルレコニング鑑賞レビュー!【ネタバレ・長文】

公開初日(5月23日)の一番早い時間(9時台)に観に行ってきました!

先行上映には行けなかったので、せめて一般公開の初日だけは一番参加にしようと思い、休みをとって朝から鑑賞です。

前作公開(2023年)から2年後、映画上の設定は2か月後。

今回はその続編になりますが、もはや前の内容を覚えていないので、メインの主題「AIとの戦い」も続きだったということも完全に失念しておりました。

登場人物も同じということもあり、キャラクターの目新しさはほぼないのですが・・・・

それでもですね・・・・

冒頭から展開する1から7までの走馬灯のような思い出の素晴らしきことよ!!!

今作が「最終作」という触れ込みなのか、シリーズ一作目からのシーンが連続してイーサンの脳裏(画面上)に出てきて、ファンの皆さんは同時に「おおおおおっ!」とどよめいたのではないでしょうか?

中でもシリーズ1作目の名シーンが何度も出てきて、一作目こそが至高だと信じる私としましては、これはまさに「トムからの贈り物」以外の何物でもなかったわけですよ。

でもそれ以上にですね。

シリーズ1作目が執拗に繰り返された意図は他にあったのです(それも明確に)

そのあたりの謎ときや映画の魅力並びにツッコミその他もろもろについてを、これから映画のストーリーの流れに沿って、超個人的な感想と共に明らかにしていきたいと思いますよ!

*強烈にネタバレしますので、まだ未見の方はご注意ください!

*本サイトの記事内に広告が含まれる場合があります

ミッションのはじまり

まずはオープニングを。

序盤から暗い雰囲気です。

さらに言葉で「スパイの心得」が流れます。

We live and die in the shadows, for those we hold close, and for those we never meet

俺たちは影と共に生き、影と共に死ぬ。最も愛する者のため、そして未知の人々のために。

この言葉は恐らくルーサー(シリーズ1以来のイーサンの相棒)によって語られたものだと思いますが(すでに忘れた汗)、ここにはスパイの任務の辛さと誇りが同時に詰まっていると感じました。

続いてイーサンがどこかの部屋でビデオデッキにビデオテープを入れるシーン

(なぜビデオテープに?)

と不思議に思いましたが(このデジタル全盛の時代に)、考えて見ればこの映画はAIとの戦いがテーマであり、恐らくAIによって全世界のデジタルインフラが乗っ取られて人類が滅亡の危機に瀕する的な流れなんだろうから、だからこそ「アナログ」のビデオ―テープを使うことでAIからのデジタル回線を通じた監視をかいくぐる意味があるのだろうなと、一瞬で理解した自分はきっとスパイの素質があるよなふふふふ、と一人座席でほくそ笑んでいたことは公然の秘密ということ。

そんなこんなで古いテレビ画面に映し出されたのは、IMFからイーサンへの「ヘルプ」

なぜかIMFとの接触を避け続けていたイーサンに「お願いだから、姿を現して再び世界を救って」という指令だったのです。

そしてお決まりの「このテープは数秒後に消去します」

テープはシューと煙を立てるシーンは「おおおお」とちょっとだけ感動しました(これがあるからこそMIなのだ!)

こうして序盤からミッションシリーズの懐かしさと醍醐味が全開でストーリーは進んでいくのでした。

懐かしい仲間との再会とルーサー(ウィング・レイムス)の言葉に痺れた!

IMFからのヘルプと、AIの目的である「全世界の核基地をコントロールして人類を破滅に向かわせる」を知ったことで、イーサンは街で再び仲間と再会します。

とはいえ、彼は今や「破滅の種を撒いた諸悪の根源」的な扱いを各国機関から受けていることや、恐らくAIからも監視対象になっているため、表立っては活動はできないはず。

なのに、なぜか群衆(AIによって洗脳された人々)と警官隊が対峙する広場のど真ん中に顔出して堂々と姿を現すシーンで「なんでやねん!」と。

続いて懐かしのお仲間であるベンジーも姿を現して「二人とも捕まるだろう・・・」と再度ツッコミをいれたのですが、もちろんそんなたわ言は誰も聞きとめるはずもなく、映画はそのまま地下鉄の秘密基地に2人が進む流れで進んでいくのでした。

