スターウォーズの最新作「フォースの覚醒」のレビューです。
といいつつも、実は昨年末(12月)の公開早々に見に行っていまして、それからレビューを書こうと思いつつも、なかなかその気分が出なかったという(笑)
世界中のファンが待ち望んでいた大作ですから、そのぶんいろんな方がブログやサイトで感想レビューを寄せていることもあったので、わざわざ自分ごときがあれこれ書く必要もないだろうなあというのもありまして。
まあしかし私も長年のファンですから、それなりの思いをこの作品に寄せながら鑑賞して、そのへんの切ない思いとか、熱い感情のほとばしりを公開終了から少し経った今、そして少し落ち着いた今、あえて今更ながら書かせてもらおうかと思います。
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基本的なストーリー
エンドアから約30年後。最後のジェダイ騎士ルーク・スカイウォーカーが姿を消した。その間、銀河帝国の残党から新たに「ファースト・オーダー」が台頭し、再び銀河に脅威をもたらすと同時に最後のジェダイであるルークの抹殺を狙っていた。ルークの双子の妹であるレイア・オー仮名将軍は、新銀河共和国の支援の下で独自の軍事組織「レジスタンス」を指揮してファースト・オーダーに立ち向かうと共に、兄ルークの行方を捜索していた。
(by スター・ウォーズ/フォースの覚醒 - Wikipedia)
映画の序盤にいきなりダースベイダーの後継者カイロ・レンが登場して、フォースのすさまじい威力を見せつけてくれて「おおっ!」と座席から身を乗り出しました。
何がすごいって、あの自分に向けられたレーザーの方向すらも曲げてしまう、超強力なフォースぶり!
かつてジェダイ最強といわれたアナキンス・カイウォーカーとて、あれほどの曲芸は見せてくれたことはなかったですからね。(人を飛ばしたり、扉を締めたりするくらいはありましたが)レーザーのスピードとパワーすらも凌駕した凄まじい暗黒フォースの力が発揮された一幕。このとき思ったのが、
「もしこれがオビ・ワンに体を切られて上半身だけになっていなかった五体満足のアナキンだったとしたら、暗黒面に落ちてさらにパワーを増したダース・ベイダーになった後は、きっと星すらも吹き飛ばすくらいのすさまじいミディクロリアン力を見せつけてくれたんじゃないか?それだけ暗黒面というのは人の心の全てを解放してくれる素晴らしい異世界なのではないか!!」
と思わず熱くなって、自分もダークサイドに弟子入りしようかと考えたぐらい(笑)
それくらいカイロレンファーストインパクトとしては素晴らしい映像だったと思います。(こういうのをもっと欲しいと思うのはドラゴンボール世代特有のもんですかね?)
メインキャラクターたち
一方で主人公のレイ。
こちらは女性ながら、明らかにジェダイの血をひくフォースの持ち主であるという雰囲気があって(前宣伝でさんざんに見ていたせいもありますが)、実際に星にやってきたファーストオーダーの兵士たちを棒術でぶちかましていくあたりなんざ、初期のルークの戦闘ど素人ぶりでは全く見られない猛者ぶりがクールでしたね。
設定的に明らかに彼女はルークかレイアの血を引くものだということが分かってますから、あとは彼女がいつそれを発揮するかということ。
ちなみに前作の「シスの復讐」では、最後にオビワンが、アナキンとパドメの子供であるルークとレイアを引き取るシーンで終わってましたが、あのときの設定と同じで、今作も明らかに男女二人がスカイウォーカー家の血をひくものというスタイルは変わっていません。
ということは、やはりカイロ・レンとレイは兄か妹、または姉か弟、という設定になるのでしょうね。
映画が進むにつれて、この二人は接触をするどころか、カイロ・レンに捕まったレイがフォースによる読心術を受けて、逆にそれを読み返すという、プロとプロの戦いを繰り広げてました。
さらに後半では、ライトセーバーによる戦いで互角以上の勝負をするという、女前振り。
この場面に批判的な意見が寄せられていて、
フォースの訓練受けてないのに、レイ強すぎだろ!
とか
カイロ・レン弱すぎ!あれでダースベイダーの後継者を自認するなんざ、百年早いわ!
