ついに、ついに、ついにガンズアンドローゼズの新譜が発売された!
1991年発表の「USE YOUR ILLUTION Ⅰ・Ⅱ」以来、実に17年ぶりのオリジナルアルバムが堂々のお目見えだ!
今まで幾度となく噂されたニューアルバム、なんとジャケットの表紙は自転車なのですね!
しかもタイトルは
「CHINESE DEMOCRACY」(中国の民主化)!!
なんだか夏に開催されたばかりの北京オリンピックに合わせたような、親中国な民主党の大統領就任を見透かしたような、過熱する(のか?)16億人マーケットに睨みをきかしたような、そんな大人の思惑がバリバリ漂う11月下旬の奇跡の誕生!!
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アルバムを開くとそこは・・・!
独裁的音楽集団・ガンズアンドローゼズのアクセル・ローズ主席が17年の月日を越え、満を持して世界に送り出した「CHINESE DEMOCRACY」!
高校生以来の感動を鳩サブレな胸に抱きなつつ、ドクドク高鳴る鼓動を「救心」で無理やり押さえつつ、震える手つきでパッケージを開き、同封してあるライナーノーツを開きましたよ!
おお、開きましたよ!
トップランナーは当然アクセル・ローズ。
アルバムタイトル曲「チャイニーズ・デモクラシー」の歌詞を横に中国の建物を背景にしてマイクに歌う、アクセルの勇姿がライナーノーツのトップを飾っております。
17年を経てアルバムの先頭を切るアクセルの胸中やいかに、という感じですが、驚いたのが、見開き右のページ。
なんとバケットヘッドが!
実際に載ってるのはこれとは違いますが、それでもまあこんな感じです。頭にケンタッキーフライドチキンのバケットかぶって仮面してるので他に変わりようがないですが・・・・・
さてライナーノーツのほかのページですが、取り立てて目立つこともなく、あとは普通に歌詞とメンバーが順番に載っていました。
ただ、ページの真ん中の見開きにガンズのロゴとアルバムタイトルを中央にして、両横に縦書きで「中国民主」と書いてあるのには失笑。
しかも背景は天安門広場っぽいですし。よく見ればほかのページにも「梦夢街道」とか「元」とかの漢字が明朝体で書いてあります。
曲名の中国語読みでしょうか。
むやみやたらと漢字を貼り付けるところがアメリカ人らしくて素敵です。
今回のアルバムは製作期間14年、制作費14億円、全14曲という、14づくしの巨大14プロジェクトなんですね。
かけた金と月日が違う!
待つファンの数も違う!!
オリジナルアルバムから17年経ち、メンバーのほとんどが逃げるか辞めるか首になるかで大半が入れ替わり、最初から残っているのはアクセル皇帝ただ一人。
前3作もメインの作曲の多くをイジーがこなしており、アクセルの担当した曲はバラードが中心だったことから、今回もメロディアスな重厚ロックバラードがほとんどだと思っておりました(このへんの流れは氷室京介と布袋寅泰のボウイにも通じるものがあります)。
そして実際に聞いてみると・・・・・
アルバムの感想
一曲目からやられました。
音楽的な知識にあまり詳しくないので、うまく説明できないのですが、なんというか、期待していた以上にソリッドで、しかも聞きやすかった。
独特のアクセルボイスも健在です。
長々しいバラード系のものばかり想像していたのと違い、以外にノレる曲も多いし、サウンド的にも色々な音を組み合わせて作っており、最近ハマっているキッドロックの「rock`n roll jesus」のサザンロック的シンプルさとは違った意味で聞かせる歌が多いです。
どちらも作りこんでいる点では同じなのですが、「チャイニーズ~」のほうがより重厚で現代的な作品に仕上がっている印象を受けましたね。
そして何より一番驚いたのが、アクセルの声。
これが現役時代と比べても全然聞き劣りしてないんですよ。
さすがにウェルカム~のような超音波シャウトはありませんが、イッソーイージーにも勝るとも劣らない低音と高音の見事な使い分けや、バラードで聞かせる伸びのある声域はいまだ健在!