そしてアジトにいたのは、懐かしのルーサー。

シリーズ一作目からのイーサンの盟友であり、古き友でもある、敏腕ハイテクエージェントです。

なぜか病院服を身にまとっていたのですが、どうやら何かの病気を患っているらしく、この地下のアジトで治療を受けながら、作戦に必要な「何か」を作っていたのです。

その何かとは、AIの親玉である「エンティティ」を封じ込めるための「メモリ」ということ。

映画の最後で分かりますが、ドラゴンボールでいうならば「武泰斗様の魔封波の電子ジャー」。

病院服のままで何を作っているのかと思いきや、そんなすごいものを作っていたとは・・・

(*注意!)メモリと「エンティティ」のソースコードをどうのこうのする「メモリらしきもの」と、潜水艦にあった「デバイス」の役割のくだりは、正直、映画を見終わった今でもあまりよく理解しておりません。

ということは、見終わった勢いで書いているこのレビューでは理解がまったく追いついていないことから、この後のレビューではこのデバイスを巡るあれこれは最後まで曖昧なままの記述で進めていくことにします(他の人のレビューやウィキペディアでまとまった情報が出ていれば、それを参考に修正します)

しかし久しぶりのイーサンとの再会のシーンでは、かつてのような元気さはなく、これはまさに「死病」に至っているのではないかと感じさせる憔悴ぶりに驚き。(というか、演じている俳優さん自体の加齢による老いもあると思います)

でもその気概と魂は健在です。

かつての自分の決断に悩むイーサンに対し、ルーサーはこう語りかけるのです。

「イーサン。人生ってのはな、たった一つの決断で決まるんじゃないぜ。何かを”選択すること”の積み重ねなんだよ。過去の選択の積み重ねの結果に今のお前や俺たちがある」

ここのシーンのセリフはうろ覚えなので、本当は少し違うのかもしれませんが「人生は選択の積み重ね」は確かだと思います。

そしてこの言葉がやたらと自分の胸に染みて「おおおおおお・・・」と一人静かに胸を熱くしていました。

さすがは人生の達人ルーサーよ!

そのときの流れで「俺たちは影と共に生き、影と共に死ぬ。最も愛する者のため、そして未知の人々のために」が出たのかもしれません(ここもうろ覚えで失礼)

とはいえ、こうした人生を達観したような言葉が出た時点で、映画ではお決まりの

死のフラッグ

がすでにルーサーには立っていたのかもしれません。

そして実際にガブリエルに仕掛けられた罠にはまり、その見事な最後を迎えることになります(罠の内容は次のガブリエルの章で説明しています)

その罠の中にイーサンらが急いて駆けつけて、ルーサーを連れ出そうとしますが、閉じ込められた上に、爆弾の解除をしなければ街は破壊されてしまうという窮地。

ここで再びあの言葉「俺たちは影と共に生き、影と共に死ぬ。最も愛する者のため、そして未知の人々のために」が。

そしてイーサンに微笑みかけるのです。

「俺は自分の人生の意味が分かったんだ。こうなることが運命だったんだよ。後悔はないよ」

涙の別れ。

イーサンは何とか救い出そうとしますが、時間はあと数分。

「行け、イーサン。あとは俺が始末するよ」

そういったルーサーの覚悟を決めた顔を見て、イーサンはついに決心し、ガブリエルを追うのです。

このシーンは映画の中で最も感動したシーンでした。

そしてここでの言葉も熱かった。

もはやここで映画のレビューを終わってもいいくらいに。(もちろん続けますが)

それくらいにルーサーの最後は胸に響きましたし、彼の言葉は熱く、そして人生を噛みしめるにふさわしいものだったと思います。

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イーサン・ハント(トム・クルーズ)の超人ぶりに呆れた!!