などという、口さがないファンの辛口レビューがネット空間に熱く展開しておりました。
ただレイのライトセーバーさばきが上手なのは、冒頭で兵士っをぶちかました時の棒術の心得があったことと、カイロ・レンがレイに倒されそうになったのは、チューバッカがブチ切れて、レーザーガンを遠くなはれたカイロ・レンのどてっぱらにぶちかました、という事実があることを忘れてはなりません。
武術を少し齧ったことのあるものとして、体術というのは何かの形で一度身につけたすると、たとえ未使用の武器を手にしようとも、その動きは基本は共通であること。
特に棒術は武器の中でも最も基本的なものなので、これをマスターするということは、すなわち体術も無意識のうちに身に着けていることになるため、たとえそれが武器として次元の異なるライト・セーバーだったとしても、それを扱う肉体の動きは基本的に棒術と同様になるはず。
なので、レイの超絶的ライトセーバ-立ち回りは、ごくごく普通に納得ができるということですね。
一方のカイロ・レンは、あれだけダース・ベイダーを尊敬し(自分の部屋にダースベイダーの壊れたマスクを祭っている)、彼に劣らぬ優れたダークサイドの騎士になろうと、悪の総帥であるスノークにつき従ってまでフォースの道を究めようとしたのに、まさかのジェダイの素人レイに逆転負け!(たとえ傷を負っていたとしてもだ!)
これはさすがの「スターウォーズを真正面から暖かく見つめる会・日本支部長」の私としても(ウソです)、ええっ!と思わざるをえないほど無様な戦いぶりに驚愕。
たとえいくら油断していたとはいえ、自分たちの背後でチューバッカやレイたちが潜んでいるということに気づかない間抜けぶりこそが、カイロレンをして
中途半端で未熟な暗黒騎士見習いあらため、中二病まっさかりのジェダイ戦士
という、カイロレン的にはまったくありがたくない称号を世間のファンやこの私から頂くことになるという冷徹な事実。
もしあれがダースシディアスだったり、ダースベイダーだったなら、とっくの昔に気づいて報復しとるぞと。
フォースという前に、まずは気配で背後を読む戦士としての訓練をしっかり受けたほうがいいんじゃないか?とも、元武道練習生として悲しくも思うわけですね。
さてさて、レイやカイロ・レンの説明で長くなってしまいましたが、そろそろほかの登場人物についても語っていきたいと思います。
ついに出てきたハン・ソロ
これも公開前からずいぶん噂されてましたし、公開予告でもさんざん流されて期待もしてましたが、やはりこの人が出てくると「スターウォーズ」という感じがバンバンしますね。
なんといっても、初期の三部作でレギュラー出演されてた方ですから、スターウォーズの大ベテラン俳優です。(前シリーズ三部作では出てませんでしたが)ミレニアム・ファルコンも懐かしすぎますね。
これがないと帝国軍(ファーストオーダー)の戦闘機とまともに戦える気がしませんから。
もともと老け顔だったせいか、年をとってもそれほど違和感がないハンソロ将軍。というか、ハリソンフォード自身があれから世界的にブレイクして、さまざまな映画に出てたから、見慣れたというのもあるでしょう。
さてこのハン・ソロですが、前作のエンドアの戦いから30年経って、一時期はレイア姫といい仲になって子供までもうけたということでしたが、その後再び生来の風来坊癖が出て宇宙を放浪の旅に。
そのたびにあちこちで借金こさえて、今では実の息子からさえも敬遠されるダメ親父に成り下がってしまったという設定です。
そうです。この実の息子というのが、これまでさんざん語ってきたカイロ・レンであり、実の名前をベンという若者のことなのです。
彼がいかにして親父を見限り、家出をして悪の総帥に仕えたかということは、映画の中では詳細に語られていませんでしたが、まあ世の中の悪ガキの多くがこの方向で道を誤る例を数多くいろんなもので出て来ているので、レビュアーの皆さんも大方は想像がつくと思います。
ダメ親父、息子を取り戻しに
ようやく事の本質に気づいたハンソロ親父が、妻(結婚していたかどうか怪しいが)であるレイアと相談した結果、再び息子と会いまみえてその胸の内を問いたださんと、息子がいる要塞の星に向かいます。
そこでようやくであったかつてのベン。
すっかり大きくなって父さんは・・・・
と懐かしく間もなく、ハンソロは要件を切り出すのです。
「仮面を脱いでくれ。お前の顔が見たい」
そういって久しぶりにみた息子の顔は、すっかり様変わりしてしまい、いまや完全に剃り込み眉毛に気合の入ったヤンキーのそれになっていました(ウソです)
「母さんのもとに戻ろう。昔のように皆で仲良く一緒に暮らそう」