それどころか、年齢を経て様々な経験を積んだ分、歌に深みが出てきており、以前よりも更に聞かせてくれるボーカルになっております。
この人の声は非常に特徴がありますから、ボーカルのみのアルバムを出しても十分通用しそうですねー。
声も楽器の一つとはいいますけども、レベルも完成度も充分に高いが、アクセル以外のボーカリストが歌ったら、それほど特徴がないともいえる楽曲群 (17年ぶりのガンズの新作の期待感からすれば、ですよ!)を、この声一つで、
「これぞガンズアンドローゼズ!」
と長年のファンの心胆を冷やしめるレベルにまで持ってくるあたり、この人の力量・センス・存在感はやはり飛びぬけていると言わざるを得ません。
アルバム全編に他の凡百のアーティストには真似できない、なんというか、別格感が漂ってるんですね。
まさにロック界に激震!てな感じです。
以下に具体的な曲の感想を述べていきます。
曲ごとのワンポイント・レビュー
chinese democracy
サイレンが新時代の到来を予感させる。始まりのキーボードサウンドで、なぜか「~オブ・ザ・リビングデッド」のゾンビシリーズをイメージしてしまった。
しかし後に続くギターとアクセルのシャウトで一気に沸点!これぞガンズアンドローゼズ的な一曲です。
Better
前2曲とも、以前のオリジナルガンズのアルバムであってもおかしくないタイプの楽曲だったが、これはまさに新生ガンズの到来を感じさせる一品。
作りこんだ感の非常に強いサウンドが耳に馴染みます。
Street Of Dreams
声がとにかくいい。往年の名曲「スィート・チャイルド・オブ・マイン」を越える”何か”を感じる。
前向きなパワーとそこはかない哀愁感が、ちょうど良い感じでブレンドされていて、かなり素晴らしいバラードに仕上がってます。
If The World
ラテンなギターで始まるミドルテンポな楽曲。途中で挟まれるコーラスパートが、ヘッドフォンで聞いていると、右耳から左耳にフェイドアウトするのが凝っていて気持ち良かった。
曲全体に流れる気だるい雰囲気と、アクセルの力強い声が対照的で、やはりこの人のボーカルは秀逸だな、と思わせる一曲。
There Was A Time
前曲同様、ハードにメローな感じで、最後のほうで流れる複数コーラスが抜群に気持ちよかった。
ラスト付近の、アクセルの搾り出すようなシャウトとギターソロが圧巻で、これぞガンズ!という感じ。
Catcher In The Rye
爽やかなパワーバラード。コーラスが実に心地よく、ギターも最高。
クィーンのギタリストであるブライアン・メイが参加している曲で、この美しいギターソロは彼のものだろうか。
そう聞くとちょっとクィーンぽかったりして。
Scraped
アップテンポ。曲自体はかなりいい感じだが、個人的には別にアクセルが歌わなくても、と思わせる一曲。
でも相変わらずボーカル冴えてます。
Riad N' The Bedouins
激しくシャウト、ギンギンなギターソロ、殴打するドラム、明滅するキーボード、と云った感じでかなりハードな楽曲になってますが、あまりこのタイプの曲は好きになれない。
感覚的なもんです、多分。
Sorry
扇情的かつメロディアスな一曲。これもこれまでのガンズには無い、新しいアクセルボーカルを聞かせてくれる。
名曲認定です。
I.R.S.
これぞW・アクセル・ローズ!というバリバリのパワーボーカルが堪能できる曲。
タイトルが国家組織や特殊部隊の名称みたいで何気にクール。
Madagascar
MTVで久しぶりに見た時のライブで歌っていた曲。
ドントクライとノーベンバーレインを足して2で割ったような楽曲で、アクセルが最も得意とするパワーバラードだろうかなと。
コーラスが泣かせますねえ。
This I Love
メロディアスなバラード。
ロックオペラ風の楽曲で、聞いているとき、なぜか「オペラ座の怪人」を頭の中でイメージしてしまった。
ギターソロが光ってます。
荘厳です。
Prostitute
ニュータイプなアクセルボーカルを感じることができる、新生ガンズな一曲。
個人的には好きなタイプではないですが・・・・
以上が各曲の感想です。
試聴では最初の2,3曲が気に入っていたのですが、家で聞いてみると、なぜか真ん中あたりでだれてしました。
なんだか単調に思えたんで・・・・
でもレビューのために何回か聞き返したら、不思議や不思議。
聞けば聞くほどいい感じになってきてますよ!!
