シンセサイザー音楽の作曲家であり、奏者として世界的に有名な冨田勲さんが今月の5日に亡くなられた。(2016年5月5日没)
冨田勲さんが死去 シンセサイザー奏者の先駆け : J-CASTニュース
ニュースでも話題になっていたので、知っている人も多いと思うが、実は私はこの人のことをまったく知らず、亡くなられたというニュースを見たり聞いたりして、「え?誰?その人?」と思ってしまったくらい”未知の人”だった。(素人ながらも音楽レビューを書いているものとして恥ずかしい話だが・・)
今回はそのことについて語っていきたいと思います。
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冨田さんの曲に心が動かされた
名前だけが記憶に残ったまま、普通に日常を過ごしていた時、あるラジオ番組で氏のことが取り上げられて、ある曲を初めて聞いた。
「ん?なんだ?この感覚は・・」
不思議な音色に心が動かされる感覚というか、感性のどこかに響いてくる形容しがたい音域というか・・
「なんだか・・すごくいい感じだ!」
聞いているうちにだんだんとハマっていって、静かだけど水中で安らいでいる感覚や、快適な宇宙船から美しい宇宙や天体を眺めているイメージが頭の中に広がっていって、そして不思議な柔らかい曲調に心がゆったりとしてきて、すごく気に入ってしまった。
「ああ、これが冨田さんが支持されてきた理由なんだろうな」
瞬間的にそう確信した。
曲名は確か「アラベスク」だったと思う。
すごく静かで優しいシンセの音の調べ。
ほかにも著名なシンセの曲を聞いてみたけど、やはり同じように美しい電子音で構成されていて、本当に感性を優しく撫でられる感覚が心地よかった。
恥ずかしながらクラッシックのこともまるで無知なので、こちらも改めて調べて見ると、アラベスク第一番はドビュッシーのピアノ奏曲のようで、冨田氏は他にもドビュッシーの曲をシンセサイザーで丁寧に再構成して新たな境地を生み出していたとか。(月の光も有名のよう)
なるほどなあ、こうしてみると、かなり有名な人なんだろうなあと思って、ネットで調べてみると、やはり世界的に有名な人でした。
今更ながらだけど、氏のことをちょこっとだけ紹介しておきます。(私のように冨田さんのことを何も知らない「冨田ビギナーズ」のために)
1950年代、慶應義塾大学文学部在学中に作曲家として活動を始め、NHKや民放における数々のテレビ番組、また映画や虫プロダクション関連のアニメーションなど多くの作品で音楽を担当した。
特に大河ドラマやNHK番組、虫プロアニメの主題曲、BGMは、繰り返し単独やオムニバスでレコードやCDが発売されて今なお愛され続けている。これらの多くではまだ電子音はほとんど取り入れられていないが、メロディ作りにもアコースティックのオーケストレーションにも才能を発揮し、各社のオファーは絶えなかった。
初期のころにおいては、作曲家として活動する一方、従来のオーケストラという演奏形態に飽きたらず、新たに出現してきた電子機器と古典的な楽器を融合させるなど、様々な音楽の可能性を追求した。
その後1969年にモーグ・シンセサイザーと出会ったことが転機となり、これ以降は古典的名曲をシンセサイザーによって現代的な解釈を加えて発表するという活動が中心となった。
「イサオ・トミタ」の名は、広く世界に知られている。
(Wikipedia『冨田勲』より)
先ほどの「アラベスク第一番」や「月の光」は、氏が初めてシンセサイザーでクラッシック音楽を手掛けた記念すべき第一作らしい。
当時この手の音楽ジャンルがまだ存在しなかった日本では、どのレコード会社もアルバム化を渋って契約にこぎつけることができず、ようやく話がまとまったアメリカでLP化されて、ビルボードチャートのクラシカル・ランキングで2位、グラミー賞4部門にノミネートという快挙を成し遂げた。
そこから日本でも認められて、氏のシンセサイザー音楽家としての一歩は始まったという。
その記念すべき作品が「月の光」(Snowflakes Are Dancing)なのだ。
耳にしても全く古さを感じさせないので、ごくごく最近の音楽と思って聞いてしまうが、これが40年近くも前の作品だから全くたまげたものである。
まとめ
シンセ音楽を始めた当初は、シンセ機器そのものが未発達だったために、一つ一つの音を手打ちで入れていって、最後にそれを複合的に構成して壮大な音楽を作り上げたというから、本当にすごい労力と熱意なのだ。
死の直前まで公演予定の交響曲の構成を練っていたというほど、晩年まで創作意欲を失わなかった冨田氏のこと。
84歳という年齢を感じさせない音楽に対する熱い情熱と、その結晶である作品群は、死してなお、氏を知るものや、これから知っていこうとするものにまで、深い影響を与え続けるに違いないと思うし、初めて聞くものにも感動を与えていくと思う。私がそうであるように。
これから改めて氏の曲を聞き始めようと思います。
心からの哀悼の意を捧げます。