そして我らがチームリーダーのイーサンです。

まさにこのシリーズの主人公ですが、とにかく今回もアクションが凄かった。

序盤から後半まで戦い続け、走り続け、転がり続け、飛び続けた2時間強というところ(169分)。

前半では「悲壮感」「虚無感」が彼の周りを覆っていたように見えました。

誰からも認められないまま、それでも命を懸けて何かを守るために身を捧げてきた人生。

その結果、母国からも追われ、仲間も失い、愛するもの手放さざるをえなかった過去と現在。

そんなときに諭されたルーサーの言葉「俺たちは影と共に生き、影と共に死ぬ。最も愛する者のため、未知の人々のために」

その言葉は消えかかっていた彼の「使命感」に再び火を投じたのかもしれません。

「己の宿命」と信じた道を突き進むがごとく、身に降りかかる様々な障害を乗り越えていくイーサンの奮闘ぶり。

それはまるで「映画製作」を天職と任じ、人々を楽しませる映画を作ることで「世界を少しでも明るいものにしたい」というトム本人の思いを具現化したかのようでした。

いやそれよりもむしろ

超人ハルクかおまえは

というくらいの無敵ぶり。

イーサン推しの自分でも「さすがにそれは無理があるのでは・・」と絶句したくらいに。

喩えを出しますとですな・・

  1. 走る距離がハンパではない陸上選手ぶり
  2. 北極の深海に沈む潜水艦から裸で脱出して数日で復活する無敵ぶり
  3. 空飛ぶ飛行機に飛びついて乗り移って縦横無尽に暴れ回る鳥人ぶり
  4. 墜落する飛行機から脱出して開いたパラシュートが燃えても、実は別のパラシュートが予備であった強運ぶり
  5. どんな状況でも諦めない止めない知恵の泉は尽きない頭のタフネスぶり

などの「5ぶり」が全編を覆っていましたとも。

驚くべき心身のタフネスぶりで、もうあそこまで行くと「マンガ」ですわなと。

自分の中では潜水艦からの脱出シーンで完全に「あっ、これは今回は最後まで無敵バージョンやわ」と諦めが出ていたくらいですからね。

まあMIシリーズは全体的にそうといえばそうなんですが、それでもシリーズ一作目はもう少しリアリティがありましたよ?

とかなんとか文句は言いながら、やっぱり最後まで見てしまうのがイーサン・ハントの魅力というもの。

ラストシーンでアフリカの大地を歩くシーンがあったのですが、あれだけで絵になるスパイというのは彼以外いないんじゃないかな?と思うくらいに、広大な草原とたった一人の人間のコントラストが無限の可能性を感じさせてくれた一幕。

あれは単純な絵面というよりも、それまでの数十年にも積み重なったイーサン・ハントという「歴史と選択の重み」が、スクリーンを通じて見る者の心に投影されたものではないのかなと思うわけです。

ベンジー(サイモン・ペッグ)のコメディシーンがもっと欲しかった!

シリーズ3作目以来の連続出演となるベンジーです。

シリーズ登場当初は「あれ?ゾンビ映画の人だよな?」と不思議な感想をもっていましたが・・

それがあれよあれよという間にミッションシリーズにはなくてはならない人になってしまい、今だに「なんでだろう?」と不思議に思っているくらいです。

コメディ要因としては重宝できる人材とは思いますが、作戦にはそれほど重要だとも思えませんし、見た目もどちらかといえば地味ですからね・・・

それでも10年以上に渡って出演できているからには、きっと彼には彼にしか出せないシリーズ内での味があるのでしょう(もしくはトム・クルーズ本人との個人的な関係性か)

そんなベンジーですが、近年の彼にはあまりコメディ要素がないなという印象。

4作目のゴースト・プロトコルではその才能をいかんなく発揮していたと思うのですが(クレムリンでスクリーンで顔がアップになる場面とか)、それから回を重ねるにつれて、少しずつコメディ要素が減っていき、今作ではほぼ「シリアス路線まっしぐら」でイーサンからチームリーダーを任せられる始末。

それでも最後のアフリカの基地の場面で、パリスの手術で気絶しかけて起こされるシーンは少し笑いをとりましたが。

とはいえ、コメディ要因としては自分的にはかなり良い存在だと思っていたので、ぜひとも最後までかまして欲しかった。

ショーン・オブ・ザ・デッドで見せてくれた、あのおとぼけ具合をシリーズ最後といわれる今作でがっつりと見せつけて、イーサンハントを爆笑の渦に叩き込んで欲しかったですよ。

そう。

ベンジーにはやり遂げなければいけないミッションがまだ残っているのですよ。

それはイーサン・ハントを腹の底から笑い転げさせることなんですよ。

ぜひとも実現させて欲しいですし、もし次作があるとするならば、ぜひとも実現させて欲しいと願っていますよ(映画関係者の方が万が一にもこの記事を読んでくださっていたら、この願いをぜひともトムクルーズ氏にお伝えあれ!)