そういって、わずかに残る善の心を刺激しつつ、実は心の中では(こいつと組んだら、でっかいヤマで一儲けできるかもな・・)というダークサイドな計画を密かに隠し持っていたハンソロあらためダース・ソロ(これもウソです)は、目に涙を浮かる勢いで、かつての息子を抱こうとしたとんです。その瞬間・・
「グサッ」
何かが彼のお腹を突き刺しました。
「お、お前・・」
ハンソロは絶句しました。
そう。
ベンことカイロ・レンが親父のどてっ腹にライトセーバーを突き刺していたのです。
「父さん、ありがとう。これでやっと一人前の暗黒騎士なることができるよ」
「・・・」
悲しみに満ちた目で息子を見つめながら、ハンソロは反射炉の中に落ちていくのでした。まるで善の心に目が覚めたベイダーに倒されたかつてのダースシディアスのように・・・(ここでは悪の心に目覚めたカイロレンとなっていますが)
ベンことカイロレンは、親父を殺すことで、自分の中に残っていた善の心を封殺したのです。
これで本当の意味でダークサイドに入ることができると・・・
この後に、先ほどのチューバッカの怒りの鉄レーザー光線乱射と、物影で二人の出会いを見つめていたレンらとの死闘が展開されていくのです。
レイア姫はいずこに
話は少し戻ります。
レイア姫は反乱軍のリーダーの一人として秘密基地で指揮をおこなっていました。
そこにハン・ソロがレイとフィンを連れて訪れます。
それに気づいたファースト・オーダーが軍を派遣してレイらを襲撃。
圧倒的な戦力の前に、あわや全滅か?というとき、味方の反乱軍の戦闘機が飛来し、わずかだったファーストオーダーの軍勢を空から撃退することに成功しました。
このときにレイアが姿を現すのです。
すっかりお年を召して、体も丸くなられたレイア姫ですが(現在は将軍)、それでもかつての威厳は失っていません。宇宙船からそのお姿を現しになった時は、そりゃあもう、画面が引き締まりましたとも。(ハンソロと違って)
しかし肝心のレイは、結局ファーストオーダーに捕らられてしまい、彼らの基地に連れ去られることに。
逃げようとしていたフィンも、ハンソロらとともに武器を持って戦い、レイが捕まって連れ去られたと聞いて、彼女の奪還を申し出ます。
ここから先が、例のスターキラー基地での一連の出来事に発展するわけですが、そのあたりの詳細は、ぜひ作品を実際に鑑賞して、その醍醐味をしていただきたいと思います。
では、ここでフィンに焦点をあててみましょう。
新キャラ、フィンとは何者なのか?
彼は冒頭、ドロイドを追って砂漠の星にやってきた兵士の一団の一人で、ボスであるカイロ・レンらが繰り広げる悪逆非道な作戦に反抗して、ついに軍から脱走することに決めたのでした。
そして仮面を脱いで出てきたのが、こうしたSF作品では珍しいアフリカ系アメリカ人の姿。
それも主役級の扱いですから、ハリウッドもずいぶん変わったものです。
ちなみにこの作品から、従来のルーカスフィルムから、ディズニーに制作指揮権が変わっており、たぶんそのあたりのことも販売戦略として登場人物の選定や流れに深く影響しているのでしょう。(女性の時代が到来しているという世相の流れと、ハリウッド伝統の人種平等主義)
彼自体は問題はないのですが、彼をあえてなぜ最後までレイらと行動を共にさせ、さらにライトセーバーすら扱えるようにする設定にしているかが、ほかの大勢のファンと同じく自分にも解せません。
フィンはもともとは兵士なので、最低の戦技はひととおり学んでいるといっても、ライトセーバーのそれは通常の武器使用とはまったく別物で、フォースを使えるものしか扱えないという設定のはず。
それをやすやすと振り回して敵を倒していくフィンの動きからは、次作以降で彼がフォースの持ち主だということを明らかにする伏線だとしか思いようがありません。
そんな彼も最初は単に自分が属した集団から逃げ出したくて、レイと行動を共にしていたというのだから、人間というのははかなくも可愛いものです。
崇高な理念も宇宙の大義も、まずは自分の安全を確保してから。それが普通の人間の態度というものでしょう。
それをあえて犯して理想のために身を乗り出して戦うものがいるからこそ、英雄譚は生まれるのであり、このスターウォーズシリーズもそうした勇気ある人間によって、物語が前へ前へと進んでいくことができるのですね。
そうして普通の人間から、ようやく映画の準主人公的な役回りを自覚するようになったフィンは、最後はレイらとともに、悪の前線基地であるスターキラー(これで実際に同盟側の星が破壊されます)に「ゴルアァッ!」と気合をバンバンに膨らまして乗り込んでいくのです。
そしてついに訪れたあの瞬間。
ようやく話の核心に近づいてまいりました。
そう。
長年のスターウォーズファンが待ちに待っていたあの瞬間。
あのお方がついに姿を現す歓喜の瞬間でもございます。
伝説の戦士が登場
あのお方とは・・・
