アイルランド出身のポップロックバンド、ザ・スクリプトの「 No Sound Without Silence」(2014)からのシングルカット。
2年前に流行った歌だけど、少し前にMTVでプロモビデオを初めてみて、なんだか心に響いたので取り上げてみた。
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スーパーヒーローズについて語る!
youtu.be躍動感のあるボーカルパフォーマンスと独特のコーラスや、シンセサイザーの特徴的な音色。
ビデオの内容も、懸命に生きる人々を讃えた歌を基にしたプロットで構成されていて、たとえ歌詞を知らなくても見ればすぐに理解できる。
サビに入る時のパワーに満ちた盛り上がりと、サビの後に訪れる一瞬の静寂。
バンドの背後に迫る陽光が、シンセの荘厳な響きに同調して曲の神々しさを高める。
それが曲とビデオのストーリー展開とに絶妙にマッチしていて、この曲は聞くだけでなく、見ることでより相乗効果をもたらすんだなと直観的に感じた。
今までずっと何かのために頑張ってきて
もっとより良く生きようとあがき続けてきたのなら
それこそがスーパーヒーローの証なんだ
いつどんな時でも、痛みを力に変えてきた生き方こそが・・
サビ部分だけ訳してみた。
要約すれば、
「何かを目指して懸命に頑張ってきたのなら、きみはスーパーヒーローだ」
ということ。
こうして書くと何だか陳腐な感じになってしまうけど、ザ・スクリプトにはそれを当たり前に思わせない圧倒的な楽曲クオリティとパフォーマンスを持ち合わせていて、それまで彼らのことをほとんど知らない人間にも(この私のように!)、「あっ、すごい、なんだかパワーがあるぜ!」と一瞬で彼らの世界観に引き込んでしまう不思議な魅力に満ち溢れていると思う。
ザ・スクリプトとは
すでに本国アイルランドはもちろんのこと、カナダ、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランドなどの英国圏やアメリカで圧倒的な人気を得ていて、2001年のデビュー以来、数々のアルバム、シングルヒットや様々の音楽受賞歴を誇っているスリーピース・バンドだ。
12歳の頃からの親友だったダニエル・オドナヒュー、マーク・シーハンはダブリンで生まれ、育った。
1996年に「マイタウン」というボーイズバンドを組んで活動を始め、カナダとアメリカでプロデュースや作曲活動を開始する。
アイルランドに帰国後、ドラマーのグレン・パワーが加入し、現在のスリーピース・バンドとなる。
2005年にレーベルと契約し、2008年にデビューアルバム「The Script」をリリース。すぐにUKチャートの一位を飾ることに。
シングル曲は「We Cry」「The Man Who Can't Be Moved」「Breakeven」。
2011年にセカンドアルバム「Science & Faith」を発表し、アルバム制作時にメディアを招待して、レコーディング過程を公開するという手法が注目を集めた。
前年にファーストシングル「For the First Time」がi-tuneで先行リリースされ、ミュージックビデオにU2のボーカル、ボノの娘・イヴ・ヒューソンが出演した。
アルバムは最終的にアイルランド、英国チャートで一位を獲得。
サードアルバム「#3」が2012年位リリース。
先行シングルの「Hall of Fame」が大ヒットし、オーストラリア、イタリア、ニュージーランド、スウェーデン、アメリカの各国でプラチナアルバムを獲得した。
また同シングルは、英国を始めとする世界30か国でチャートの一位に。
現在に至るまで彼らの最も成功した楽曲となった。
youtu.beほかにも「Six Degrees of Separation」や「If You Could See Me Now」などのシングルがあり、それぞれオドナヒューとシーハンの両親に捧げられた歌となった。
オドナヒューは2008年に胸部大動脈瘤で亡くなった父親のため、左腕に薔薇のタトゥーを入れ、「If You could See Me Now」を捧げたという。
バンドの4枚目のアルバムとなる「Sound Without Silence」は2014年の6月にリリースされ、オドナヒュー曰く「前作”#3”の続編にあたる作品」となった。
曲の多くはツアーの最中に作られたもので、ライブステージを降りると、すぐにスタジオが収納されたバスに入ってレコーディングを行ったという。
『SUPERHEROS』
アルバムからのファーストシングルとなった「Superheroes」は、”名もなきヒーローたち”に向けて歌われたもので、
「困難の中を生き抜きながら、それでいて決して後ろ向きにならない人々に呼びかけた曲」
という。
ミュージックビデオは南アフリカのヨハネスブルグで撮影された。
名もなき英雄に捧げた歌。
それがミュージックビデオの親子に表現されているということなのか。
なぜスーツを着てゴミ捨て場でゴミ拾いをするのかという疑問はあったが、おそらくまともな職につくことができない過酷な状況の中、せめて娘だけには安心させたいという思いで、スーツを着込んで仕事に行く姿を見せたということだと想像する。
社会福祉制度が整った日本では想像できない描写だけど、最低限の社会保証がない国では、ああいった生活がリアルにあり得るんだろう。
そんな中でも懸命に生き抜く人々。 誰かの笑顔のために生き抜いていくという姿を、ザ・スクリプトは称賛し、ヒーローと讃えたのだと思う。
多くの人から支持されるような「優れたバンド」「いいバンド」の基準とは、楽曲のクオリティや見た目の良さはもちろんのこと、それ以上にその歌や歌詞に”ハート”が感じられるかどうかにあると思う。
正直、今までそれほど彼らのことは興味はなかったのだけど、この曲とビデオを初めて聞いて見て、そしてその意味を知って、彼らの熱い”ハート”を感じることができた。
ザ・スクリプトは間違いなくいいバンドなのだと思う。
これを機会に、これからいろんな曲を聞き込んでみます。