ガブリエルの悪党ぶりの中途半端さに怒った!

今作のもう一人の悪党である「ガブリエル」について語りましょう。

この人は前作でも出てきた悪のボスで、はっきりいって何の役だったのか、どんな役割で悪の道を進んでいるのか覚えていません。

「確か前作でイーサンに大事なものを取り返されたはず・・」ぐらいの認識です。

でも今作では親切なことに、彼の目的と意図がはっきり示されていて、ここでようやくガブリエルという存在の意味が理解できました(以下まとめ)

  • AIの親玉「エンティティ」の目的を果たすために選ばれた駒
  • でも前作で失敗したため、エンティティに見放された
  • エンティティを倒すためには、ルーサーのもつソースコードとエンティティを封じ込めるメモリ、潜水艦に沈んでいるデバイスが必要
  • イーサンらにそれを取得させて、今度は逆に自分が世界を支配するのが目的
  • この目的を果たすためにガブリエルが実施したのが、
  • グレース(元スリのイーサンのチームの一人)とイーサンを捕えて、イーサンに作戦に協力するように脅迫する
  • 同時にイーサンらのアジトを急襲してルーサーのメモリを奪う

ということ。

最初の一つ目失敗するのですが(2人とも逃げる)、2つ目の作戦は成功します。

ルーサーのメモリを奪い、ルーサーを地下に閉じ込めて、街を破壊するほどの威力をもった爆弾をセットする。

しかしなぜか爆弾を解除するための工具を置いていくのです。

このくだりは正直「????」でした。

メモリを奪ったルーサーには用無しですし、ルーサーの頭脳を恐れるのなら、その場で射殺しても良かったのです。

でもそれをせずに「あえて生かしておいて、しかも爆弾を解除するための時間と工具を与える」意味はどこにあるのかと?

ガブリエルの行動には他にも「???」が付くものが多いんです。

話は映画の最後にまで飛びますが、イーサンとのセスナ機での空中戦でも、あそこでイーサンを墜落させてどうするつもりだったのかと(イーサンが持っているメモリごと遥か地上に落ちる)

時間が経てば経つほど、エンティティによる核爆弾の発射が近づくのに、なぜイーサンから逃げて距離を稼ごうとするのか?

アフリカの基地でイーサンの仲間がエンティティの封じ込めを狙っているのに、なぜそれに協力した後で、イーサンらを始末しないのか?

色んな謎が深まる中、ガブリエル自体の最後も意味不明すぎました、

あれだけ引っ張っておいて、セスナから墜落する前のあの死に方はないだろう?と。

前作からその存在が意味不明なキャラでしたが、今作でも死ぬ間際まで

「君はいったい何の目的があってこの映画に出てきたんだい?」

と、はるか太平洋のジャパンの片隅に住む中年のおっさんからの辛辣なツッコミを受ける羽目になったのです。

女性キャラクターの個性と迫力がすごかった!

今作では女性が大活躍します。

ミッションチームもそうですし(グレース)、新たにチーム入りしたパリス、アメリカ大統領のスローン、海軍提督のニーリーなどなど、美貌とパワーを兼ね備えたつわものぞろいばかり。

以下にそれぞれの役柄で得た感想を語っていきますね。

グレース(ヘイリー・アトウェル)

前作から登場したプロのスリ(泥棒ですが)。

その知性と勇気を買われてメンバー入りし、チームリーダーであるイーサンをサポートする働きをガンガンこなしています。

特筆すべき働きは2つ。

イーサンが北極海で溺れていた時に助けて、移動式の減圧室で何時間も付き添って看病したことと、ラストのエンティティ封じ込めです。

イーサンの無謀ともいえる「潜水艦からの裸での脱出」でほぼ死にかけていたところを、助け上げてまるで恋人のように見守りながら、イーサンの復活を待っていたシーンは「これは恋しとるな」と確信しました。

あのシーンのグレースの目には確実に「イーサンへの愛」がこもっていましたからね。

とはいえ、その後のラブシーンは一切なく、あくまで作戦メンバーの手厚い看護への感謝というイーサンの反応に、きっとグレースはちょっと失望したに違いないと勝手に思っていました。