最後のジェダイ騎士であり、銀河系宇宙に長きにわたって続いていたライトサイドのジェダイの伝統と格式を伝える唯一無二の存在。
カイロ・レンが尊敬するダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーの実の息子であり、カイロレンあらためベンの実の叔父でもある、強力なフォースの一家の長。
その彼が長年隠してた身柄をついに表すときがやってきたのです。
伝説の男が住む場所の地図を持ったドロイドを追って、ファーストオーダーは宇宙中を探し回るわけですが、実はドロイド単独では地図は未完成でした。
反乱軍の基地にあった、かつてのアナキンの相棒であったR2-D2が、もう半分の地図を持っていたのです。
しかしR2-D2はルークが疾走して以来、ずっと停止状態でした。
そのR2-D2が、レイらがカイロ・レンとの死闘の後に秘密基地に帰還した後、突然作動し始めた。
これはすなわち、ルークがその居場所を明らかにしたいという、フォースの発動を受けてのものに間違いないのです。
こうして反乱軍は、完全な地図をよやく見ることができたのでした。
そしてその場所に向かって、レイが一人で訊ねることになります。
ルークの持ち物であったライトセーバーを携えて・・・
そしてあのシーン。
絶海の孤島の段崖で遠く海を見つめるジェダイの姿。
そのローブの内側にある顔が、背後に至ったレイに向かって振り向いた瞬間、長年のファンの心が爆発しました。
「ルーク・スカイウォーカー!」
かつてその若々しい姿で多くのファンの心を虜にして、最後は悪の帝国を打倒した英雄中の英雄。
オビワンやヨーダ亡き後は、自らがジェダイの再建を試みて、銀河中から才能ある子供を集めたジェダイ中興の騎士。
その訓練生の一人から、かつてのアナキンのように反旗を翻し、ほとんどのジェダイたちを抹殺に追いやったのが、彼の血筋(妹の息子)から出ていたことことを知って傷つき、隠遁したハートブレイクの戦士。
しかし時代は動き、新たな帝国を興さんと勃興し始めた悪のフォースが、全宇宙のバランスを崩しつつあると知った宇宙中のミディクロリアンが、彼を隠遁の場から光の戦いの場に導いたのでした。
最後は劇的なエンディングに
いや最後は本当に感動しました。
あの本当のジェダイが伝説のまま年を重ねて出てくるのですから。
言葉を失うとはまさにことこと。
長い時間をかけて熟成された作品ならではの瞬間でしたね。
ルーク役のマーク・ハミルさんは、スターウォーズで人気を博した以後は、大作に出ずにもっぱらコミックやコメディー畑で活躍されていたそう。
長い間その姿を映像の中で見ることがなかったので、いったいどんな姿をしているのだろう・・と思っていましたが、去年公開の「キングスマン」でその素晴らしいお姿を拝見して、「オーマイガーーッ!」と心の中で叫んで以来、この人のジェダイ姿を見たいと思う心は縮むどころか、ますます大きくなっていきました(単純に好奇心で)
そして今作。
その期待は普通に裏切られるどころか、良い意味で反逆を受けて、「おお、意外にいい感じじゃないか!」と驚きのダンディな老齢のジェダイの姿に涙。
これは期待できます。
しかし、映画はまとめ撮りしているのではなく、作品ごとに監督を変えて撮り直すということなので、気持ちを緩めればたちまちキングスマンのアーノルド教授の姿に逆戻りということも考えられるので、まだまだ安心はできません。(契約で体重制限は決められているだろうので、その心配はないと思いますが)
次作では、彼がどうジェダイの戦いに関与してくるのか、カイロレンの復活は?
レイの修業は?
悪の総帥スノークとはいかに!
といったあたりに鋭く切り込んでくれると期待してますので、それまで原作のノベルを読んで待っておくことにします。
「スター・ウォーズ/フォースの覚醒 MovieNEX」予告編映像
追記(2016年12月28日)
レイア姫を演じていたキャリー・フィッシャーさんが亡くなられたようです。
スター・ウォーズのレイア役キャリー・フィッシャー逝去、マーク・ハミルらが追悼
23日に心臓発作を起こして治療を受けていたようですが、27日に死去されたとのこと。
長年スターウォーズを見てきたものとして、彼女の存在はスターウォーズの世界そのものを体現していたと思いますし、最新シリーズでもその存在感の大きさをスクリーン上で見せてくれていたこともあり、何か大きくて大切なものを失ってしまった気持ちです。
年齢的にも60歳という、女優としてまだまだこれからの時なんですが・・
エピソード8(次回作)の撮影は終えていたということで、彼女の遺作はきちんと残されているようです。
心からのご冥福をお祈りいたします。
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