聞けば聞くほど味の出ること、クィーンの如し
アクセル・ローズのクィーン、それもフレディ・マーキュリーを尊敬すること鬼の如しなのは、ファンならずとも洋楽好きの間ではかなり知られている話ですよね。
ガンズが初期の頃にフレディの歌のコーチにレッスンを受けてたりとか、フレディ・マーキュリー追悼ライブで、ボヘミアン・ラプソディーをキーを下げずにフルで歌いきったりとかで、アクセルのフレディ信仰伝説の事例には事欠きません。
そして今回のアルバム製作へのブライアン・メイ招聘。
これはもはやただの「クィーン好き」を越えた、ゴッド・オブ・クィーン『フレディ・マーキュリー』に向けた鎮魂の儀式に他ならないのではないのでしょうか!!(以下、得意の妄想)
『そう、引きこもっていた17年間、アクセルはひたすらにフレディへの敬愛の念を深めていた。 ”音楽神”フレディを祭るため、周りのミュージシャンを誘い、マーキュリー神殿の建設への協力を呼びかけていたのだ。
「サノバビッチ!おとといきやがれ!」
真理への道は遠く険しい。
数え切れないほどの罵詈雑言を浴びるアクセルは、深い哀しみの淵いた。いったい何人ものミュージシャンが彼を憎み、その元離れていったのだろう。殉教者は常に誤解されるものだ。アクセルは幾夜も幾夜も、数え切れないほどの涙で枕を濡らした。
「神よ救い給へ・・・・」
そう言って、そっと両手を合わせるアクセルの元に、一通の手紙が届いた。そこにはこう書かれていた。
「友、遠方より来る by ぶらいあんメイ」
ハッ!と目を輝かせるアクセル。いそいで手元の手帳を確認すると、マネージャーを呼びつけ、今後の予定を全てキャンセルさせた。
「今夜は祭りだ」
それから一年、来る日も来る日も出資者を募り、同士を集め、時には怒り、そして時には涙したアクセルの神へのご奉仕が、ついに実を結ぶ時がきたのだ。
「神を鎮める器である」
高々とCDを持ち上げるアクセル。
神のご加護を頂いたからだろうか、その富士額には神々しい光が灯っていた。
音楽神フレディの心を鎮めるため、わざわざ英国から自らギターを手にとって参上した神の忠実なる司祭・ブライアンの姿も見える。盟友アクセルの血と涙の結晶のニューアルバムに、神聖な音の調べを奏でにきていたのだ。
「ついにこの日が・・・・」
アクセルは目を閉じ、神に祈った。どうかこのアルバムが売れますように、と。
「アーユーレディー!」
ブライアンが叫ぶ。ドラムのスティックがカウントする。儀式は始まった。
アクセルは歌う。
完成に至るまでの月日とかけた費用の莫大さ、収録された楽曲の多様性と歌詞の深さ、そして何よりも納得のいくまで決して妥協しない、その執念ともいうべき創作活動の終着点は、まさに音楽神フレディ・マーキュリーへ捧げるための供物にほかならないということを再確認しながら・・・・・
⇒【ボヘミアン・ラプソディ感想】フレディ・マーキュリーの愛と友情の物語!父親との最後のやり取りに感動した!
まとめ
以上が私の考える「レジェンド・オブ・CHINESE DEMOCRACY」であります。
間違いありません。
このアルバムは21世紀を代表する名盤となります。
とはいえ
2002年にMTVで復活ライブを見たときには、パラダイスシティとか全然声が出てなくて、「え~アクセルもう引退やなー」とかなり落胆してました。
見た目もかなり変わっていて、現役の頃のソリッドさが消え、ただの中年ピッグに落ちぶれたのを目の当たりにして非常にショックだったのを覚えています。
「いったいアクセルはどうなっていくのだろう?このまま、ただの元セレブ中年デブになって、しまいにはオジー・オズボーンのように私生活を切り売りすることになるのだろうか・・・・」
などと尽きせぬ想いを胸に、永い永い冬の時代を私達は過ごしてきました。
あれから6年。
数々のライブをこなし、メタボっていた体を見事にシェイプアップして、遂にアクセルは戻ってきたのです。
46歳とは思えない、素晴らしいアクセルボイスと編み上げられた辮髪を振りかざしながら・・・・
W・アクセル・ローズは新生ガンズ帝国を率い、再び世界の制覇を狙います。
突き抜けたようなアクセルボイスに万感のドクターペッパーを込めて。
VIVA! AXL!! (ビバ!アクセル!!!)
追記(2024年8月)
この記事を書いてからすでに16年経ちました。
2015年にはスラッシュとダフも復帰し、来年2025年には10周年を迎えることになります。
ニューアルバムの製作もメンバーのインタビューで言及されていますが、今のところは明確な進行度合いなどは公表されていません。
アクセルを始めとするオリジナルメンバーも年齢が60超えになりますので、アルバムを作れる期間もそこまで長くないでしょうし、ファンとしてもさっさとリリースして欲しいところ。
2025年にはスラッシュあたりから「今年中にお目見えできるぜ!」とサングラスをキラリと光らせながら語って欲しいものですよ。
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