そんな愛の気配から一転して、ラストの働きは見事でした。

ベンジーの指示を受けながら一つ一つの手順をしっかりこなし(配線を切ったり、つなげたりする)、イーサンが必要なメモリとデバイスを手に入れて、それを添付した時に出るスイッチのOKサインを確認し「エンティティがメモリを入った瞬間」を見て、瞬時に切り離した時の手際の良さ。

これはまさにイーサンが彼女をメンバーに入れた「タイミングの絶妙さ」という彼女のプロのスリの能力をいかんなく発揮した瞬間であり、それによって世界は救われたという面白い流れでもありました。

パリスは得意の戦闘術を活かしてアクションシーンで大活躍していますし、ラストではベンジーの命を救う医療ケアの技術も体得しています(ベンジーの指示のもとだけど)。

パリス(ポム・クレメンティエフ)

前作からの出演です。

敵ボスガブリエルの元部下で、戦闘術の達人の役割。

カナダ人と韓国人のハーフということで、独特のオリエンタルな美しさが魅力的な女優さん。

とにかく動きにキレがあり、MI史上最高の女性エージェントではないかと思います。

この女性が良いのはフランス語しか喋らないこと。

英語は理解しているのですが、話すのはフランス語だけなので、何かこう「お洒落な響き」を言葉に感じるんですよね。

無口なのも「仕事人風」で良い感じですし、イーサンとのラブシーンがないのも無駄がなくていい。

最後のベンジーとのタッグのシーンは「クリリンと人造人間18号」を見ているような懐かしさすら感じました。

*「ドラゴンボール」に出てくる悟空の盟友クリリンと、天才博士によって作られた無敵のアンドロイドの女性版。最後に二人は結婚する。

スローン大統領(アンジェラ・バセット)

前作に続く登場で、以前に何かのレビューで読んだ「トランプ元大統領への当てこすりでは?(2023年当時)」という意見を思い出し「あのときの状況と今は大分違うなあ」と感慨深げになりました。

とにかくこの女性大統領の悩む姿が秀逸。

AIによって次々と世界の核保有国の核施設が乗っ取られる中、最後に残るだろうアメリカの核兵器システムを守るため、また世界を核戦争の危機(AIが人類滅亡のために核兵器を世界各地に飛ばす)の被害を少なくするために、彼女が策定したプランは冷酷でありつつも、現実的な内容だったということ(以下まとめ)

  • エンティティが乗っ取った世界の核兵器が稼働する前に、こちらから発射基地を破壊するため核兵器を飛ばす
  • 米国による敵意を持った先制核攻撃ではないと国内外に示すために、国内の選ばれた都市に核爆弾を落とす(あくまでAIがやったことだということを同盟国や敵対国に示すために、国内の都市をあえて犠牲にする)

ということはつまり・・・

70億人を救うか、1億人を救うか?

ということ。

劇中のセリフですが、ここに「全面核戦争を避けるために実施する”意図的な限定核攻撃”の犠牲が1億人に上る」という。

この決断が大統領一人に委ねられたということ。

非常に重く、辛い決断です。

だからこそ映画内で彼女が悩むシーンは共感できましたし、決断した時の鬼のような表情と覚悟には深く納得するところがありました。

幸いにもイーサンらの活躍で最悪の事態は避けられたのですが、もしこれが実行されていたら・・・おそらく1億人では済まない犠牲が出ていたでしょう。

ちなみにこの大統領のモデルはミシェル・オバマ氏(オバマ元米大統領夫人)だと勝手に推測しています。

ニーリー提督(ハンナ・ワディンガム)

イーサンが政府から託された「エンティティを食い止める」作戦のサポート役になる艦隊司令官です。

精鋭の空母機動部隊を率いる女性提督というだけあって、見た目の迫力は相当なもの。

アップにしたブロンドヘアーの下には、意志の強い目つきと全ての食べ物をかみ砕きそうな頑丈な口元が鎮座。

全体的に「タフ・ウーマン」の雰囲気をビンビンに感じて、カリスマ性すら感じさせてくれました。

この人の登場シーンで印象的だったのは、米大統領から「これを持っていけば必ず役に立つわ」と言われた封筒をイーサンから渡されて、そこに書かれていたのは年月日だけだった、というくだり。

その後に「セルビアの作戦で失った云々、腰砕けの上層部の犠牲になった云々」などと説明されていたことから、

  • シリーズ3作目でイーサン夫婦を護衛できなかったくだりのこと
  • 二人は元々戦友で、かつての軍事作戦で苦汁を共に舐めた経験があり、今回もそのときの失敗を繰り返してはならない

という意味の暗喩なのかなと。

説明がなかったので、あくまで私の個人的な推測になりますが・・・

とにかくここで分かるのは、提督と大統領の間には深い信頼関係があり、だからこそイーサンは提督のサポート受けて北極海で作戦が可能になった、ということ。

そして最後に感じたのは、この提督は洋楽ロック界の姉御「ピンク」にそっくりだなということでした!

左遷されたCIA職員の復活に感動した!

シリーズ一作目でイーサン・ハントにCIA本部の自分の部屋への侵入を許した挙句、大切なデータを抜き取られた罰でアラスカの支局に飛ばされた、悲しきサラリーマン職員ダンロ―氏を皆さんは覚えておいででしょうか?

垂れ目の眼鏡姿でいかにも「騙されそうな」キャラのダンロ―氏でしたが、彼のその後はシリーズ中でもほとんど出てきていないと思います。

それがここにきて!

ついにその雄姿を拝むことができるという感動!

イーサンを除くチームメンバーが作戦のために吹雪で荒れる極寒のアラスカの大地に上陸したとき、データの集積所と思われる小屋に住んでいたのが、ほかならぬダンロ―氏でした。

彼はアラスカの地に飛ばされて約30年間、ずっとそこを離れることなく住み続けていたのです。

なんとそこで現地人の妻(イヌイット)を得て、穏やかな生活の中で幸せを感じていたということでした。

チームを率いていたベンジーはダンロ―氏を同じ諜報員業界の伝説的な人物(実はデータサイエンティストとしてはすこぶる優秀だったらしい)としていたく尊敬しており、その出会いに一人興奮していたほど。

とはいえ、そこにはすでにイーサンらの企みを察したロシアの特殊部隊が潜入していて、すぐに彼等は囚われの身になるのですが・・

そんななか、イーサン側からもロシア側からも求められていたデータの入ったフロッピーはすでに消去したということをダンロ―氏は秘かにベンジーに伝えます。

その理由は「数年前にここを訪れたCIAのお偉いさんが妻を見下していたから」ということ。

人一倍奥さんを愛していたダンロ―氏は何よりもそのことに憤りを感じて(妻への侮辱と白人によるイヌイット=アジア系への差別)、重要なデータを渡さなかったんですね。

これは映画全体にいえることですが、有色人種への配慮が本作には頻繁に込められていて、近年のハリウッド作品の基調をそのままなぞっているように思えます。

ただそれ以上に私個人が思うのは、これは恐らくトム本人の希望も含まれるのではということ。

幼いころから苦労人だったと聞きますし(母子家庭でアルバイトで生活費や学費を稼いでいた)、言語障害もある(文字でセリフを覚えられない)ことから、弱い人への優しさや配慮は人一倍持っていると思うのです。

業界内でもスタッフへの配慮は有名だそうですし、それに加えて本人が入信している新興宗教「サイエントロジー」の影響も少なからずあると思います。

日本の明治維新を描いた「ラスト・サムライ」でも分かるように、他文化への理解やリスペクトも十分にあり、それらを含めたトムの人間性と映画業界に流れる「多様性への配慮」が今作でもいたるところに見られたと思います。

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そんな優しきトム演じるイーサン・ハントによってアラスカの僻地に追いやられたダンロ―氏が、実はそこで心の平穏の地を得ていて、さらに再びスパイ大作戦の最前線に数十年ぶりに復活を遂げたという、時を経た面白さ。

これも30年単位で続く人気作品の醍醐味ではありますね。

さてそんなダンロ―氏はそのシーンで役割を終えて終了なのではなくて、映画のラストまできちんと作戦の完遂まで付き合うのが凄い。

それもイヌイットの奥さんも一緒にアフリカまで行くのですから、これはもう「元CIA分析官の大冒険」ですよ(これだけで映画になりそう)

彼が心の平安をアラスカの地で得たという告白も、イーサンと再会を果たした飛行機の中で。

イーサンが「あのときは済まなかった。僕のせいで君は‥」と謝るところでダンロ―氏が「いや、君は謝る必要はない。むしろ私は感謝したいくらいなんだ。なぜなら・・」と先ほどの理由を説明したシーンはなかなかに心熱いものがありました。

年老いたダンロ―氏の髭面姿も渋くてクールでしたよ!

ダンロ―を演じたロルフ・サクソン氏の映画のインタビュー↓

キトリッジとブリッグスの上司・部下コンビの懐かしさよ!

最後はこの2人です。

シリーズ一作目でイーサンに「裏切り」の嫌疑をかけて逃げられたCIA幹部のキトリッジ氏と、かつてイーサンの直属の上司でCIAを裏切ったジム・フェルプス(ジョン・ボイド)の息子であるブリッグスのコンビがラストまでイーサンらを追い回す流れ。

キトリッジは前作でも出演しており、その時もイーサンに裏をかかれて失敗した経験も含め「今回は絶対に見逃さんからな!」という執念すら感じました。

かたやブリッグスも確か前作から登場していたと思いますが、はっきりいって忘れてました(笑)

どことなく誰かに似てるなーと思っていたら、ショーン・ペンを思い出したという。まあここはどうでもいい話ですが。

ともあれ、この二人はイーサンに基本的には恨みをもっており(キトリッジは二度も恥をかかされ、ブリッグスは父親をイーサンに殺された)、そのことが原動力となって今回の一連の破滅の遠因はイーサンにあると信じ込み、最後までしつこく彼を追い詰めるのです。

最終的にはイーサンが世界を救ったということで、ラストで仲直りするのですが、ブリッグスはまだしも、キトリッジはなんとなく納得がいっていない表情だったのが笑えましたね。

まさに使えない上司という感じで、あれはきっとこの作品が次も続くのなら、きっと何かの難癖をつけてイーサンらを追い回すのに違いないと。

そう考えると、二人の関係は「ピンクパンサー」の怪盗ファントムとクルーゾー警部、「ルパン三世」のルパンと銭形警部と重ねてしまいますね!

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まとめ:ストーリーは抜きにしてアクションと懐かしさを楽しめ!

映画全体を10点満点評価するならば「ストーリーは1点、アクションは5点、懐かしさが4点」というところ。

とにかくアクションが凄いので、このシリーズにそれほど愛着がない人は、まずはそれを楽しめば良いと思います。

逆に愛着がある自分のような長年のファンとしては、アクションも前作ほどはバリエーションが少ないですし、海と空中という、一般人的にはいまいち馴染めない異界の戦いが多めになっているので「共感」という意味ではイマイチさを感じました(前作のオートバイと列車の戦いは臨場感が抜群だった)

ストーリーですが・・・これはもう5作目以降は「よく分からない設定」がデフォになっているので、はっきりいって「諦めています」(笑)

敵ボスの意図もよく分からないですし、分かったとしても「世界支配」とか「人類滅亡」とか、まるで「マンガ」のような中二病的な描写が多くて、いい大人の映画ファンには「またこういうのか。飽きたわ」と一蹴されるレベル。

今作もそれに漏れずな「中二病」なオチでしたし、エンティティの封じ込め方も記事で書いたように「ドラゴンボールでピッコロ大魔王を封じ込めた電子ジャー」もしくは「ゴーストバスターズのお化け保管装置」的なノリで「ううむ」と。

なので設定やストーリー展開は正直「子供だましレベル」だと自分的には評価しています。

ただ旧作へのオマージュという意味では、今作はすごく良くて、とくに序盤のシリーズ1作目からの回想シーンや、中盤の元CIA職員のダンロ―氏の登場も含めて、ファンとしては感動モノの再会に満ちていたと思います。

その意味でも今作は見る価値ありの良作ではないかなと。

MIシリーズの通例で作戦は絶対に成功しますし、イーサンは絶対に死なないので、そこも安心して見れる定番の良さかなとも思います。

今回はかなりのレベルでネタバレをしてしまいましたが、実際に見るとまた違う感想を得ると思うので、ぜひとも劇場に足を運んで鑑賞して欲しいと思いますよ。

やはり映画は大画面で見るに限りますし、とくにMIシリーズはアクションが見ものなので、大型スクリーンで見る迫力は物凄いですよ!

劇場で見れなかった人は、公開終了後は自宅のテレビでDVDや動画配信でぜひご覧くださいね。

きっとまたイーサンの復活を願うはず!

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